米ボーイング、安全より利益優先と非難され 米上院公聴会

画像提供, Getty Images
米航空機大手ボーイング製737マックス8型機の墜落事故が相次いだ問題で、米上院商業科学運輸委員会は29日、公聴会を開き、ボーイング社による「意図的な隠ぺいを繰り返した」と批判した。2度の墜落事故で、計346人が死亡している。
上院議員たちは、ボーイング社が737マックス8型機の運航許可を得るため、安全性よりも利益を優先したと深刻な懸念をあらわにした。
公聴会に出席したボーイングのデニス・マレンバーグ最高経営責任者(CEO)兼会長は、同社が「過ち」を犯したと認めた。
マレンバーグ氏は、「我々は2度の墜落事故を教訓にし、どこに修正が必要か特定した」と述べた。
737マックス8型機をめぐっては、昨年10月、インドネシアの首都ジャカルタ発バンカ島パンカルピナン行きのライオン航空機がインドネシア沖に墜落し、189人の犠牲者を出した。
5カ月間で2度墜落事故が発生したことを受け、ボーイングは世界中の全371機を対象に、737マックス型機の運航を停止した。
問題性を認識も運航めざす
2度の事故の原因となったのは、機体の失速を防ぐ目的で搭載されていた操縦特性向上システム(MCAS)。上院議員からは、ボーイングがMCASの問題性を認識していたと指摘する声が上がった。
ロジャー・ウィッカー上院議員によると、運航承認中に問題が浮上した際、MCASの性能について「一貫性がなく不安定で、憂慮すべきレベル」だとの内容のメッセージが同社スタッフ間で交わされていたという。
公聴会に先立ち、ボーイングは同社スタッフ間のメッセージ内容を提出。テスト飛行中に予想外のトラブルを経験したパイロットは、自分は「(知らないうちに)規制当局に嘘をついていた」と述べたという。マレンバーグ氏はメッセージの詳細を最近知ったとしている。
「空飛ぶ棺」
リチャード・ブルメンソール上院議員は、同社は運航承認プロセスを急ぎ「意図的な隠蔽を繰り返した」、パイロットは誤った方向に誘導され、ボーイングは事実上「空飛ぶ棺」を作り上げたと述べた。
<関連記事>

画像提供, Reuters
FAAと過度な「馴れ合い」
上院委員会の議員たちはさらに、ボーイングと米連邦航空局(FAA)の間に過度な「馴れ合い」があったとして、規制手続きを批判。ブルメンソール議員は、アメリカの運航許可プロセスは「完全に壊れている」と述べた。
一方、ボーイングのチーフエンジニア、ジョン・ハミルトン氏は、「馴れ合いではない。プロフェッショナルな関係だ」と反論した。
遺族はCEOの辞任求める
墜落事故の遺族の多くが公聴会に出席した。遺族はBBCの取材に対し、マレンバーグ氏は責任を逃れようとしているように感じた、辞任すべきだと述べた。
エチオピア航空機事故で家族5人を亡くしたポール・ンジョロゲさんは、「2度の事故による346人の死への責任を負うと、マレンバーグ氏に明確に言ってもらいたい。事故は防げたはずだ」と述べた。
同じくエチオピア航空機の事故で亡くなったサムヤ・ストゥモさんのきょうだいアドナンさんは、マレンバーグ氏は辞任して「刑務所に入る」べきだと述べた。
FAAの権力強化に難色
マレンバーグ氏は、同社は「厳重な監査」を支持するとした一方で、FAAの権威強化への支持は拒否。業界の技術的専門知識を活用することで安全面は強化できているとしている。
3月に世界中で737マックス型機の運航が停止して以降、ボーイングはMCASのソフトウェアを修正し、調査手順を徹底的に整備するとしている。
しかし上院議員たちは、運航再開の承認が延期され続けていることから、そもそも当初の承認が適切だったのか疑われると指摘した。
自動化システムの精査が課題
マリア・キャントウェル上院議員は、2度の事故を受けて、自動化システムの安全性をもっと幅広く点検すべきだと指摘した。自動化システムは航空機のみならず、車やほかの交通手段にも用いられるようになっている。
「これが現在の課題だ」と、キャントウェル氏は述べた。












