【米大統領選2020】 連邦最高裁、選挙結果覆そうとする訴えを退け

Demonstrators protest outside the Supreme Court on Tuesday

画像提供, Reuters

画像説明, 米連邦最高裁前で抗議するトランプ氏の支持者たち(8日、ワシントン)

米大統領選の結果をめぐり、米連邦最高裁は8日、激戦州ペンシルヴェニアの郵送票を無効にするよう求める共和党関係者の訴えを退けた。原告の共和党議員らは、野党・民主党のジョー・バイデン次期米大統領が勝ったという選挙結果を不服として、結果を覆すことになる訴えを起こしていた。

連邦最高裁は1行のみの判決文で、「アリート判事に提出され、同判事が法廷の判断を仰いだ、差し止め請求を認めない」というものだった。

共和党のマイク・ケリー下院議員(ペンシルヴェニア州選出)たちはまず、同州最高裁で郵便投票の無効化を求めたものの、棄却されていた。

ペンシルヴェニア州のトム・ウルフ州知事(民主党)はすでに11月下旬の時点で、同州でバイデン氏が勝ったという結果を認定している。これによって、全国538人の選挙人のうち、ペンシルヴェニア州に割り当てられた20人が今月14日の選挙人団投票で、バイデン氏に投票する。

11月3日の選挙の結果、バイデン氏は必要な選挙人270人以上の票を獲得することが確実で、12月14日の投票で次期大統領就任が正式に確定する。

一方でドナルド・トランプ大統領は自分の負けを認めず、不正選挙だったと具体的な裏づけを示すことなく主張を続けている。このためペンシルヴェニア州では共和党関係者が、州議会や裁判所などさまざまな形で、選挙結果を覆そうとしているが、奏功していない。

ケリー議員らが訴えを連邦最高裁に上告したことについて、ペンシルヴェニア州政府の顧問弁護団やウルフ知事は、「基本的に軽薄」な訴訟だと批判していた。

「大統領選の結果を州知事が認定した後、その認定を裁判所が無効にしたことなど、一度もない」と、州政府は指摘していた。

連邦最高裁(定数9)の構成は現在、保守派判事6人、リベラル派3人となっている。保守派6人のうち3人はトランプ氏が指名した顔ぶれ。特に、リベラル派のルース・ベイダー・ギンズバーグ判事が9月に死去したのを受けて、トランプ氏と共和党が大統領選を目前に急きょ、保守派のエイミー・コーニー・バレット判事を指名・承認したのは、民主党側の強い反発を招いた。

トランプ氏は投票日の数カ月前から、感染予防のため大規模な郵便投票を認めれば、大規模な不正が起きると根拠を示すことなく主張していた。11月4日未明にはまだ開票が続いている状態で、以前からバイデン氏や民主党に有利とされていた郵便票や都市部の票の開票を待たず、勝利を宣言した。開票が進みバイデン氏が逆転し、その勝利が確実になった後も、不正があったと繰り返し、開票の中止を求めたり、開票結果を争う訴訟を重ね、連邦最高裁まで闘う姿勢を示してきた。

トランプ陣営はほかにも別の訴訟でペンシルヴェニア州の結果を覆そうとしているが、同州の連邦地裁と控訴裁で相次ぎ、具体的な申し立てや証拠の提出がないことを理由に敗れている。弁護団は、連邦最高裁に上告する方針をツイートした。

このほか、トランプ氏が勝ったテキサス州の共和党関係者は8日、連邦最高裁に対して、バイデン氏が勝ったペンシルヴェニア、ジョージア、ミシガン、ウィスコンシンの4州政府を相手取り、この4州で大統領選に不正があったとする不服申し立てを行った。

テキサス州のケン・パクストン州司法長官(共和党)ら原告団は、各州の州議会による「点検と批准のない違法な選挙結果の使用を認めない」よう、連邦最高裁に訴えている。

これについて、テキサス大学のスティーヴ・ヴラデック法学教授は、「選挙結果に挑戦するためだとかいう訴訟の中でも、これが一番狂ってる」とツイート。カリフォルニア大学のリック・ヘイセン教授は、「これまで最高裁に緊急対応を求めた訴訟で、ペンシルヴェニアのケリー下院議員のものが一番ばかだと言ってきたが(中略)テキサス司法長官の新しい訴えがおそらく、その部門の一等賞をとるべきだ」とブログで書いた

テキサス州司法長官の提訴については同日、ミズーリ州などトランプ氏が勝った共和党優勢の17州の司法長官が支持する書面を提出。さらに、トランプ大統領自身も弁護士を通じて、訴えを支持する書面を提出した。10日には連邦下院の共和党議員団幹部を含む共和党議員106人も、この訴えを支持した。その中には11月の選挙で再選された議員も十数人いる。一方で、訴えられた4州は強く反発している。

大統領選については、トランプ氏側近のビル・バー司法長官が今月1日、大統領選の勝敗を覆すような大掛かりな不正があったという証拠を、司法省はこれまでのところ発見できていないと述べた。

その前には米国土安全保障省のサイバーセキュリティー・インフラセキュリティー庁(CISA)が、不正の証拠はないという報告書を発表。今回の大統領選は「アメリカ史上最も信頼できるものだった」と述べていたCISAのクリス・クレブス長官はその後、トランプ氏に解任された。

バイデン次期大統領は、来年1月20日に就任する予定。