ポーランド総選挙、右派与党が過半数割れの見通し=出口調査

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ポーランドで5日に行われた総選挙で、出口調査の結果、与党の右派ポピュリスト政党「法と正義」(PiS)が第1党となる見通しとなった。しかし過半数議席は獲得できない情勢で、政権3期目は難しいとみられている。
イプソスの出口調査によると、ヤロスワフ・カチンスキ党首率いるPiSの得票率は36.8%。一方、中道の野党連合「市民連立」が31.6%を獲得する見通し。
このとおりになれば、元欧州理事会議長のドナルト・トゥスク氏率いる市民連立が連立政権を形成する確率が高い。
トゥスク氏は、PiSの8年にわたる政権がポーランドの民主主義の脅威になっているとし、打倒を目指している。
カチンスキ氏は、この選挙での「勝利が3期目に結び付くのか」分からないと認めた。
選挙管理当局によると、投票率は72.9%と、1989年の民主化後で最も高くなる見込みだという。
またイプソスの調査では、18~29歳の有権者の投票率が、60歳以上の投票率を上回った。
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PiSは、下院に当たる議会460議席のうち200議席を確保する見通しだが、過半数の231議席には届かない。連立を組む可能性のある極右「コンフェデラツィア」は予想の12議席よりも少ない議席数となる見込みで、大きな助けにはならないとみられている。
ロシアの全面侵攻から20カ月近くがたとうとしている現在、総選挙の結果にかかわらず、ポーランドのウクライナに対する強い支持は変わりそうにない。しかしPiSの幹部らはここ数週間、ウクライナ懐疑派のコンフェデラツィアに引きつけられた有権者を取り込もうと、明らかに揺らいでいた。
カチンスキ氏は13日の演説で、トゥスク氏の野党・市民連立が勝利すればポーランドは「ドイツやロシアからの電話で統治される」という持論を展開。トゥスク氏には愛国心がなく、安全保障上の脅威になると述べていた。
また、ロシアおよびウクライナとの国境への大規模な軍事支出に言及していた。
移民についても、欧州連合(EU)の不法移民割り当て政策を「断固として拒否する」と、党の方針を貫く構えを見せた。
その上で、「ポーランド国民により良い生活を与える」と約束し、賃金や年金の引き上げを示唆した。

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一方の市民連立は、投票者9万人のデータを基にした出口調査の結果通りとなれば、中道右派「第3の道」および「新左派」と幅広い連立を組むチャンスがある。
トゥスク氏はEUとの関係を改善し、法と正義が行った司法改革によって凍結されている、EUの新型コロナウイルスのパンデミック復興基金からの360億ユーロを解除しようとしている。この司法改革は、政府が最高裁判所に与党寄りの裁判官を任命できるようになり、中立性が損なわれたと批判されている。
市民連立はまた、2021年にほぼ全面禁止となった人工妊娠中絶について、自由化を約束している。
トゥスク氏は、首都ワルシャワで躍進に湧く支持者を前に、「ポーランドが勝った。民主主義が勝った」と述べた。「これで悪い時代は終わる。PiSの政治は終わる」。
社会的に保守的な与党寄りのアンジェイ・ドゥダ大統領は通常、総選挙の第1党に政権樹立を要請する。関係者も、それが伝統的な次の段階だとしている。
しかし、もし法と正義が議会の信任投票に勝てなかった場合、議会は新首相を任命し、その新首相が組閣し、再び信任投票が行われる。
BBCのカティヤ・アドラー欧州編集長は、ポーランドはハンガリーと共にEUの「悪い子」と見られていると説明。ポーランドについては、国内で女性の権利や司法の独立性、報道の自由を侵害していることから、EU補助金を保留されているほか、移民や気候変動の面でEUの政策に逆行していると述べた。
そのため、まだ出口調査の結果ではあるものの、EU圏の大部分で見られるEUに懐疑的な強硬右派の明らかな復活とは逆行する結果になりつつあることを、EU関係者は歓迎しているのだとアドラー編集長は指摘した。







