「手違い」で中米へ強制送還の男性、米で釈放され家族と再会 弁護団は再送還を懸念

刑務所を出て屋外を歩くアブレゴ=ガルシア氏。白いシャツを着ている。黒い短髪で黒いあごひげをたくわえている。

画像提供, Reuters

画像説明, 刑務所から釈放されたキルマー・アブレゴ=ガルシア氏(22日、米テネシー州クックヴィル)

今年3月に「手違い」でアメリカ国外に送還され、その後、刑事訴追されたためにアメリカに帰還していた中米エルサルバドル出身のキルマー・アブレゴ=ガルシア氏が、22日に保釈された。

同氏の弁護士を務めるショーン・ヘッカー氏はBBCに対し、「本日、キルマー・アブレゴ=ガルシア氏は自由の身となった」と述べ、同氏がメリーランド州の家族のもとに戻る予定だと明らかにした。

アブレゴ=ガルシア氏は3月、ドナルド・トランプ大統領による移民取り締まりの一環として、母国のエルサルバドルへ国外追放された。現地では悪名高い巨大刑務所「テロ監禁センター(CECOT)」に収容されていた。アメリカ政府は当時、同氏の追放が「行政上の手違い」だったことを認めていた。

同氏はその後、6月にアメリカへ戻され、南部テネシー州で人身売買に関する容疑で起訴された。同氏は無罪を主張している。

弁護士によると、アブレゴ=ガルシア氏が家族のもとへ戻るのは、3月に国外追放されて以来初めて。同氏には妻と2人の子どもがいる。

同氏は保釈後の声明で、「今日はとても特別な日だ。160日以上ぶりに家族と再会することができた」と語った。

また、自分を支援し、祈ってくれたすべての人々に感謝の意を示し、「今日、私は神に感謝している。神は私の声を聞いてくださり、私は今日、自由になった。正義に一歩近づいたが、正義はまだ完全には実現していない」と述べた。

アブレゴ=ガルシア氏の釈放は、同氏の国外追放を強く支持し、「アメリカの地で自由になることは決してない」と断言していたトランプ政権にとって打撃となっている。

弁護士らは、アブレゴ=ガルシア氏がメリーランド州に到着した際、移民当局によって再び拘束されるかもしれないと懸念している。さらに、別の国へ強制送還される恐れもあるとして警戒を強めている。

クリスティ・ノーム米国土安全保障長官は、アブレゴ=ガルシア氏の釈放を認めた判事を厳しく批判した。

ノーム長官はBBCに対し、「この怪物をアメリカの街に解き放ったことで、この判事は国民の安全を完全に無視した」と述べた。

さらに、「このエルサルバドル人が正義に直面し、我が国から追放されるまで、我々は闘いを止めない」と強調した。

アブレゴ=ガルシア氏は10代の頃、エルサルバドルからアメリカに不法入国した。同氏は2019年3月、メリーランド州ハイアッツヴィルにある米住宅リフォーム小売「ホームデポ」の駐車場で、別の男性3人と共に拘束された。連邦移民当局の施設で勾留されたが、その後、エルサルバドルのギャングから迫害される恐れがあるとして、強制送還を差し止める保護処分の対象になった。

しかし、今年3月に国外追放され、エルサルバドルのCECOTに収容された。後にトランプ政権の関係者は、この追放が「誤り」だったとを認めている。米連邦最高裁が4月に、同氏の帰国を「容易にする」よう政府に命じたものの、政権はこれに抵抗していた。

アブレゴ=ガルシア氏が6月に人身売買の罪でアメリカに戻された後、パム・ボンディ米司法長官は、「これがアメリカの司法の姿だ」と述べていた。

同氏は罪状を否認しており、弁護士は人身売買の容疑について「ばかげている」と主張している。

テネシー州の連邦判事は6月下旬の時点で、アブレゴ=ガルシア氏の釈放資格を認めていが、弁護団は、施設を離れれば、すぐ再び国外追放される可能性があるとの懸念を表明したため、同氏は拘束されたままとなっていた。

トランプ政権は先に、同氏を国外追放してメキシコまたは南スーダンへ移送する案を検討していると述べている。

テネシー州の連邦判事は今回、政府がアブレゴ=ガルシア氏の国外追放を求める場合、弁護士に事前に通知するよう命じている。