スターマー英首相、ウクライナの平和維持のため地上部隊派遣の「用意」あると

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デイヴィッド・マーサー、BBCニュース
イギリスのサー・キア・スターマー首相は16日、和平合意の一環としてウクライナの安全保障を保証するため、イギリス軍をウクライナに派遣する「用意と意思がある」と表明した。
スターマー首相は英紙デイリー・テレグラフに寄稿し、ウクライナの永続的な平和を確保することは「プーチンが将来的にさらに侵略を開始するのを、我々が抑止するために不可欠だ」と述べた。
首相は、17日にパリで開かれる欧州各国首脳との緊急会談に先駆けて、イギリスとして「必要ならばこの国の軍隊を地上に派遣する」ことで、ウクライナの安全保障の確保に貢献する用意があると表明した。
「このようなことを軽々しく言っているのではない」と首相は書き、「イギリスの軍人を危険にさらす可能性があることについて、それに伴う責任を深く感じている」とも述べた。
その上で首相は、「しかし、ウクライナの安全を保証するためのあらゆる支援は、我々の大陸の安全、そしてこの国の安全を保証するための支援となる」と続けた。
また、ロシアとウクライナの戦争がいつか終わったとしても、「それはプーチンが再び攻撃する前の単なる一時休止になってはならない」と強調した。
イギリス軍は、ウクライナとロシアがそれぞれ掌握する地域の間の国境沿いに、他の欧州諸国の兵士と共に配備される可能性があるという。
スターマー首相の発表の前には、元イギリス陸軍司令官のダナット卿がBBCに対し、イギリス軍は「あまりに疲弊している」ため、今後ウクライナでどのような平和維持活の先頭に立つこともあり得ないと話していた。
首相はこれまで、停戦後のウクライナでその防衛にイギリス軍が関与する可能性はあると、ほのめかすにとどめていた。
首相は今月下旬に米首都ワシントンを訪れ、ドナルド・トランプ米大統領と会談する予定。スターマー氏はアメリカの関与については、「アメリカによるウクライナ安全保障の保証は、永続的な平和にとって不可欠だ。なぜなら、プーチンが再び攻撃するのを抑止できるのは、アメリカだけだからだ」と書いた。
欧州諸国の間では、アメリカが欧州抜きでロシアと和平協議を進めるのではないかと懸念が広がっている。そうした中でスターマー首相は17日の欧州首脳会議に臨む。
アメリカ政府関係者によると、マルコ・ルビオ米国務長官は、ウクライナ戦争の終結を目指した協議のため、数日中にもサウジアラビアでロシア当局者と会談する予定という。
アメリカのウクライナ担当特使キース・ケロッグ氏は15日、アメリカとロシアの協議に欧州首脳はいっさい参加しないと発言。米ロとしては、欧州の意見を参照するにとどめると述べた。
ウクライナ政府幹部は16日、ウクライナ戦争終結を目指す米ロ会談にウクライナ政府は招かれていないとBBCに明らかにした。
トランプ米大統領は12日、ロシアのプーチン大統領と長時間の会談を行ったと発表し、ウクライナでの「ばかげた戦争」を止めるための交渉が「直ちに」始まると表明。トランプ氏がゼレンスキー氏にこのことを「伝えた」のは、その後のことだった。
トランプ大統領は16日には、ゼレンスキー大統領が協議に参加するだろうと述べた。また、欧州諸国がウクライナ向けにアメリカ製の武器を購入することを認めるとも話した。
和平交渉が実を結び戦闘が終結するのはいつ頃だと思うかとBBCが質問すると、トランプ氏は「その実現に向けて取り組んでいる」と答えるにとどまった。また、ウクライナでの戦争の責任はジョー・バイデン前政権のウクライナ政策にあると批判した。
スターマー首相はテレグラフ紙への寄稿で、「和平のためならどのような代償を払ってもいいというわけではない」と書き、「ウクライナは交渉のテーブルに着かなくてはならない。そうでなければ、ウクライナは真の国家ではないというプーチンの言い分を認めることになってしまう」と指摘した。
「アメリカがタリバンと直接交渉し、アフガニスタン政府を排除したアフガニスタンのような状況を、再び引き起こすわけにはいかない」とも首相は書き、 「トランプ大統領もこれを避けたいと願っているはずだ」と述べた。
スターマー首相が指摘するアフガニスタンの状況は、トランプ政権の第一期目にアメリカが交渉した取り決めで、バイデン政権がそれを実施した。
スターマー首相は、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟する道は「不可逆」なもので、欧州諸国は「防衛費を増やし、同盟において従来より大きな役割を担う必要がある」とも書いた。
イギリスは現在、国内総生産(GDP)の約2.3%を防衛費に費やしており、これを2.5%に増やすと約束しているが、期限は示していない。
トランプ大統領はNATO加盟国に対し、GDPの5%を防衛費に充てるよう求めている。NATOのマルク・ルッテ事務総長は、加盟諸国はGDP比3%以上を防衛に充てるべきだという考えを示している。
2006年から2009年にかけて英陸軍トップだったダナット卿はBBCに対し、ウクライナの平和維持活動には最大4万人のイギリス軍兵士が必要になるものの、「そのような人員はまったく確保できていない」と話した。
ダナット卿は、平和維持部隊には計約10万人の兵士が必要となり、イギリスは「そのかなりの割合を提供しなくてはならないが、そんなことは本当にまったく無理だ」と述べた。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領が開催を呼びかけたパリでの欧州首脳緊急会合には、スターマー首相のほか、ドイツ、イタリア、ポーランド、スペイン、オランダ、デンマークの首脳ら、欧州理事会議長、欧州委員会委員長、ルッテ事務総長らが出席する予定。











