ウクライナ、バフムートで前進をあらためて主張 ロシアの否定受け

画像提供, Reuters
ウクライナ政府は12日、自軍が東部バフムートで前進し、領土を奪還していると明らかにした。バフムートをめぐる攻防戦はロシアがじわじわと前進しながらも数カ月にわたり膠着(こうちゃく)していただけに、ウクライナ軍の前進は情勢変化のきざしをうかがわせる。
ウクライナ政府によると、ウクライナ軍は1週間で2キロ前進した。ロシア側は、自軍を一つの地域に集結させたのだと説明している。
ウクライナのハンナ・マリャル国防次官は通信アプリ「テレグラム」への投稿で、ウクライナが拠点を一切失うことなく2キロ前進したのに対し、ロシア側は多数の兵を失ったと書いた。
ロシアの軍事ブロガーたちは、ウクライナ軍が複数の地域で前進したか、あるいは部隊を移動させていると書いている。
アメリカのシンクタンク、戦争研究所も11日、ウクライナはバフムートでおそらく2キロ前進したと分析している。
BBCが検証した5月11日投稿の動画では、ウクライナ軍の標章をつけた兵士たちが門の前でポーズをとっている。後方には、ウクライナ軍の標識のついた戦車が見える。撮影場所はバフムート工業大学の近くで、最近までロシアの雇い兵会社「ワグネル」が掌握していた地域だと特定された。
こうした数々の分析はバフムート情勢の変化のきざしをうかがわせるものの、ウクライナの全面的な反転攻勢が始まった明確な兆候はない。

その一方で、ロシア占領下の東部ルハンスク市では12日、2回の爆発が報告された。ソーシャルメディアに投稿された画像には、市内から黒煙が上る様子が映っている。画像はBBCが検証、確認した。爆発の原因は確認されていない。ルハンスクは戦闘の前線から約90キロ離れている。
この前日にはイギリス政府が、長距離巡航ミサイル「ストームシャドウ」をウクライナに提供したと明らかにしていた。製造元によると、「ストームシャドウ」の射程は250キロ以上。ウクライナはこれまでロシアの標的攻撃には、高機動ロケット砲システム「ハイマース」(射程80キロ)に頼っていた。
ただし、ルハンスクでロシアが任命した現地当局者は、12日に砲撃されたのはかつて企業2社が入っていたビル2棟で、使われたのはウクライナ製ミサイルだと思うと話している。
これに先立ちロシア国防省は、バフムート南部にいたロシア軍部隊が戦略的な理由から位置を変更したのだと説明していた。マロイリニウカ地区にいた部隊は「ベルヒウカ貯水池の方が防衛拠点として好ましい」として、移動したのだという。
しかし、「ワグネル」代表のエフゲニー・プリゴジン氏は、国防省が言っているのは部隊の移動や再編成などではなく、「残念ながら『逃走』だ」と非難した。
激しい攻防戦が長引くほどにバフムートの象徴的な重要性は増しているものの、戦術上の意味は多くの専門家に疑問視されている。


ウクライナの反転攻勢は
昨年2月のロシアによる侵攻開始から間もなく占領された南東部メリトポリでは、11日朝に大規模な爆発が報告されている。
原因は不明だが、ウクライナ軍は同日、ロシア軍の部隊や備品を計14回にわたり空爆したほか、ロシアのドローン9機を破壊したと発表。さらに、砲兵隊や弾薬庫、防空装備など数十の軍事拠点に対する攻撃を成功させたとしている。
ウクライナの反攻開始については、さまざまな見方が出ている。ウォロデミル・ゼレンスキー大統領は10日、BBCなど欧州の公共放送局に対して、時期尚早との見方を示し、「(手持ちの兵器でも)前進し成功できると思う」と説明。「しかし多くの人を失うことになる。それは受け入れられないと思う。だから待つ必要がある。まだもう少し時間が必要だ」と話し、西側諸国が提供を約束した武器の必要性を強調した。
他方で、複数の親ロシア派の戦争記者や軍事アナリストが、ウクライナ軍の戦車がハルキウの環状道路をロシアとの国境に向けて進むなど、反攻を開始していると指摘している。
匿名の米軍幹部はCNNに対して、ウクライナ軍が大規模な反攻に備え、敵の武器庫や司令部、装甲・砲兵システムなどを攻撃していると話した。
ウクライナ軍が昨年春に南部や南東部で大規模な反撃を展開した際には、その前触れとして戦場の「形」を作るため、ウクライナは空からの攻撃を繰り広げていた。











