トヨタの自動運転車、パラ選手村での運行再開 選手との接触事故で一時中止

Toyota's e-Palette driverless vehicles.

画像提供, Toyota

トヨタ自動車は31日、東京パラリンピック選手村での自動運転車の運行を再開した。自動運転車「e-Palette(イーパレット)」は、26日に交差点を渡ろうとしていた視覚障がいのある選手と接触事故を起こし、運行を停止していた。

再開後はオペレーターによる操作範囲を拡大するほか、誘導員を増やすなどして事故を減らすという。

事故に遭ったのは、柔道男子81キロ級の北園新光選手。大きなけがはなかったものの、切り傷やあざなどができたため、試合は欠場となった。

30日の発表でトヨタは、「道路を横断してきた当該歩行者をセンサーが検知し自動ブレーキが作動、オペレーターも緊急ブレーキを作動させました。ただし、車両が完全に停止する前に車両と歩行者が接触いたしました」と事故の状況を説明した。

その上で、車両は今後、加減速・停止もマニュアル操作で行ない、歩行者確認のために搭乗員を1人から2人に増員すると発表した。

さらに、接近通報音の音量を上げるほか、交差点の誘導員も6人から20人強に増やすとしている。

トヨタは、パラリンピック閉村までは「日々改善を積み重ね」、安全な運航に努めると述べている。

また、事故原因については地元警察と協力して調査に当たっているという。

豊田社長が謝罪

トヨタの豊田章男社長は28日、この事故について公の場で謝罪した。

豊田社長はユーチューブの配信に出演し、「車と歩行者だと車の方が強いわけで、被害者の方がどうなってしまったのかと非常に心配になりました」と話した。

豊田氏はまた、パラリンピック中の選手村という特殊な環境下、視覚などに障害を持つ人の多い中で、自動運転車が運行することがいかに難しいかが、この事故によって明らかになったと発言。自動運転車が「普通の道を普通に走るのは、まだ現実を帯びていない」と語った。

Toyota's e-Palette concept car was unveiled at the third International Import Expo. Shanghai, China, November 7, 2020.

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画像説明, 昨年、上海で展示されたイーパレット

自動運転車への野心

イーパレットは、全自動の電気自動車。東京五輪・パラでの利用に特化しており、大きなドアと電動スロープで、多くの選手が素早く乗り降りできるよう設計されている。

トヨタをはじめとする世界の大手自動車メーカーは、公道を安全に走れる自動運転車の開発に取り組んでいる。

イーパレットは、2018年に米ラスヴェガスで行われた世界最大級の家電見本市「Consumer Electronic Show(CES)」で発表され、「これまでのクルマの概念を超え、お客様にサービスを含めた新たな価値を提供する」と紹介された。

豊田社長はこの時、トヨタを自動車メーカーから「モビリティー・カンパニー」に作り替えようとしていると話していた。