ロシア、国連人権理事会への復帰を模索 支持求める文書をBBCが入手

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ウクライナ侵攻を理由に、昨年4月に国連人権理事会から事実上追放されたロシアが、同理事会への復帰を模索していることが、BBCが入手した文書で明らかになった。
ロシアは昨年2月にウクライナへの全面侵攻を開始。国連は同4月の総会で、国連人権理事会におけるロシアの理事国資格を停止する決議案を可決した。
そのロシアの外交官たちがいま、人権理事会理事国に自国を再選させることを狙っている。
人権理事会の理事国になるには、国連総会の投票で過半数の獲得が必要。理事国の任期は3年。
BBCはこのほど、ロシアが支持を求めて国連加盟国に配布している、ポジション・ペーパー(自国の見解を示した文書)のコピーを入手した。
投票は10月に行われる。
この投票は、国連の国際的立場が問われる試金石となると、BBCのジェームズ・ランデール外交担当編集委員はみている。
ロシアの人権問題
BBCが確認した文書の中で、ロシアは「人権問題の適切な解決策」を見つけることを約束し、国連人権理事会が「ある国々の政治的意思に奉仕する道具」になることを阻止するとしている。これは西側諸国を指していると思われる。
複数の外交官は、ウクライナや自国における人権侵害で非難されているロシアが、国際的な信用をいくらか取り戻すことを望んでいるとの見方を示した。
ウクライナに関する国連の調査委員会は25日、ロシアによる虐待行為に関する最新の証拠を人権理事会に報告した。
同調査委のエリック・モーセ委員長は、拷問やレイプ、民間人への攻撃を含む戦争犯罪の証拠が継続的に確認されていると述べた。
ロシアの人権問題担当の国連特別報告者マリアナ・カツァロワ氏は、2週間前に発表した別の報告書で、ロシア国内の人権状況も「著しく悪化」しており、ウクライナへの侵略行為を批判した人が恣意(しい)的な逮捕や拷問、虐待の対象になっているとしていた。
ロシアの理事会復帰は
スイス・ジュネーヴが拠点の国連人権理事会は、投票で選出された47の理事国で構成されている。
10月10日に予定されている次回の投票で、ロシアは中東欧諸国に割り当てられた理事会の2枠を、アルバニアおよびブルガリアと争うことになる。

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投票には米ニューヨークの国連総会メンバーである全193カ国が参加する。国連加盟国の外交官たちによると、ロシアは積極的なキャンペーンを展開し、ロシアに投票する見返りとして小国に穀物や武器の提供を提案しているという。
そのため、ロシアが人権理事会に復帰する可能性は十分あると、外交官らは指摘する。
国連加盟国に配布されたロシアのポジション・ペーパーには、ロシアは「人権問題の適切な解決策を見出すために、理事会における協力の原則と、建設的な相互尊重の対話の強化を促進したい」とある。
ロシアの核心的な主張は、「人権理事会をある国々の政治的意思に奉仕する道具に変える傾向が強まるのを防ぐ」ために、理事会メンバーとしての立場を利用するというものだ。その国々が「独立した対外政策を理由に、自分たちに忠実ではない政府を罰する」ことは望まないとしている。
ロシアは昨年4月の国連総会で、賛成93、反対24、棄権58で国連人権理事会における理事国資格を停止された。同国はポジション・ペーパーで、資格停止になったのは「アメリカとその同盟国」のせいだと非難している。

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国連ウォッチ、ヒューマン・ライツ・ファウンデーション(人権財団)、ラウル・ウォレンバーグ人権センターの3団体が今月発表した報告書は、ロシアは国連人権理事会のメンバーとして「不適格」であると結論づけた。
「ウクライナに対する戦争がいまだ続いている中、ロシアを理事国に再選することは人権問題への取り組みにとって逆効果であり、ウクライナにおけるロシアの犯罪に対する責任をロシアに負わせることに、国連が真剣に取り組んでいないというメッセージを送ることになる」と、同報告書は指摘している。
イギリスは、ロシアの人権理事会復帰に「強く反対する」としている。
英外務省報道官は、「先週、ロシア担当の国連特別報告者が強調したものを含め、ウクライナやロシア国民に対するロシアの人権侵害と違反行為を示す広範な証拠がある。これらは、ロシアが同理事会の取り組みを完全に軽視していることを示している」と述べた。
英最大野党・労働党のデイヴィッド・ラミー影の外相は、ロシアはウクライナで残虐行為を行い、国際刑事裁判所(ICC)からロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対してウクライナ侵攻をめぐる戦争犯罪容疑で逮捕状が出ていると指摘。国連憲章を全く軽視していることを示していると述べた。
「ロシアが人権理事会に復帰するという考えは、人権の概念そのものに対する侮辱であり、その信頼性を傷つける危険な後退だ」と、ラミー氏は述べた。「英政府は、過去に(投票を)棄権した国々に集中的に働きかけ、国連の本質的な価値が守られなければならないと訴えるべきだ」。
BBCは国連のロシア代表部にコメントを求めている。









