熱帯性低気圧「アイダ」、米北東部で洪水や竜巻発生 死者40人超える

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アメリカのジョー・バイデン大統領は2日、同国北東部で鉄砲水や竜巻などの異常気象が相次いで発生し、少なくとも41人が亡くなっている事態について、「歴史的な投資」で対応すると述べた。
バイデン大統領は、アメリカ全土が気候関連の災害に見舞われており、「生きるか死ぬかの事態」に立ち向かっていると説明した。
ニューヨーク市やニュージャージー州はこの日、ハリケーンから熱帯性低気圧へ勢力を弱めた「アイダ」によって、前例を見ない豪雨に襲われた。浸水した地下や車に閉じ込められた住民もいた。
ニュージャージー州のフィル・マーフィー知事は、同州で少なくとも23人が亡くなったと発表。犠牲者の大半は、洪水で車に閉じ込められていたという。
ニューヨーク市では、2歳の男の子を含む少なくとも14人が死亡した。うち11人は、浸水した地下に閉じ込められておぼれた。
このほか、ペンシルヴェニア州フィラデルフィア近郊で3人、コネチカット州で1人が亡くなった。
気候変動とハリケーンの頻度の関係性はなお不透明だが、海面温度の上昇によって大気が暖められ、ハリケーンやサイクロン、台風を引き起こすエネルギーが増えることが分かっている。その結果、豪雨が頻発する可能性が高くなっている。
地球の平均気温はすでに、工業化以前(1850~1900年)と比べて約1.2度上昇している。各国政府が排出ガスを大幅に削減しない限り、気温は上昇し続けるという。

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「ナイアガラの滝のような雨」
ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長は、気象予報が「たった数分であっという間に無意味になった」と気象専門家を批判。市長自身は1日に750~1500ミリの雨が降ると警告していたと述べた。しかし、実際にはセントラルパークで1時間に少なくとも80ミリの雨が降り、観測記録を更新した。
デブラシオ市長は、「文字通りあらゆる状況が悪化するはずだと、情報発信していく必要がある」と述べた。
ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は、「昨夜午後8時50分から9時50分の間に、文字通り天が開いて、ニューヨークの街にナイアガラの滝のような雨を降り注ぐなど、知らなかった」と述べた。

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ニューヨーク州フラッシングに住むテドラ・アスフォウさんは、自宅が浸水しやすいことは知っていたが、「昨夜の光景は想像を絶していた」とBBCに語った。「全方向から水が入ってくるのは初めて見た。大きな被害を受けた。大損害だ」
ニュージャージー州では、州最大の酪農場を竜巻が襲い、施設の屋根がはがれたほか、巨大なサイロが破壊された。ウェラクレスト農場のオーナーはフェイスブックに、多くの牛が下敷きになり、死んだ牛もいると投稿した。
ニューヨーク市では複数の地下鉄が閉鎖された。ソーシャルメディアでは、地下鉄駅に水が流れ込んでくる様子が拡散された。
また、車が冠水した道路を流れる中、車内から「助けて」という叫び声が聞こえる動画も投稿された。
電車や飛行機、バスなどの乗客は、洪水によって数時間、車内に閉じ込められる事態になった。

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「この時代で最大級の試練」
バイデン大統領は、北東部を襲った洪水と、「アイダ」によるルイジアナ州とミシシッピ州の被害、そして西部の森林火災などが「気候危機が迫っていることを思い出させてくれる」と語った。
その上で、道路の現代化や電線、上下水道などの整備に「歴史的な投資」を行うインフラ政策「ビルド・バック・ベター(より良く再建)」を推進するよう連邦議会に働きかけると述べた。
「この災害はあらゆるところで起きている。生きるか死ぬかの事態で、全国民に関係することだ。この時代で最大級の試練だが、対処できると確信している」
大統領は3日にも、先週末に「アイダ」が上陸したルイジアナ州を視察する。同州ではなお90万世帯が停電に見舞われている。









