ハリー英王子、タブロイド紙に勝訴 「盗聴で記事」に約2540万円の賠償命令

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イギリス王室のサセックス公爵ハリー王子が留守番電話を盗聴されていたなどとしてタブロイド紙「デイリー・ミラー」の発行会社を訴えていた民事裁判で、高等法院は15日、同紙記者が電話盗聴などの違法な手段で記事を書き、王子のプライバシーを侵害したと15件の訴えを認め、発行会社「ミラー・グループ・ニュースペーパーズ(MGN)」に14万600ポンド(約2540万円)の損害賠償支払いを命じた。
高等法院のティモシー・ファンコート裁判長は、王子が留守番電話音声の盗聴などの証拠として提示した記事33本のうち15本について、王子側の主張を認め、「デイリー・ミラー」などで電話盗聴による情報収集行為が「幅広く、かつ常習的に」行われていたと認定した。
ハリー王子は判決を受けて、「真実と説明責任にとって素晴らしい日」だとコメントした。
王子の代理人、デイヴィッド・シャーボーン法廷弁護士は、判決について「(王子の)主張の正しさを認め、確認するものだ」と歓迎した。
「この事件は単にハッキング(電話盗聴)の問題に限らない。これは、違法行為とおぞましい行動が組織的に繰り返され、しかも隠ぺいと証拠隠滅が続いていたことに関する事件だ。しかもその組織的行動のショッキングな規模は、こうした裁判手続きを通じてでなければ明らかにできなかった」とするハリー王子の声明を、弁護士は読み上げた。
王子は声明でさらに、「竜と戦って倒せば自分はやけどをすると言われてきた。しかし、今日の勝利を受けて、そして自由で正直な報道のために必要なことをする重要性を思えば、有意義な代償だ」とも述べた。
ハリー王子は、警察や司法当局に対し、「デイリー・ミラー」の発行会社と違法行為の当事者を「訴追する方向で捜査」するよう呼び掛けた。
ロンドン警視庁は声明で、「本日の高等法院で下された民事訴訟の判決を慎重に検討する。現在、進行中の捜査はない」と述べた。
「デイリー・ミラー」、「サンデー・ミラー」、「ピープル」の発行会社MGNはこれまで、盗聴取材をめぐる他の訴訟と賠償金ですでに1億ポンド(約180億円)を支払ってきたとされる。

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ファンコート裁判長は、MGN発行3紙すべてで、違法な情報収集活動が「幅広く」「常習的」に行われていたと判断を示したほか、当時の編集責任者ピアス・モーガン氏が、歌手カイリー・ミノーグさんの情報を得るための電話盗聴について知らされていたという、記者の証言を証拠採用した。
ハリー王子は独身時代から、自分の日常や個人的な人間関係が大衆紙の取材の標的にされ、記事にされていると主張していた。
高等法院の判決を受けて「MGN」広報担当は、「何年も前の出来事から先に進むため、明確な」道筋を同社に示してくれたと判決を歓迎するコメントを出した。「過去の過ちについては、全面的に謝罪し、全責任を負い、適切な賠償を支払ってきた」としている。
他方、モーガン氏は判決内容を強く否定し、法廷内での証言は「恨みを晴らしたい」人たちによるもので、ハリー王子は「自分の家族を公に攻撃」した「偽善者」だと批判した。また、自分は電話ハッキングについて何も知らなかったと繰り返し、「私は電話をハッキングしたことなどないし、誰かに電話をハッキングするよう指示したこともない」と力説した。
この裁判でハリー王子は今年6月、高等法院に出廷して、自分に対する大衆紙の行動について証言した。現代において王族が自ら法廷に立ち、詳しく証言するのは、これが初めてだった。
ハリー王子の勝訴によって、同種の事案についての提訴が相次ぐ可能性がある。
ハリー王子は「MGN」のほかにも「アソシエイテッド・ニュースペーパーズ」や「ニュース・グループ・ニュースペーパーズ」など、複数のタブロイド紙発行会社を訴えている。








