NASA、小惑星のサンプル入りカプセルを回収 「驚異的な成果」
ジョナサン・エイモスBBC科学担当編集委員、米ユタ州ダグウェイ

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「太陽系で知られている中で最も危険な岩石」の砂やほこりの試料が24日、地球に運び込まれた。
米航空宇宙局(NASA)が、サンプルの入ったカプセルをユタ州のウェスト砂漠に着地させた
このサンプルは、探査機OSIRIS-REX(オサイリス・レックス)が2020年に小惑星「ベンヌ」の表面からすくい上げたもの。
ベンヌは今後300年以内に地球に衝突する可能性がわずかながらあるため、NASAはこの小惑星について理解を深めたい考えだ。
ただ、今回のサンプルはそれ以上に、46億年前の太陽系の形成や、もしかすると地球での生命誕生について、新たな洞察を提供するものとなりそうだ。
この日、サンプル入りのカプセルを長距離カメラが捉えると、OSIRIS-REXのチームから歓喜の声が上がった。

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カプセルは予定より3分早い米東部時間午前10時52分(日本時間午後11時52分)、国防総省が所有する砂漠に着地した。
車のタイヤほどの大きさのカプセルは、米西部の上空で秒速12キロメートル超で大気圏に突入していた。ヒートシールドとパラシュートが落下の速度を落とし、制限区域内に静かに完璧に着地させた。
米航空宇宙メーカー、ロッキード・マーティンのティム・プライザー・チーフエンジニアは、「この小さなカプセルは任務を理解していた」、「まるで羽のように着地した」と話した。
砂漠でカプセル回収に当たったスタッフらは、ヘリコプターで戻って来ると、「素晴らしかった」とBBCニュースに話した。
OSIRIS-REX主任研究者のダンテ・ローレッタ氏は、「あのヘリコプターの中で、パラシュートが開いてもうすぐ軟着陸すると聞いた時、赤ちゃんのように泣いた」と述べた。
「まさに圧倒されるような瞬間だった。驚異的な成果だ」

科学者らは、着地前の予想で250グラムほどとされた貴重な積荷を何としても入手したいと思っている。
250グラムというのは、それほど多くないと思えるかもしれない。ある科学者は、成長したハムスター1匹分の重量だと表現した。だが、NASAのチームにとっては、研究に十分過ぎる量だ。
「非常に小さな粒子を非常に高分解能で分析することが可能だ」と、NASAジョンソン宇宙センター(テキサス州)のアイリーン・スタンスベリー主任科学者は言う。
「私たちは10ミクロンの粒子を十数枚にスライスし、ナノレベルで一粒一粒をマッピングできる。だから250グラムはとてつもない量だ」

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砂漠では清潔が合言葉だった。回収チームは地上でカプセルを見つけると、できるだけ早く、近くのダグウェイ陸軍基地の仮設クリーンルームに運び込むことに努めた。
研究者らが考えているように、サンプルに生命の誕生に関係した可能性のある炭素化合物が含まれているとしたら、現在の地球の化学物質と混ざることは何としても避けなければならない。
「宇宙船の清潔さと汚染防止は、このミッションで非常に厳格に要求された」と、マイク・モロー副プロジェクトマネージャーは話した。
「サンプルを保護する最善の方法は、現地からできるだけ早く格納庫に設置したクリーンラボに運び、純粋な窒素ガスパージ下に置くことだ。そうすれば安全だ」。
これは米東部時間午後1時前に達成された。着地からわずか4時間後のことだった。
その後、研究チームはカプセルを分解。ヒートシールドと裏ぶたを取り外した。サンプルは内側の小型容器に入ったままにした。

サンプルは25日にジョンソン宇宙センターの専用施設に運ばれ、分析が開始される。
イギリスの自然史博物館の専門家で科学者のアシュリー・キング氏は、初期評価をする「クイック・ルック」チーム6人の一員となる予定だ。
「非常に柔らかく、非常にもろい、岩のような物質が見られるのではないか」
「粘土鉱物、つまりケイ酸塩鉱物があり、その中には水が閉じ込められているだろう。炭酸塩鉱物やコンドリュールと呼ばれるもの、そしてカルシウム・アルミニウム包有物もおそらく見られると思う。

NASAは10月11日に記者会見を開き、帰還した物質について最初の説明をする予定だ。世界中の関連研究チームに少量の標本を配布する。より幅広い研究について、2年以内に報告したい考えだ。
NASAのロリ・グレイズ惑星科学ディレクターは、「サンプル・リターン・ミッションの最も重要なことの一つは、サンプルの75%を取り分け、未来の世代のために保管しておくことだ。まだ生まれてもいない人々が、今はまだ存在しない研究施設で、私たちが考えたこともないような装置を使って研究できるように」とBBCニュースに話した。










