香港・民主派の新聞社主、詐欺容疑で逮捕 保釈認められず

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香港メディア界の大物で民主活動家の黎智英(ジミー・ライ)氏(72)が2日夜に詐欺容疑で逮捕され、香港の裁判所は3日、黎氏の保釈申請を却下した。
黎氏には、経営する新聞社の社屋を違法に利用した疑いが持たれている。
保釈が認められなかったため、黎氏は来年4月の公判まで勾留されることになった。
香港では、民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)、周庭(アグネス・チョウ)、林朗彦(アイヴァン・ラム)の3氏が2日、無許可集会の扇動罪で有罪となり、禁錮刑を受けたばかり。
反政府的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法(国安法)」が施行されて以来、こうした逮捕が相次いでおり、活動家やメディア界の人物に対する抑圧が強まっているとの懸念が募っている。
「始まりに過ぎない」
香港のタブロイド紙・蘋果日報(アップルデイリー)は、香港自治政府や中国政府の批判を繰り返しており、市民の支持を得ている。
アップルデイリーを発行する壱伝媒(ネクスト・デジタル)の創業者である黎氏は2日、同社の幹部2人と共に逮捕された。
3人には、同社が本社として使っている建物を、賃貸契約に含まれていない用途で使った疑いが持たれている。詳細は明らかになっていない。
アップルデイリーによると、この件を担当している判事は、香港自治政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が国安法関連の事件のために指名した人物だという。
現地では、共に逮捕された幹部2人は保釈を認められたものの、黎氏は「逃亡の危険」があるとして申請が却下されたと報じられている。
黎氏は香港で最も影響力のある民主活動家の1人で、総資産は10億ドル(約1050億円)に上るといわれている。服飾産業で最初の財を築いた後、メディア業界に参入し、ネクスト・デジタルを立ち上げた。
黎氏は今回の詐欺容疑のほか、国安法の「外国勢力との結託」の疑いも持たれている。8月にはこの容疑で逮捕され、アップルデイリーのオフィスも家宅捜索を受けた。国安法で逮捕された活動家の中では最も著名な人物となった。
その後、保釈されたものの、BBCの取材では「これは始まりに過ぎない」と話していた。
香港ではここ数年、反政府・民主化の抗議デモが続いていた。中国政府は6月、国家からの離脱、転覆行為、テロリズム、香港に介入する外国勢力との結託などを違法とする国安法を制定。地域安定化のために国安法を導入したとしているが、反対勢力を黙らせるためだと批判する声もある。
2日に実刑判決を受けた黄氏、周氏、林氏はいずれも、昨年の抗議デモに関わった罪で有罪となった。
国際人権団体アムネスティー・インターナショナルは判決を批判し、「政府を公然と批判する者に、次はお前かもしれないと警告」したに等しいと述べた。

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