NASA、小惑星の軌道変更に成功 無人探査機衝突実験

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アメリカ航空宇宙局(NASA)は11日、無人探査機「ダート」(DART)を小惑星に衝突させて軌道を変える実験に成功したと発表した。
宇宙と地球上にある複数の望遠鏡で観測を行った結果、ディモルフォスの軌道が変わったことが確認された。
これは、地球を脅かす可能性のある隕石(いんせき)の軌道を安全に変えることができるかを検証するのが狙い。
今回のミッションの成果は、十分に早い段階にミッションを開始し、目標物が過度に巨大でなければ軌道変更がうまくいく可能性を証明するものとなった。
「このミッションは、NASAが宇宙から私たちに向かってくるどんなものにも備えようとしていることを示している」と、NASAのビル・ネルソン長官は述べた。
ネルソン氏は「NASAが地球の防衛者として真剣に取り組んでいることを証明したと、私は信じている」と記者団に語った。
NASAは11日、ハッブル宇宙望遠鏡や衝突地点から約50キロ離れたイタリアの小型宇宙船がとらえた新たな画像など、その評価を裏付ける多くのデータを公表した。

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軌道周期が32分短縮
ダート(DART)とは二重小惑星進路変更実験(Double Asteroid Redirection Test)の頭文字をとったもの。
実験は地球から約1100万キロ離れた空間で行われた。
冷蔵庫サイズのNASAの探査機は、時速2万2000キロの相対速度で移動し、ディモルフォスに正面衝突した。
ディモルフォスは衝突前、ディディモスと呼ばれるより大きな小惑星(直径780メートル)を1周11時間55分かけて周回していた。
衝突後の観測では、その軌道周期が32分短縮し、11時間23分になっていることが示された。つまり、ディモルフォスがディディモスに「数十メートル」近づいたことになる。
NASAは衝突による周期変化について、最低73秒以上としていた。しかし、11日に発表された実験結果はこの想定を25倍以上上回っていた。
「ディディモスを周回するディモルフォスの軌道周期を4%変化させたことになる。ダートがディモルフォスを少し押しただけで変化した。ただ、将来的に同じことをする場合には、何年も前に実行した方がいいだろう」と、米ジョンズ・ホプキンス大学応用物理研究所のナンシー・シャボット博士は述べた。
「このような小惑星の軌道変更を、より大きな惑星防衛戦略の一部として将来役立てるには、警告する時期がとても重要になってくる」

NASAのダート計画の科学者トム・スタトラー博士も、この実験から多くの結論を引き出すことに注意を促している。
小惑星はさまざまな姿をしていると、スタトラー氏は指摘する。小惑星の組成や構造は多様であるということは、新しい天体を確認するたびに強調されてきた。
「ある小惑星での実験が、同じ状況下にある他のすべての小惑星で起こり得ることを正確に示しているとは、あまり言うべきではない」と、スタトラー氏は強調した。
「一方でこの実験を、異なる状況下でさまざまな種類の衝突がどのような結果をもたらすのかを示すシミュレーションの、物理的計算のためのヒントとして使うことはできる」
欧州宇宙機関(ESA)は今後4年の間に、二重小惑星探査計画「ヘラ」として計4機の探査機をディディモスとディモルフォスへ向かわせ、今回の衝突の後の様子を観測する。











