「パンドラ文書」で名前出た首脳ら、不正を否定 パキスタンは調査へ

タックスヘイブン(租税回避地)の会社の内部資料が大量にリークされた「パンドラ文書」の報道をめぐり、名前が挙がった世界の指導者らが、問題となる行為は何もないと主張した。
「パンドラ文書」は英領ヴァージン諸島、パナマ、ベリーズ、キプロス、アラブ首長国連邦(UAE)、シンガポール、スイスなどの国々にある14の金融企業の約1200万件の内部書類。
現職や過去の世界の指導者約35人や公職者300人以上が、タックスヘイブンの会社を通して不動産取引などを重ねていた様子が記されている。
名指しされた指導者には、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領や、ヨルダンのアブドラ2世・ビン・アル・フセイン国王が含まれる。
両者はそれぞれ声明を出し、不正はまったくないと反論した。
一方、パキスタンのイムラン・カーン首相は、閣僚らを含む同国の数百人がひそかに資産をタックスヘイブンの会社に移していたとされたことを受け、政府として調査すると表明した。
「パンドラ文書」は、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ、本部・米首都ワシントン)が入手、検証した。世界の140以上のメディアが関わる過去最大の世界的調査報道で、イギリスではBBCパノラマとガーディアンが取材に当たった。


アブドラ国王とプーチン大統領
ヨルダンのアブドラ国王は1999年の即位以降、イギリスとアメリカで計7000万ポンド(約105億円)以上を使ってひそかに不動産を入手していたことが判明した。
ヨルダン王室は、アブドラ国王が国外の不動産を所有するのは「異例でも不適切でもない」と主張した。
一方、ロシアのプーチン大統領と側近らに関しては、モナコの隠し資産との関連が浮上した。
ロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官は、「裏付けのない」情報だとして、信頼性を疑問視。
「現時点ではこの情報がどういったもので、何に関するものなのか不明だ」、「その中にはプーチン側近らの隠し資産は見当たらなかった」と述べた。
パキスタン政府は調査へ
「パンドラ文書」では、パキスタンの多数の有力者らが資産を国外の会社に移している様子も浮かび上がった。
同国メディアは、同文書には国民700人以上の名前が挙がっており、ショーカト・タリン財務相ら閣僚2人も含まれていると報じた。
カーン首相は4日、「パンドラ文書」の報道を歓迎するとツイート。政府による調査を進め、問題行為が確認された場合は措置を取るとした。
カーン氏は首相就任前の2016年、「パナマ文書」で表面化したエリート層の資産移動について、調査を求める運動の先頭に立っていた。
当時のナワズ・シャリフ首相は、「パナマ文書」をきっかけに家族がタックスヘイブンを利用したと認定され、2017年に首相を辞任した。
他の首脳らも不正を否定
「パンドラ文書」では以下も明らかになった。
- チェコのアンドレイ・バビシュ首相は、フランス南部の邸宅2軒を1200万ポンドで購入した際に利用した国外投資会社に関して、その存在を公表していなかった。
- ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領と家族6人は、国外の13社との関連が判明した。ただ、それらの会社にある国家の資産を、家族が盗んだり隠したりした証拠はない。
- チリのセバスティアン・ピニェラ大統領は、スペインの新聞エル・パイスで、タックスヘイブンの利用が詳報された。ビジネス界の富豪だったピニェラ氏をめぐっては、環境問題が指摘されている地域の銅山と鉄鉱山を子ども時代の友人に売却した疑いが出ている。
- アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領の家族と側近らは、イギリスで4億ポンドを超える不動産取引にひそかに関与していた。
これらの各国首脳も、自分たちの行動に問題はないと主張している。
「選挙への影響を狙ったもの」
チェコのバビシュ首相は自らに対する疑惑について、今週予定される総選挙に影響を及ぼそうとするものだとツイッターで批判。「不正や違法行為はまったくしていない」と主張した。
ケニアのケニヤッタ大統領は今回の調査報道について、「ケニアと世界各地で必要な財務の透明性と公開性を拡大するのに大いに役立つ」と評価。公用で訪問中の外国から戻り次第、リークされた情報について「全般的に対応する」と約束した。
チリのピニェラ大統領は声明で、問題視されているドミンガ鉱山の売却に関与したり、情報をもっていたりしたことはないと説明した。
アゼルバイジャンのアリエフ大統領と家族は取材依頼に応答しなかったと、英紙ガーディアンは伝えた。











