移民拘束担当の米国土安全保障長官が辞任 国境対策めぐりトランプ氏と対立か

画像提供, Reuters
ドナルド・トランプ米大統領が掲げるメキシコ国境対策の遂行を担ってきたキルステン・ニールセン国土安全保障長官が7日、辞任したことが明らかになった。
ニールセン長官は、国土安全保障省での任務は「一生でも特に名誉」なことだったと述べた。
トランプ大統領は7日にツイッターで、代行長官には税関・国境警備局のケヴィン・マカリーナン局長を指名する意向を表明した。
ニールセン氏はこれまで、メキシコ国境の壁建設や移民の親と子どもを引き離して収容するなどの、国境対策強化の遂行を担ってきた。
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ニールセン氏は辞表の中で、現在のアメリカは「私がこの政権に加わった時よりも安全」で、「身を引くべき時」が来たと述べた一方で、辞任理由については明らかにしていない。
ニールセン氏の辞任発表に先立ち、トランプ大統領とニールセン氏は5日、カリフォルニア州南部のメキシコ国境を訪れ、国境の壁の建設状況などを視察していた。
キルステン・ニールセンとは
ニールセン氏は2017年1月、ジョン・ケリー元国土安全保障長官の首席補佐官として初めてトランプ政権に加わった。
その後、ケリー氏が大統領補佐官に就任した際には、同氏の次席補佐官として共にホワイトハウスに異動した。
ニールセン氏は、移民の子どもを金網で区切られた区画に収容するなど、民主党議員からの激しい非難や追及に直面しているトランプ大統領の強硬な国境政策を擁護していた。
2018年6月には、ワシントンDCのメキシコ料理店で食事をしていたニールセン氏に対し、デモ隊が抗議する事態となった。
しかしニールセン氏は、「壊れた出入国管理制度」を修正するために努力するつもりだとツイートし、抗議を一蹴していた。
トランプ大統領との関係をめぐっては、良好ではないとの見方があったものの、表向きには政権に忠実な姿勢を見せていた。
与野党の反応
野党・民主党のエド・マーキー上院議員(マサチューセッツ州選出)は、ニールセン氏の辞任は「遅すぎるほどだ」だったとツイートした。
しかし、「トランプの移民コミュニティへの攻撃を確実に終わらせるための」戦いは「まだまだ続く」と述べた。
一方で共和党幹部のリンジー・グレアム上院議員はツイッターでニールセン氏を称賛し、「壊れた出入国管理制度と壊れた議会に対処するために最善を尽くした」と述べた。
南側国境は危険な状態にあると主張するトランプ大統領は今年2月、国境の壁建設計画のための費用を議会承認を得ずに確保するため、国家非常事態を宣言した。
民主党はこの決定に抗議し、違憲だとして国家非常事態宣言を無効にすると可決した。

<解説> 国境警備はますます強硬に?――アンソニー・ザーカーBBC北米記者
トランプ政権におけるキルステン・ニールセン氏の立場は1年以上の間、薄い氷の上にかろうじて立っているような、危険な状態だったと報じられている。
最も近しい関係にあったジョン・ケリー前大統領補佐官は昨年12月にホワイトハウスを去った。雪解けシーズンが到来した今、彼女の足元の氷がついに割れてしまったのだ。
あるいは、おそらく国土安全保障長官としての限界に達したのだろう。トランプ大統領が人事を刷新すると内部リークが拡散されるのが恒例なので、事の真相は今後明らかになるだろう。
しかし、ホワイトハウスの舞台裏では、攻撃性を増すトランプ大統領の移民問題をめぐり対立が起きているのは明白だ。
ほんの2日前には、トランプ氏は「より厳格な方向性」を目指すため、移民税関捜査局長へのロナルド・ヴィティエロ氏の指名を撤回した。
トランプ政権による移民家族の分断政策については昨年、超党派で抗議の声が上がった。ニールセン氏の名前は今後も、この政策と切っても切れないものになる。
大統領は昨年の時点ではいったん後退したが、国境警備への取り組みは今後さらに対決的なものになるだろう。最近の一連の動きから、それは明らかだ。













