エア・インディア機墜落、インド当局がボーイング機の燃料スイッチの点検を指示 米当局は「安全」と通知

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インド西部アーメダバード発イギリス・ロンドン行きのエア・インディア機(ボーイング787-8型ドリームライナー)が6月に墜落した事故をめぐり、インド航空規制当局の民間航空総局(DGCA)は14日、国内で運航されているボーイング機の燃料制御スイッチを点検するよう、航空各社に指示した。
墜落事故をめぐっては12日、インド航空事故調査局(AAIB)が主導する事故調査の予備報告書が公表された。その中で、当該機の燃料供給を制御するスイッチが離陸直後に「オフ」にされたと指摘されていた。
一方で、アメリカ連邦航空局(FAA)は14日、DGCAの指示に先立ち、ボーイング機の燃料制御スイッチは「安全」とする通知を出していた。
インド西部アーメダバードを出発しロンドンに向かっていたエア・インディア機は、現地時間6月12日午後1時38分に離陸した直後に墜落した。この墜落で、計260人が死亡した。乗客のイギリス人男性(40)1人が奇跡的に生き延びた。
12日に公表された15ページにわたる報告書によると、事故後に回収されたコックピット・ボイス・レコーダー(CVR)には、一方の操縦士が「なぜ遮断したんだ?」と尋ね、別の操縦士が「そんなことしていない」と答える音声が記録されていた。
航空機には、左右のエンジンへの燃料供給を制御するスイッチがあり、通常は地上でエンジンを稼働・停止する際に使用される。
事故機のフライト・レコーダーによると、離陸直後に左右の燃料制御スイッチが「RUN(運転)」から「CUTOFF(遮断)」に切り替わっていた。
これにより、左右のエンジンが推力を失ったと、AAIBの報告書は指摘している。
予備報告書の公表を受け、インド国内外の関係機関が声明を出すなど、対応に乗り出している。
DGCAは、7月21日までに燃料制御スイッチの点検を実施するよう航空各社に指示。「機体の耐空性と運行上の安全性を確保するため、期限厳守が不可欠」だと強調した。
点検の指示は、米連邦航空局(FAA)が2018年に発行した指針に基づくもの。この指針は予備報告書で言及されていた。
2018年の指針は、ボーイング機を運航する事業者に対し、燃料制御スイッチのロック機能を点検し、誤って操作される可能性がないかの確認を促すものだが、義務付けてはいない。
燃料制御スイッチの点検が義務付けられていなかったことから、エア・インディアは点検を行っていなかったと、AAIBの予備報告書は指摘している。
DGCAは現在、燃料制御スイッチを点検し、結果を報告するよう、各航空会社に指示している。
こうした中、インドの商業パイロット協会は14日、事故機の乗員は「困難な状況下で訓練と責務に従って行動した。操縦士は憶測で非難されるべきではない」と表明した。
ロイター通信によると、韓国も、ボーイング機を運航するすべての航空会社に対して燃料制御スイッチの点検を指示する方針とみられる。
米航空当局は燃料制御スイッチは「安全」と
一方で、FAAは12日、AAIBの予備報告書の内容を確認したと、各民間航空当局に通知した。
FAAは、2018年の指針は「スイッチのロック機能が無効化された状態で取り付けられていたとの報告をもとに作成されたものだと説明したうえで、これが航空機の安全性を損なうものだとは考えていないと付け加えた。
BBCが入手した内部メモの中で、FAAは、「複数のボーイング機種には、ロック機能を含めて、類似した燃料制御スイッチの設計が用いられている。しかし、これが安全性に関わり、耐空性改善命令を出す必要がある問題だとは考えていない」と述べた。
さらに、「FAAは今後も必要に応じて、外国の民間航空当局と関連情報を共有していく」とした。
エア・インディアの対応
エア・インディアのキャンベル・ウィルソン最高経営責任者(CEO)は従業員宛てのメールの中で、事故原因について「性急に結論」を下すべきではないと警告した。
ウィルソン氏は、この1カ月間に「さまざまな仮説や疑惑やうわさ、そしてセンセーショナルな見出しが飛び交ってきた」が、その多くは後に否定されていると述べた。
予備報告書については、事故原因を特定しておらず、推奨事項も示していないと強調。「調査はまだ終わらない」と続けた。最終的な詳細な報告書は今後12カ月以内に公表されるとみられる。
ウィルソン氏は、「徹底的かつ包括的な調査の実施に必要なあらゆることを調査官が確保できるよう、彼らと引き続き協力していく」とした。
また、報告書では「機体やエンジンに機器の問題や整備上の問題は示されていない」とし、エア・インディアは運航前に必要なすべての点検を行っていたと続けた。
それでも同社は、事故から数日以内に、所有する787機に対して追加点検を実施したという。追加点検は、「慎重を期すための措置」で、すべての機体が運航に適していることが確認されたと、ウィルソン氏は述べた。











