トランプ氏の弾劾裁判が開廷、来週から本格審理 米上院

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米上院で16日、ドナルド・トランプ大統領のウクライナ疑惑をめぐる弾劾裁判が開廷した。陪審員役を務める上院議員100人が宣誓を行った。
ジョン・ロバーツ連邦最高裁長官が、上院議員らに、「公正な裁きを行う」との宣誓を促した。
ロバーツ長官は議員に対し、「あなた方は、ドナルド・トランプ合衆国大統領の弾劾裁判に付随する全ての事柄について、憲法と法律に則り、公正な裁きを行うことを、厳粛に神に誓いますか」と尋ねた。
これに対し、議員らは「誓います」と答え、同意書に署名した。
共和党幹部のミッチ・マコネル上院院内総務は、審理を21日午後1時に開始すると述べた。今後数週間でトランプ大統領の罷免の是非が決まることとなる。
「完全にでっちあげ」
トランプ氏はホワイトハウスで、弾劾裁判は「非常に迅速に進められるべきだ」と、記者団に述べた。
「これは、完全にでっちあげだ。(中略)選挙で勝とうとする民主党の、いんちきなでっちあげだ」
トランプ氏はまた、「(ウクライナとの)完璧な電話をしたこと」で弾劾されたとツイートし、怒りをあらわにした。
トランプ大統領の弁護団は正式に発表されていないが、ホワイトハウスのパット・シポローニ法律顧問とジェイ・セクロウ法律顧問が担当するとみられる。
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2つの弾劾条項
トランプ大統領には、次期大統領選で対立候補になるかもしれないジョー・バイデン前副大統領(民主党)とその息子について、ウクライナに汚職捜査をさせようと働きかけた「権力乱用」の疑いがかけられている。
民主党は、トランプ大統領が、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に対し、捜査着手への圧力をかけるために、ウクライナへの3億9100万ドル(約420億円)の軍事支援を延期したと主張している。
さらに、ウクライナへの働きかけについて下院が調査を始めると、これに抵抗し、妨害しようとした「議会妨害」の疑いもかけられている。
米下院本会議は昨年12月、権力乱用と議会妨害について弾劾条項2項目をいずれも可決した。
トランプ氏は、1868年のアンドリュー・ジョンソン元大統領と1998年のビル・クリントン元大統領につづき、下院に弾劾された3人目の米大統領となった。
トランプ氏は不正行為を否定しており、一連の疑惑は「でっちあげ」だと主張している。
弾劾裁判で何が
上院のマイケル・ステンジャー守衛官が弾劾裁判の開廷を宣言すると、アダム・シフ下院情報委員長(民主党)が弾劾条項を読み上げた。
弾劾裁判で検察官役を務める「弾劾マネジャー」7人の1人であるシフ氏は、これほど徹底的に弾劾調査を妨害しようとした米大統領はこれまで誰もいなかったと述べた。
チャック・シューマー上院院内総務(民主党) は、この裁判で新たな証人の召喚や、資料の提出を許可するよう、改めて求めた。
「これらの容疑の重大さは明らかだ。下院は、トランプ大統領が自分の利益のために外国首脳を揺さぶろうとしたと非難している」
弾劾条項の読み上げでは、今年の上院選で厳しい戦いが予想されているスーザン・コリンズ上院議員(共和党、メイン州選出)が涙をぬぐう場面があった。
民主党上院議員からは、トランプ大統領と完全に連携して働くと誓ったマコネル上院院内総務について、公正な陪審員としての厳粛な任務を無効にしようとしているとして、激しい批判が上がった。
この日の手続きの終了後、シューマー氏は記者団に対し、「マコネル氏は、大統領にならって行動するだろうと述べた。我々は、誰にもならっていない」と述べた。
シューマー氏は来週にも、証人喚問を行うかどうかを採決したいとしている。
マコネル氏は、証人喚問の可能性を排除していない。マコネル氏は、弾劾裁判について、1999年に行われた、当時のビル・クリントン大統領の弾劾裁判を参考にした形式になるだろうと示唆した。
クリントン氏の弾劾裁判では、冒頭陳述が行われ、書面による質疑応答が設けられた。また、それに基づいてどの証人を召喚するのかを決定した。
弾劾手続きとは
合衆国憲法第2条第4節は、「大統領並びに副大統領、文官は国家反逆罪をはじめ収賄、重犯罪や軽罪により弾劾訴追され有罪判決が下れば、解任される」と規定している。
弾劾訴追権は下院が、弾劾裁判権は上院がそれぞれ持つ。
下院でこの弾劾決議案を可決した後、上院が弾劾裁判を行う。上院議員の3分の2以上が賛成すれば、大統領を解任できる。
上院は、定数100議席のうち共和党が53議席を占める。解任の動議成立に必要な3分の2以上の賛成票を得るには、多数の共和党議員が造反する必要があるため、大統領が実際に解任される見込みは薄い。













