イギリス人も「ダイヤモンド・プリンセス」退避へ 英外相が発表

A worker in protective gear is seen on the cruise ship Diamond Princess seen at Daikoku Pier Cruise Terminal in Yokohama, south of Tokyo

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画像説明, 「ダイヤモンド・プリンセス」は今月3日に横浜港に入った

ドミニク・ラーブ英外相は20日、新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船しているイギリス人について、21日に退避便で帰国すると述べた。

搭乗するのは、ウイルス検査で陰性となった人のみ。帰国次第、隔離されるとみられる。

検査で陽性と判定された人は、日本で治療を受ける。

ラーブ外相は東京から出発する退避便の手配ができたと声明で発表し、「登録した人には詳細を伝えてある。他にも帰国を希望するイギリス国民は、我々に連絡してほしい」と呼びかけた。

さらに、「日本に留まりたいイギリス国民への支援も継続する」と述べた。

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今月3日に横浜港に入ったダイヤモンド・プリンセスには、イギリス国籍者74人が乗っている。新型ウイルスの大流行を受け、今月5日に乗客の船内隔離を始めた。

14日間の健康観察期間が終わった19日、検査で陰性となった他国の一部の乗客は下船を始めた。

Passengers disembarking from the Diamond Princess cruise ship docked at Yokohama Port are pictured in Yokohama, south of Tokyo

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画像説明, 乗客の一部は19日に下船を始めた
A passenger (centre R) leaves on foot after disembarking the Diamond Princess cruise ship in quarantine due to fears of the new COVID-19 coronavirus, at the Daikoku Pier Cruise Terminal in Yokohama on February 19, 2020.

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画像説明, 19日に下船した乗客(中央)
A passenger of the Diamond Princess cruise ship leaves Daikoku Pier on February 19, 2020 in Yokohama, Japan.

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画像説明, 下船してタクシーに乗る人もいた
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英外務省は、下船したイギリス人は、同国が予定している帰国便に乗りにくくなる恐れがあると警告している。手続きや移動に関して問題が生じるとみられる。

英政府によると、ウィラル半島のアロウ・パーク病院が、ダイヤモンド・プリンセスの乗客を14日間隔離する施設として使われるという。同病院ではすでに2つのグループが隔離されている。

英保健省は、「公衆への危険はないし、病院も通常どおり運営される」と述べた。

外相の発表に先立ち、英外務省は19日の声明で、東京からの退避便を「できる限り早く」運航させる計画だと表明。

「日本当局の許可が出たら、今週中には運航したい」、「しかし下船した人は退避便に乗れないかもしれない」、「私たちは影響を受けたイギリス人に対して深く憂慮しており、退避便の手続きをするよう強く奨励する」と英外務省は述べていた。

David Abel and his wife

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画像説明, 「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船しているサリー・エイベルさんと夫のデイヴィッドさん
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ダイヤモンド・プリンセスの乗客で、英ノーザンプトンシャー州出身のサリー・エイベルさんと夫のデイヴィッドさんは、「COVID-19」と呼ばれるウイルス検査で陽性判定が出た後も、船内にとどまっている。

息子のスティーヴさんは19日、BBCの朝の番組に出演。デイヴィッドさんが英語を話す医師から陽性だとの確認を受け、サリーさんとともに治療のため下船するのを待っていると述べた。

デイヴィッドさんは18日夜、フェイスブックに「コミュニケーション上の重大な誤り」があると投稿したが、翌日には「検査で確かにウイルス陽性だと判明した」と書いていた。20日には「素敵な」病院に着いたと投稿している。

動画説明, クルーズ船の乗客は「暗闇の中にいる」 英政府の対応を批判

息子のスティーヴさんは、家族は「いい加減に扱われている」とし、デイヴィッドさんが2年前、初期の認知症と診断されたことを明らかにした。

スティーヴさんは、「父はいろんなことが非常に混乱しやすく、正常な心理状態ではいられないだろう」、「父は思ってもいないことを言ってしまうことを、みんなに知ってもらいたい」と話した。

スティーヴさんによると、他の乗客たちが下船するなか、両親は室内にとどまるよう指示されたという。

「両親には離れ離れになってほしくない」、「そのことを最も恐れている。初期の認知症のある父は朝、起きることはできる。今はそこまで悪いとは言わないが、少し混乱状態で目が覚めることもあるので、母が一緒にいなくてはならない」

Workers in protective gear are seen near the cruise ship Diamond Princess at Daikoku Pier Cruise Terminal in Yokohama, south of Tokyo, Japan February 19, 2020.

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画像説明, 「ダイヤモンド・プリンセス」の船内では500人以上の新型ウイルス感染が確認されている
A bus believed to be carrying Australian passengers from the cruise ship Diamond Princess, leaves Daikoku Pier Cruise Terminal in Yokohama, south of Tokyo, Japan

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画像説明, 下船した人の多くはバスに乗って港を離れた
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ダイヤモンド・プリンセスの運航会社と日本の当局は、19日午前7時に、ウイルス検査で陰性となった乗客の下船を許可した。

下船した乗客たちは、待機していたバスやタクシーに乗ってその場を離れたと、横浜で取材するBBCのローラ・ビッカー記者は伝えた。

日本の当局によると、19日に船内で新たに79人の感染を確認。これで同船の感染者は合計621人に上った。

さらに20日には、ダイヤモンド・プリンセスに乗船していた日本人の80歳代の男女2人が医療機関で死亡したと複数の日本メディアが伝えた。同船の乗客で死亡が確認されたのは初めて。国内で感染者が死亡するのは、これで3人となった。NHKによると、2人には基礎疾患があり、それぞれ今月半ばに入院していたという。

こうしたことからダイヤモンド・プリンセスは中国を除いて、最大の集団感染の場所となっている。

アメリカはすでに300人以上の同国民をダイヤモンド・プリンセスから退避させた。韓国、カナダ、オーストラリア、イスラエル、香港も退避を検討している。

同じく、ダイヤモンド・プリンセスに乗っているイギリス人のエレイン・スペンサーさんも、イギリス政府の初期対応に「とてもがっかりした」と語り、もっと早く救助の飛行機を送るべきだったと話した。

スペンサーさんはBBCのラジオ番組に出演し、救助の飛行機に乗りたいイギリス人は、帰国後に14日間の隔離を受けることに合意する文書に署名させられたと語った。

また英外務省からの通達で、この飛行機に乗らなければ、日本国外に出ることはおそらく認められないだろうと言われたという。

「私は家に帰りたいし家族に会いたいけど、(帰国後に)もう14日間待たなくてはいけない。政府が先週、この措置を決めてくれていれば」とスペンサーさんは話した。

アイルランド人2人が日本で治療

一方、新婚旅行で乗船し、感染が確認されたイギリス人のアラン・スティールさんは、病院を退院したとフェイスブックに投稿した。

スティールさんは現在、横浜のホテルにいて、イギリスに帰国後、2週間隔離されると指示を受けたとした。

アイルランドのサイモン・コヴニー外相は、ダイヤモンド・プリンセスに乗船している6人のアイルランド人のうち2人がウイルス検査で陽性となり、日本の病院で治療中だと述べた。

運航会社プリンセス・クルーズのジャン・スウォーツ社長は、医師と看護師をさらに派遣したと話した。

イギリスでは19日までに5216人がウイルス検査を受け、9人に陽性の結果が出ている。中国当局の19日の発表では、COVID-19の同国内の死者は2004人となった。

中国本土で確認された感染者は7万4185人で、他国では約700人となっている。