イスラエルの空爆でハマス幹部が死亡 再び多数のロケット弾攻撃

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パレスチナのイスラム組織ハマスは12日、イスラエルに向けて再び多数のロケット弾を発射した。この直前には、ハマスが実効支配するガザ地区をイスラエルが空爆し、複数のハマス幹部が死亡し、高層ビルが崩壊していた。
ハマスは、ガザ地区のアルシャルーク・タワーがイスラエルの空爆で破壊されたとし、報復としてロケット弾130発を発射したと明らかにした。
イスラエルの空爆で破壊された高層ビルは、同タワーで今週3棟目。ハマスのテレビ局、アルアクサ・テレビが入っていた。
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一方、イスラエル国防軍(IDF)は12日、ガザ地区への空爆で複数のハマス幹部を殺したと明らかにした。ロケット弾の発射施設も攻撃対象にしているという。
戦闘機による今回の一連の空爆は、2014年以降で最大規模だとしている。ハマスは、幹部1人と「他の指導者たち」が死亡したと認めた。
空爆の前には、ガザ地区の住民らに対し、建物から避難するよう勧告が出された。それでも一般市民に死者が出たと、保健当局は話した。

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AFP通信によると、11日のガザ地区の空爆では、年少の兄弟2人を含む一家5人が死亡した。兄弟のいとこのイブラヒムさん(14)は、「笑いながら遊んでいたら突然、爆撃が始まった。周りのすべてが燃え上がった」と、当時の状況を涙ながらに説明した。
多数の国民がシェルターに
報道によると、ハマスが報復として発射したロケット弾は、イスラエル南部の数カ所に着弾した。スデロットではアパート群が被弾し、6歳の子ども1人が死亡した。
IDFの説明では、イスラエル各地で12日夜、ロケット弾が発射されたことを知らせるサイレンが鳴り響いた。何百万人もの国民がシェルターに入って避難したという。

地元紙エルサレム・ポストの安全保障担当記者はBBCに、5カ月の幼児を連れて11日夜にシェルターで一夜を過ごした経験を語った。
「何百発もの迎撃弾の音と、ロケット弾が近くに落ちる音を聞くのは恐ろしかった」

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IDFは13日午前、ガザ地区からイスラエル各地に発射されたロケット弾は、今週に入って対立が激化して以降、約1500発に上っていると発表した。
イスラエル当局によると、同国の兵士1人が12日午前、ガザ地区から発射された対戦車ロケット弾で死亡した。ロードではロケット弾が車に当たり、乗っていたアラブ系市民2人が死亡したという。
治安維持に軍派遣も
双方の攻撃は10日以降エスカレートしている。
同日以降の死者は、ガザ地区で子ども14人を含む65人以上、イスラエルで7人となっている。ハマスが管轄するガザ地区の保健省は、同地区の負傷者は360人を超えているとしている。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は12日夜、暴力的な行動が見られる都市で秩序を保つため、軍を派遣して警察を支援する考えを明らかにした。
イスラエル紙タイムズ・オブ・イスラエルによると、ネタニヤフ氏はビデオ演説で、ここ数日の攻撃で「無秩序」状態に陥っていると主張。
「アラブ系市民の暴徒がユダヤ人を襲う正当な理由などないし、ユダヤ人の暴徒がアラブ系市民を襲う正当な理由もない」と述べた。

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ネタニヤフ政権は、国外の敵や国内の暴徒らから国民を守るため、あらゆる対応を取ると宣言している。
一方、パレスチナ自治政府は、イスラエルの「軍事侵攻」が「すでに窮地にある200万の人々を深く傷つけている」とツイッターで非難した。
国連は「全面戦争」を警告
国連はパレスチナとイスラエルが「全面戦争」に陥る恐れがあると警告している。
国連安全保障理事会はこの問題を協議しているが、声明の発表には至っていない。
アメリカのジョー・バイデン大統領は12日、イスラエルのネタニヤフ大統領と電話で協議し、イスラエルの安全保障を支持すると伝えた。一方で、「穏やかな状況の持続」を回復させる必要があると強調した。
バイデン氏はホワイトハウスで記者団に、「早期の収束を期待し願っている。ただ、イスラエルは何千発ものロケット弾が飛来しており、自国を守る権利がある」と述べた。
アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、イスラエルとパレスチナの両当事者と協議するため、代表団を派遣したと明らかにした。
一方、ロシアは「中東カルテット」と呼ばれるアメリカ、欧州連合(EU)、国連、ロシアの4者による緊急協議が必要だと訴えている。
ロシア外務省は声明で、イスラエルが東エルサレムで「暴力行為」と「アラブ系住民に対する違法な措置」をやめれば停戦に応じる用意があるとする、ハマスの広報担当の発言を紹介した。
交戦激化の経緯
今回の攻撃の応酬は、東エルサレムで数週間にわたって、イスラエルとパレスチナの人々の間で緊張が高まっていたことが背景にある。イスラム教とユダヤ教の両方にとって聖地とされている場所で、衝突が起きていた。
イスラエルの警察によると、ユダヤ人とアラブ系市民が混住するイスラエルの地域で、12日夜に374人以上が拘束された。警官36人が負傷したという。
イスラエルのメディアは、同国各地でユダヤ人とアラブ系市民の両方が暴徒らに襲われていると報じた。
イスラエルは1967年の第3次中東戦争以来、東エルサレムを占領し、エルサレム全体を国の首都としている。しかし、国際社会の大半はこれを認めていない。
一方のパレスチナ自治政府は、東エルサレムが、将来建設する国家の首都になるとしている。
近年では、イスラエルとパレスチナが領有権を争う東エルサレムのシェイク・ジャラー地区で、イスラエル人入植者がパレスチナ人の住人に立ち退きを迫っていることから、双方の緊張が高まっている。











