メイ英首相への辞任圧力、「後任候補」閣僚たちは否定 議会は「示唆的投票」へ

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イギリスの新聞各社は24日、一部の閣僚がテリーザ・メイ首相に辞任を求めていると報じた。ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)をめぐるメイ首相の態度に反発したもので、年末の選挙まで首相代理を立てるとしている。
しかし、後任候補と報じられたマイケル・ゴーヴ環境相とデイヴィッド・リディングトン内閣府担当相は、共にメイ首相を全面支持すると表明した。
メイ首相はこの日、首相公式別荘「チェッカーズ」で閣僚や保守党議員と会談。ゴーヴ氏やボリス・ジョンソン前外相、ジェイコブ・リース=モグ議員など離脱派の議員も参加した。
首相官邸の報道官によると、会談では、欧州連合(EU)離脱延期の条件とされているメイ首相の離脱協定承認について、議会で十分な支持が取り付けられるかなどが協議された。
一方、イギリス下院は今週、メイ首相の離脱協定に代わる6つの選択肢について「示唆的投票」を行う予定だが、スティーヴン・バークリーEU離脱相は、これらの選択肢に「法的拘束力はない」としている。
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イギリスは3月29日にEUを離脱する予定だったが、下院審議を経てメイ首相がEUに離脱期限延期を求めた結果、EU各国の首脳は21日、延期に合意した。
EUとメイ首相がまとめた離脱協定を下院が3月中に承認すれば、新たな離脱日は5月22日となる見込み。
一方、協定が承認されなかった場合の離脱日は4月12日となる。イギリスはこの日までに引き続き協定可決に向けて動くか、別案を示す必要がある。
メイ首相の離脱協定は、これまでに2度下院で否決されている。メイ首相は23日、協定承認の見通しがなければ3度目の下院採決にはかけないかもしれないと下院議員へ書簡を送ったため、これに強く反発する与野党議員からの辞任圧力が高まっている。
「権謀術数」
新聞各社は24日、一部の閣僚がメイ首相に対するクーデターを画策していると報道。日曜紙サンデー・タイムズは2016年の国民投票で残留に投票したリディングトン氏が、メール日曜版は離脱派のゴーヴ環境相が「総意による首相代理候補」だと報じた。
また、保守党議員らはメイ首相が今後のEUとの交渉に参加しないのであればメイ首相の協定を渋々支持する可能性があるものの、代理候補について意見が割れていると伝えた。
BBCのローラ・クンスバーグ政治編集長は、「権謀術数」が渦巻いていると説明した。
こうした報道に対しゴーヴ環境相は「今は船長を変える時ではない」と話し、メイ首相と離脱協定への支持を最大限に集めるために集中していると述べた。
メイ首相の実質的な右腕とされるリディングトン内閣府担当相も、首相は「素晴らしい仕事ぶり」を発揮していると述べ、首相の座を奪うことは考えていないと強調した。

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フィリップ・ハモンド財務相はスカイ・テレビの番組に出演し、「首相交代も、政権交代も助けにならない」と話した。
リディングトン氏を後任の首相に推挙してるという報道についても否定し、「率直に言って、現時点で関係者の交代について話すのは身勝手」と釘を刺した。
一方で、議員たちが「とてもいらいらしている」ことも理解していると述べ、「議会は今週、どの道を取るのかを決める機会が与えられる」と話した。
離脱派のイアン・ダンカン=スミス議員はBBC番組「アンドリュー・マー・ショー」に出演し、一部閣僚がメイ首相への裏切りを表明しているのは「ひどい事態だ」と語った。
その上で、こうした閣僚はけん責されて罷免されるべきで、少なくとも「謝罪し、口を閉じるべきだ」と話した。
「示唆的投票」には6つの選択肢
イギリス下院は今週、メイ首相の離脱協定に加え、6つのブレグジットの選択肢について示唆的な投票を行う可能性がある。選択肢は以下の通り。
- EU基本条約(リスボン条約)第50条の発動を撤回し、EU離脱を取りやめる
- 2度目の国民投票を実施
- メイ首相の協定に関税同盟への参加を加え、離脱する
- メイ首相の協定に関税同盟への参加と単一市場へのアクセスを加え、離脱する
- EUと自由貿易協定を結ぶ「カナダ型」で離脱する
- 合意なしブレグジット
ハモンド財務相は、このうち第50条撤回と合意なしブレグジットは「イギリスに深刻でネガティブな影響を与える」として、この2案は除外するかもしれないと話した。
また2度目の国民投票については、「筋の通った提案で、他の案と共に考慮する価値がある」と述べた。
一方、バークリーEU離脱相は、「議会が政権から権力を奪おうとしている」と、「危機」についての懸念を表した。
もし議員らが単一市場へのアクセス維持といった保守党の公約に反する選択肢を選んだ場合、「議会が政権に対し、政権が選ばれた理由とは反対のことをしろと命じる状況となる。そうすれば総選挙の危険性は高まる」とバークリー氏は指摘している。

今週のイギリス議会の動き
25日: 議会はブレグジットの次の段階を協議するほか、メイ首相の離脱協定に関するさまざまな修正案や代替案が採決される。この採決が成功すれば、異なるブレグジット案が議会で承認を得られるかどうかを問う「示唆的投票」が行われることになる。
26日: メイ首相はこの日、自分の離脱協定を3度目の「意味ある投票」にかける可能性がある。しかしイギリス政府は、承認に必要な票数が集まらないなら採決にかけない方針。
27日: 示唆的投票が行われるとすればこの日だが、各党が党議拘束をかけるかどうかは明らかになっていない。一方、超党派の合意が形成される可能性は低い。
28日: 3度目の「意味ある投票」の第2候補日。示唆的投票で関税同盟などに支持が集まり、離脱派議員が嫌う軟着陸のブレグジットが濃厚となれば、メイ首相には離脱派議員から協定への支持が取り付けられる可能性がある。
29日: イギリスは当初、この日にEUを離脱する予定だった。現段階で最も近い離脱予定日は4月12日。

ブレグジット反対活動広まる
ロンドンでは23日、EU離脱に反対する市民が市内中心部を行進し、2度目の国民投票の実施を求めた。
「Put It To The People(国民に聞け)」行進の主催者によると、100万人以上がハイド・パークから議事堂前までの行進に参加した。参加者が実際に100万人を超えていた場合、イギリスでの抗議行進としては、イラク戦争に反対した2003年の大行進に匹敵する規模だったことになる。
一方で、EUに対する離脱通告を撤回するよう下院に求めるオンライン請願には、現時点で500万筆以上の署名が集まった。
請願を立ち上げたマーガレット・アン・ジョージアドゥさんは、「電話で3回、殺すと脅された」ほか、フェイスブック経由で「大量に罵倒された」と話している。










