チリ大統領選、左派のボリッチ氏が勝利 格差是正を掲げ

Gabriel Boric

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画像説明, ガブリエル・ボリッチ氏は格差是正のため急激な改革を進めると訴えた

南米チリで19日に大統領選挙の決選投票があり、ガブリエル・ボリッチ下院議員(35)が勝利した。極右の対立候補ホセ・アントニオ・カスト氏(55)が、開票の早い段階で負けを認めた。

カスト氏は、投票が締め切られてから約1時間半後、開票率がまだ約50%の時点で敗北を認めた。

開票がほぼ終了した現在、得票率はボリッチ氏が56%、カスト氏が44%となっている。

今回の大統領選における国内の対立は近年でも特に激しく、選挙前には大規模な反政府抗議デモが起きていた。

両氏が示す国の展望は大きく異なっていた。ただし、政権に関わったことがない政党の代表で、政治的な「アウトサイダー」という点では共通していた。

ボリッチ氏は、世界的に最も若い政治指導者の1人となる。

反政府学生デモの元リーダー

学生の抗議運動の元指導者だったボリッチ氏は、2019年と2020年に国を揺るがすほど拡大した、格差と汚職に抗議する大規模デモを支持した。

チリはかつて、南アメリカで最も安定した経済を維持していた。だが現在は、貧富の差が世界最大レベルに広がっている。国連によると、人口の1%が国内の富の25%を所有している。

こうした状況でボリッチ氏は、格差是正のため、年金や健康保険の制度改革を進めると公約してきた。労働時間を週45時間から40時間に減らし、環境への投資を増やすと訴えた。

José Antonio Kast

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画像説明, ホセ・アントニオ・カスト氏は敗北を認めた

一方のカスト氏は選挙戦で、法と治安維持の強化や、減税、社会的支出の削減を主張した。また、独裁政権を率いた軍出身のアウグスト・ピノチェト元大統領の業績を擁護した。

カスト氏はツイッターへの投稿で、ボリッチ氏に電話をかけて「偉大な大勝利」を祝福したと記した。

「今日から彼はチリの次期大統領だ。全国民の敬意と建設的な協力を受ける立場にある」

チリでは昨年の国民投票で、ピノチェト時代に制定された憲法に代わる新憲法を制定することが、圧倒的多数の賛成で決まった。以来、国内で大きな変革が進んでいる。

来年3月に退任するセバスティアン・ピニェラ大統領は19日、現在のチリについて、「行き過ぎた分断、対立、論争」がみられると主張。後任には「すべてのチリ国民にとっての大統領になる」よう強く求めた。