英薬局チェーン、DV被害者に安全スペースを提供 ロックダウンで被害増加

A sign is pictured above the entrance to a branch of Boots pharmacy in the town centre of Darlington, northern England on September 6, 2018

画像提供, Getty Images

イギリスの薬局チェーン大手ブーツは、1日から家庭内暴力(DV)被害者に安全なスペースを提供すると発表した。慈善団体と協力し、新型コロナウイルス流行を受けたロックダウン(都市封鎖)でDV被害が増えている状況に対応する。

ロックダウンの影響で「ギリギリの厳しい状況」にあり、支援が必要な人は今後、ブーツ店舗のカウンターから相談室を利用できる。相談室からは支援団体への連絡などができるという。

イギリスでは3月半ばにロックダウンが始まって以降、全国家庭内虐待ヘルプラインへの相談件数が49%増加。家庭内での殺人事件も2倍に増えたことが、下院内務委員会の報告書で4月末に明らかになった。

ブーツと協力している慈善団体「Hestia」でも、提供するDV通報アプリを通じた相談件数が47%増えている。

同団体のリンジー・ディアラヴ氏は、「虐待される人間関係から逃げようとしている人たちにとって、不安レベルが高まっている。加害者にとっては、今の自主隔離が被害者をコントロールする新しい手段になってしまっていて、被害者にとっては支援を求めることが非常に難しくなっている」と話した。

その上で、「ロックダウンや自主隔離が続く中、DV被害者支援サービスは開いていて、助けられるというメッセージを発信したい」と語った。

国家統計局によると、イングランドとウェールズでは2019年3月までの1年間に、推定160万人の女性と78万6000人の男性がDV被害にあっている。

<関連記事>

Presentational grey line

「ロックダウン中にパートナーから逃げた」 アナさん(仮名)の体験談

私はパートナーにパンデミック前から虐待を受けていましたが、ロックダウンが始まって家に閉じ込められると、暴力は悪化しました。

ロックダウンが発表された日、彼は私が食べていたスープヌードルをつかんで私にかけました。私はやけどを負ってしまいました。

私は航空業界で働いていたので、ロックダウンと共に仕事を失いました。仕事は私の人生、私の逃げ場所でした。近しい友達もみな、同僚ばかりでした。

ロックダウンで、家でゆっくりするのを楽しみにしている人もいましたが、私は恐怖しか感じませんでした。肉体的・感情的な虐待から逃げられなくなると、分かっていたので。

近くには親しい友人も家族もいないため、職場の同僚が私の親友でした。みんなに会えなくなり、どこにも行けないことを考えると、すごく怖かった。

ロックダウン中も、不安はどんどんふくらみました。パートナーは私が寝るのを待ってから、殴ったりひっかいたりしてきます。それで朝になると、何もしてないと言うのです。

これまでは彼が暴力的になるとジムや水泳に行って逃げていました。でもロックダウン中はそれができません。不安はどんどんひどくなり、逃げ場がないと思うようになりました。

逃げたかったけど、どこにも逃げられないと本気で心配していました。できる時にインターネットで情報を探しましたが、ロックダウン中に誰なら助けてくれるのか分かりませんでした。

最終的に、友人に相談しました。友人からは「荷物をまとめて家から出なさい。ともかく出るの」と言われました。その辺にあったかばんに荷物を詰め込んで、ホテルに逃げました。

ホテルには何日かいましたが、そのうちお金が足りなくなりました。その時に、全国家庭内虐待ヘルプラインを教えてもらったのです。

ヘルプラインに電話して、避難先を見つけてもらうまで7時間ほど、公園に座って待っていたのを覚えています。

避難所に着くととても安心しました。友達にはまだ居場所を教えていません。でも、ロックダウン中に今の場所にいるのは、楽ではありません。

ひとつの部屋にずっといて、かなり狭いので。庭に出るにしても、ほかの人と距離を取る必要があるし、外では子どもたちが遊んでいるので。

ここには素敵な人が何人もいますし、子どもがいるのもとても嬉しいです。ただ、外に出ていつもみたいに運動できないのが、とてもつらい。これまではそうやって不安な気持ちを落ち着かせていたので。でも全体としては大きな安心を感じているし、物事も良い方向に行くと願っています。

ブーツの取り組みを知った時、素晴らしいと思いました。もっと前からあれば、私も助けてもらえたかもしれません。

パンデミックとロックダウンはある意味、逃げ出す決断するきっかけになりました。あまりに虐待がひどくて、逃げるしかなかった。助けてもらわなくては、なりませんでした。

Presentational grey line

内閣府男女共同参画局では、DV被害者に必要な情報を提供しています。

また、各都道府県や市町村に「配偶者暴力相談支援センター」が設置されています。

DV相談ナビでは、全国共通の電話番号(0570-0-55210)から相談機関を案内するサービスを実施しています。

Presentational grey line