ハマスが武装解除計画を拒否とパレスチナ高官 「平和評議会」の現地代表を非難

画像提供, Reuters
ラシュディ・アブアルーフ・ガザ特派員
パレスチナ・ガザ地区の武装組織ハマスは、ドナルド・トランプ米大統領が主導するガザ和平計画の代表者が提示した武装解除計画を拒否した。和平交渉に詳しいパレスチナの高官がBBCに明らかにした。
この高官は、アメリカ主導の「平和評議会」の現地代表を務めるニコライ・ムラデノフ氏を、イスラエル寄りだと非難した。ムラデノフ氏は3月、ハマスとイスラエルが昨年10月に合意した停戦の第2段階の一環として、ガザの非武装化に向けた枠組みを示していた。
しかし、カイロで行われた交渉の中でハマスは、中東の仲介国に対し、イスラエルが第1段階の条件を完全に履行するまで、第2段階に関する協議には応じないと伝えたと、この高官は話した。
一方、イスラエルは、ハマスの武装解除で進展がなければ和平に向けて前進しない立場を示している。
トランプ氏の和平計画の第1段階では、戦闘を停止し、イスラエルからガザに連れ去られた人質とイスラエルにいるパレスチナ人囚人をそれぞれ引き渡したほか、イスラエル軍が部分撤退した。
今年1月には、アメリカのスティーヴ・ウィトコフ中東特使が第2段階の開始を発表したが、その後イスラエルとハマスの間で行き詰まりが続いている。第2段階は、ガザの非武装化とイスラエル軍の全面撤退を経て、戦争を恒久的に終結させることを想定している。
ムラデノフ氏は3月、ガザのパレスチナ武装組織が武器を手放すための詳細な計画を提示。これを、イスラエルの軍事作戦によって壊滅的な被害を受けたガザの復興の始まりと結び付けていた。
ハマスが主導する武装勢力は2023年10月7日にイスラエル南部を攻撃。約1200人を殺害し、251人を人質としてガザに連れ去った。これを受けてイスラエルはガザへの軍事作戦を開始した。ガザ保健省によると、この作戦でこれまでに7万2330人以上が殺された。これには、昨年10月10日に停戦が始まって以降に殺害された757人も含まれている。
計画は「イスラエルの立場と一致」とハマス
ハマスの当局者の1人はBBCに対し、「我々は第2段階の協議を始める前に、ムラデノフが、第1段階の残りの義務をイスラエルが果たす明確なスケジュールと、イスラエルの違反行為を止める保証を示すのを待っている」と話した。
また、パレスチナの各派閥は武器の問題について、部分的な取り決めではなく、パレスチナ人の自決権を保証する包括的な解決と結び付いた問題だと考えていると付け加えた。
この当局者は、ムラデノフ氏が、イスラエルが独立したパレスチナ国家の樹立を受け入れる可能性は低いと考えていると指摘した。
ハマスと他のパレスチナの派閥は、カイロでの会合の際、仲介者に対し、「イスラエルによる違反、攻撃、殺害、今も続く飢餓の完全停止」と、第1段階の全面的な実施がなければ、第2段階に関するいかなる協議も開始しないと伝えたという。
当局者らによると、ハマスは、イスラエルのガザからの全面撤退に加え、民間人の保護で地元警察を支援する国際的な保護部隊の展開を求めている。
別のハマス当局者は、第1段階で残っている要件には次の事項が含まれると述べた。
・軍の撤退の完了
・ラファの検問所および全ての検問所の個人に対する再開
・十分な量の援助物資と商品の搬入の許可
・戦後のガザ統治を担う専門知識をもつ官僚らの暫定的なパレスチナ行政機構「ガザ行政国家委員会(NCAG)」の活動開始
・電力の復旧
・がれき撤去のための重機の搬入
・病院の復旧と製パン施設や水道施設の稼働
この当局者はまた、ムラデノフ氏の構想は、全ての問題を武装解除と結び付ける一方で、救援や復興計画のための資金支援を示さず、復興の取り組みを停滞させている点で、「イスラエルの立場と一致している」と指摘。これがハマスを含む諸派閥が計画を拒否した理由だとした。
ムラデノフ氏は先月、国連安全保障理事会で、「武装勢力による武器の放棄は、数十年にわたってガザの生活を規定してきた暴力のサイクルからの決定的な断絶となる」と述べた。
さらに、「ガザの人々にとって、それが意味するものは極めて大きい。イスラエル軍の撤退と、大規模な復興だ」と語り、選択肢は「さらなる戦争か、新たな始まりか」だとも述べた。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はこれまでに、ハマスに対し、「容易な方法か、困難な方法かのいずれかで」武装解除されることになると警告している。








