人権や環境への企業責任を問う発議、国民投票で否決 スイス

The No and Yes campaign posters
画像説明, イニシアチブ反対派のメッセージ(左)には「ぜひとも助けてほしいが、こんな風にはしないで」、賛成派のメッセージには「飲料水が汚染され、子どもたちが毒を盛られている。企業に責任がある」と書かれている

スイスで29日、国内外で人権侵害や環境破壊を引き起こした同国企業に責任を問えるとする法律について、制定の是非を問う国民投票が実施され、否決された。投票者の50.7%が賛成票を投じたものの、可決に必要な過半数の州の支持は得られなかった。

スイス政府や多くのビジネスリーダーたちはこの国民発議(イニシアチブ)に反対していた。

国民投票では全国の投票者の50.7%がイニシアチブに賛成だった。しかし約3分の1の州でしか過半数を獲得できなかったため否決された。このようなケースは1955年以来約半世紀ぶりだ。

この日、武器製造業者への公的融資を禁止する案も否決された。

「責任ある企業イニシアチブ」とは

新法では、人権侵害や環境破壊の被害者がスイス企業について、スイス国内の裁判所に訴えられるようにすることを目指していた。企業側は、あらゆる危害を防ぐために必要な措置を講じたことを証明しなければならなくなる内容だった。

「責任ある企業イニシアチブ」(RBI)をめぐっては実行不可能だとの声や、スイス企業が個々のサプライヤーの行動に対する責任を負うことになるのではと懸念する声が多数上がった。企業側に海外での事業やサプライヤーの監視を強化することを義務付ける、より穏やかな内容が支持された。

しかし有権者の多くや一部企業はRBIを支持。世論調査では教会グループがこの問題をめぐり都市部や地方の有権者と協力していることが示された。

RBIが可決されれば、ネスレやシンジェンタ、グレンコア、ノバルティスなど、世界中に製品を供給しているスイス企業が大きな影響を受けることとなる。スイスは世界の商品取引の中心地であり、世界で消費される商品の3分の1が同国に拠点を置く企業によって取引されている。

スイスではRBI賛成派と反対派の両者が、国民投票当日まで対立的なキャンペーンを展開した。

RBI反対派のクリスタ・マークワルダー議員はスイス放送局SRFに対し、自分の20年間の政治家人生で経験した中で「最も挑戦的な投票キャンペーン」だと述べた。