米政府、新型ウイルス対策の博士を非難 「政治的に発言」

US President Donald Trump looks at National Institute of Allergy and Infectious Diseases Director Dr Anthony Fauci as he answers a question during the daily Coronavirus task force briefing at the White House in Washington, 17 April, 2020.

画像提供, Reuters

画像説明, ファウチ博士(左)はトランプ大統領について、新型ウイルスの流行を「経済や経済活動の再開」の観点からみていると米紙に語った(写真は4月17日の記者会見)

米政府は大統領選目前の1日、同国の新型コロナウイルス対策で中心的な役割を果たしてきた国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長について、政治的な動きを見せていると非難した。

ファウチ博士は31日夜に掲載された米紙ワシントン・ポストのインタビューで、アメリカは今後数カ月間、「かなり多くの痛みに直面することになる」と述べた。

また、ドナルド・トランプ大統領と、民主党の大統領候補ジョー・バイデン氏のそれぞれの新型ウイルス対策に対する評価を述べた。

アメリカは新型ウイルスの死者と感染者が世界で最も多い。ジョンズ・ホプキンス大学の集計では、死者は23万人を超え、感染者はこれまでに900万人以上確認されている。

Chart shows daily cases and deaths in the US
画像説明, アメリカの新型ウイルスの感染者(上)と死者(下)の推移。グラフの棒は1日あたりの人数、実線は7日間平均(出典:COVIDトラッキング・プロジェクト)
Presentational white space

ファウチ氏の発言

ファウチ氏はワシントン・ポストのインタビューで、「今後の見通しは全くよくない。秋や冬になると、屋内で人が集まるようになる」と警告。

「これ以上悪くなりようがないという状況だ」と述べた。

大統領選を争う2人の新型ウイルス対策への見解を問われると、バイデン氏については、「公衆衛生の観点から、新型ウイルスを真剣に捉えている」と返答。一方、トランプ氏については、「異なる観点から見ている(中略)。経済や経済活動の再開だ」と述べた。

また、アメリカは公衆衛生面での行動を「激変」させる必要があるとした。

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トランプ政権は反発

こうした発言に対し、ホワイトハウスは強く反発。ファウチ氏について、大統領選でバイデン氏を応援していると批判した。

ホワイトハウスのジャッド・ディア副報道官は声明で、ファウチ氏の発言は「容認できず、完全に規範を破っている」と主張。

「(新型ウイルス)タスクフォースの一員として、ファウチ博士は懸念を表明したり、戦略の変更を推進したりする義務がある。しかしそれをせず、代わりにメディアで大統領を批判し、大統領と争う人物を称賛することで自分の政治的偏向を知らしめている」とした。

バイデン氏は「科学重視」を約束

新型ウイルスは今回の大統領選で主要テーマとなっている。

バイデン氏はトランプ氏の対応を、犠牲者に対する「侮辱」だと表現している。

バイデン氏は今後のロックダウン(都市封鎖)の可能性を否定せず、大統領に当選すれば「科学に基づいた決定をする」と公言。

最近は有権者に、「私が勝ったとしても、この大流行を終わらせるのは多大な努力を要する」、「私たちは初日から正しいことをすると約束する」と語っている。

トランプ氏は「経済的惨状」を警告

一方、トランプ氏はアリゾナ州グッドイヤーで開いた集会で、バイデン氏が大統領になると、アメリカはさらなるロックダウンと経済的惨状を迎えると警告した。

「ジョー・バイデンに投票すれば、子どもが学校に行かず、卒業式も結婚式も感謝祭もクリスマスも独立記念日も全部なくなってしまう」

「それ以外は素晴らしい人生になるだろう。誰にも会えないが、まあ大したことじゃない」と、トランプ氏は皮肉を述べた。

トランプ氏は今回の選挙を、「トランプによる驚異的回復か、バイデンによる不況かの選択だ」と位置づけている。

動画説明, ファウチ博士、マスクについて米政府の矛盾する発信は困ると
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感染対策に違い

選挙活動では、バイデン氏は新型ウイルス対策を順守。一方、トランプ氏は社会的距離を確保せずに大規模集会を開いている。

バイデン氏は世論調査でトランプ氏をリードし続けている。ただ、選挙の結果を左右する激戦州での差は縮まっている。