韓国空軍の性暴力事件、15人起訴 トランスジェンダー兵士の死亡では裁判所が差別認定

South Korean military parade. File image

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画像説明, 韓国軍は長年、女性兵の安全を確保できていないと指摘されてきた

韓国の軍検察当局は7日、空軍兵が同僚から性暴力を受けたと報告した後に自殺した事件をめぐり、15人を起訴した。

さらに数十人が、隠蔽を図ったなどとして、懲戒処分を受ける見通し。

この事件をめぐっては、国民から批判の声が相次ぎ、6月には空軍トップが辞任している。

これとは別に、入隊後に性別適合手術を受けたことで除隊処分を受けたトランスジェンダー女性について、裁判所は同日、軍が違法に差別を行ったと認定した。

ピョン・ヒスさん(23)は除隊後の今年3月、自宅で亡くなっているのが発見された。死因は明らかになっていないが、自殺と報じられている。

韓国軍は長年、女性兵の安全を確保できていないと指摘されてきた。

軍が関係する性暴力事件が耐えない中、韓国の国会は今年に入り、こうした事件を軍事裁判所ではなく民間法廷で裁くよう義務付ける法案を可決した。

「重い責任」

空軍の事件では今年3月、女性曹長が夕食を終えて基地に車で帰っていたとき、男性の同僚に性的暴力を受けたとされる。

被害者は上官にこの件を報告したものの、その後の捜査では、上官らが事件を隠蔽し、被害者に加害者と内々に和解するよう強制したことが明らかになった。

この被害者は5月に自殺した。

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこの事件について謝罪し、空軍の李成竜(イ・ソンヨン)参謀総長の辞任を承認した。李参謀総長は退任時、曹長の死について「重い責任」を負うと話していた。

加害者の男性曹長は6月に逮捕され、裁判手続きが進んでいる。

この事件については捜査を求める嘆願書に何十万筆もの署名が集まり、文大統領が捜査を指示した。

起訴された15人以外にも、数十人が懲戒処分を受ける予定。処分の理由には事件の隠蔽や、被害者に加害者との和解を強要しようとしたこと、証拠の破壊や流出などが含まれている。

「除隊には根拠がない」

transgender soldier Byun Hui-soo

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画像説明, 性的アイデンティティーに関して保守的な韓国では、ピョンさんの除隊処分が、トランスジェンダー兵士の処遇をめぐる議論へと発展した

一方、ピョンさんの除隊をめぐっては、ソウルのテジョン地方裁判所がこの日、ピョンさんは不当に除隊されたと認定。処分を取り消すべきだと結論付けた。

また、軍が性適合手術を受けたピョンさんを障害者と認定したことは非常に差別的だと指摘した。

ピョンさんは昨年11月、タイで性別適合手術を受けた後、女性として服務を継続したいと望んだ。しかし、今年1月に規則違反を理由に除隊処分となった。

ピョンさんはこれを不服として処分撤回を求めて軍を提訴したものの、3月に亡くなった。

裁判所は、「除隊の根拠となる精神的・身体的障害はなかった」と判断した。

韓国では、トランスジェンダーの人は軍に入隊できないが、兵士が性適合手術を受けた場合を想定した法律はない。

人権活動家は、今回の裁判所の判断を歓迎。性的少数者(LGBTQ)に希望を与えるものだと述べた。