トランプ氏の性的暴行を認定、米連邦地裁 デパートでコラムニストに対し

Ms Carroll smiled to reporters as she left the courthouse

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画像説明, E・ジーン・キャロル氏は笑顔で裁判所を後にした

1990年代に米ニューヨークのデパートで性被害を受けたとして、雑誌コラムニストがドナルド・トランプ前大統領(76)を訴えていた民事訴訟で、同市マンハッタンの連邦地裁の陪審は9日、トランプ氏が性的暴行をしたと認めた。

原告はファッション誌エルの元コラムニストのE・ジーン・キャロル氏(79)。27年前にマンハッタンの高級デパート「バーグドルフ・グッドマン」の更衣室でトランプ氏にレイプされたと訴えていた

陪審は性的暴行はあったとしたが、レイプについてはトランプ氏の責任を認めなかった。

トランプ氏はキャロル氏の訴えについて否定していた。

トランプ氏が性的暴行について法的責任を認定されたのは初めて。民事裁判の判断であるため、性犯罪者としての登録は義務づけられない。

陪審はまた、トランプ氏がキャロル氏の告発を「でっち上げでうそ」と呼んだことを名誉毀損(きそん)だと認めた。

そのうえで、損害賠償としてトランプ氏に約500万ドル(約6億7500万円)を支払うよう命じた。

キャロル氏は評決後に声明を発表。「今日、世界はついに真実を知ることになった」、「この勝利は私だけでなく、信じてもらえずに苦しんできたすべての女性のものだ」とした。

トランプ氏の弁護士は、同氏が控訴する方針だと述べた。

「とても幸せ」、「恥ずべき評決」

男性6人、女性3人で構成された陪審はこの日、3時間足らずで評決に至った。

裁判は2週間にわたったが、トランプ氏は出廷しなかった。

キャロル氏はこの日の法廷で評決が読み上げられると、弁護士2人の手を握りしめた。損賠賠償が認められた際には笑顔を見せた。

公判が終わると、トランプ氏の弁護士ジョー・タコピナ氏はキャロル氏と握手し、「おめでとう、幸運を」と声をかけた。

キャロル氏は法廷の外に出ると立ち止まらず、「私たちはとても幸せだ」と記者団に話し、弁護士と車に乗り込んだ。

トランプ氏は自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に、すべて大文字で「この女性が誰なのかまったくわからない」と投稿した。さらに、「恥ずべき評決だ。史上最大の魔女狩りが続いている!」と書き込んだ。

裁判で緊迫したやりとり

裁判では、キャロル氏とトランプ氏の弁護士との間で緊迫した反対尋問が見られた。

1995年か1996年にランジェリー売り場でトランプ氏に暴行されたと主張したキャロル氏側は、法廷に11人の証人を呼んだ。

女性証人の1人は1970年代に飛行機内でトランプ氏に体を触られたと語った。別の女性は2005年にインタビュー中、トランプ氏に無理やりキスされたと話した。

キャロル氏の長年の友人2人は、トランプ氏との間の出来事についてキャロル氏から発生直後に話を聞いていたと証言した。

キャロル氏は証言台で、店内で起きたとされることを生々しく語り、その結果だとするトラウマについても説明した。

また、「ドナルド・トランプが私をレイプし、私がそのことを書いたら彼はうそをつき、そんなことはなかったと言った。だから私はここにいる」と述べる場面もあった。

トランプ氏側は証人を呼ばなかった。同氏は今回の裁判では、レイプを否定した宣誓証言のビデオに登場しただけだった。

その中で同氏は、「非常にばかげていて、不愉快な話だ」、「でたらめだ」などと述べた。

トランプ氏側の主張

トランプ氏の弁護士のタコピナ氏は裁判で、キャロル氏の話を「フィクション作品」だとし、信用性を疑問視した。

タコピナ氏は、キャロル氏が襲われたとする日にちを特定できないのはおかしいと主張。トランプ氏がアリバイを証明する機会を奪われているとした。

また、「何日、何月、何年なのか示されなければ、アリバイを提示することも、証人を呼ぶこともできない」、「原告側は、事実を無視するほど彼(トランプ氏)を憎ませようとしている」と訴えた。

タコピナ氏はさらに、キャロル氏に対し、なぜ警察に通報しなかったのか、なぜ被害を受けていた時に大声を上げなかったのかと迫った。人気デパートでキャロル氏が主張するようなことが従業員に気づかれず起きたとは「信じられない」とも述べた。

キャロル氏は証言台に3日間立ち、被害の訴えを虚偽だとするトランプ氏の主張が、どれだけ自らの人生に悪影響を与えたか語った。

キャロル氏は、ニューヨーク州で昨年、「成人サバイバー法」が成立したことを受け、トランプ氏を相手に民事裁判を起こした。同法は施行から1年間、通常であれば時効となった性暴力事案について、被害者による提訴を可能にした。

民事裁判の立証基準は刑事裁判より低い。陪審はトランプ氏がキャロル氏を暴行した可能性のほうが大きいと認定するだけで、今回の評決を出すことができた。 レイプがあったと認定するには、陪審はトランプ氏がキャロル氏と同意のない性交渉に及んだと確信する必要があった。