EU「ブレグジット協定は再交渉しない」 アイルランド国境の扱いでこう着

イギリス政府と欧州連合(EU)の離脱協定をめぐり、イギリスがアイルランド国境について「バックストップ(防御策)」の再交渉を求めている問題で、EUのミシェル・バルニエ首席交渉官は30日、バックストップ条項は離脱協定の「重要な一部分」であり、再交渉はできないとの考えを示した。
欧州議会で演説したバルニエ氏は、アイルランドと英・北アイルランドの国境で厳格な国境検査を避けるには、バックストップが「現実的な解決法」だと強調した。
英下院は今月15日、政府とEUが18カ月にわたる交渉の末にまとめたブレグジット(イギリスのEU離脱)協定を230票という歴史的大差で否決した。
下院が29日に行った協定修正案の審議では、バックストップの「代わりの取り決め」をEUと交渉するというメイ首相の方針が決まった。
イギリスは3月29日午後11時(日本時間30日午前7時)にEUを離脱するが、離脱条件をまとめた協定をめぐる論争が続いており、見通しは非常に不透明だ。
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バックストップは、北アイルランドとアイルランドの国境に厳格な検問所等を設置しないための措置。離脱協定で定められているブレグジット後の移行期間が終わる2020年12月までに別の解決策が見つけられなかった場合、北アイルランドはEU単一市場の一部ルールに従うと定めている。
これにより、バックストップが発動すると実質的にイギリス全体がEU関税同盟にとどまるほか、北アイルランドがそれ以外のイギリス各地と別扱いになることが問題視されている。また、イギリスとEU双方の合意がないとバックストップから離脱できないことから、この状態が恒久化するとの懸念もある。
メイ首相は、バックストップの代替案をいくつか持っており、それをEU首脳と協議したいと話している。
代替案としては、国境を行き来する物品の検査を避けるための「貿易業者認可」スキームや、各種規則の「相互承認」、そして「技術的」措置などが挙げられる。
しかしグレッグ・クラーク・ビジネス・エネルギー・産業戦略相は民放ITVの番組で、「技術的な解決策」が整っているとは思っていないと語った。
メイ首相はほかにも、バックストップに期限を設けることや、双方の合意なしに胃ポウ的に離脱できる条項を盛り込みたいと考えているが、どちらも過去にEU側から拒否されている。
しかしEU側は、バックストップは依然として離脱協定に不可欠な一部だと主張しているい。
バルニエ氏は、「私は冷静にはっきり申し上げる。批准に向けて提出したこの協定に、バックストップは現状のままでなくてはならない」と述べた。
「現状のバックストップを拒否するのはつまり、イギリス政府と見出した解決法を拒否するに等しい。問題だけが残るということだ」
EU首脳の反応は?
メイ首相は30日、 欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長(大統領に相当)と45分にわたって電話会談した。
BBCのアダム・フレミング・ブリュッセル特派員が取材した情報筋によると、会談は「オープンかつ率直なものだった」という。
この会談でメイ首相は英下院での採決結果を説明したが、トゥスク氏はあらためて、離脱協定は再交渉しないと強調したという。
消息筋によると、トゥスク議長はその上で、EUはいつまでも手をこまねいていられないので、下院の支持を得られる解決策を提示できるかどうかは英政府次第だとメイ首相に伝えたという。
アイルランドのリオ・バラッカー首相もメイ首相と会談し、最近の状況を見るに「法的根拠もあり現実的に実施可能なバックストップの必要性が、前より強まっている」と述べた。
サイモン・コヴェニー副首相はこれに先立ちメイ首相に、かつての北アイルランド紛争の時代のような厳しい国境検問と分断を復活させるようなことになっては、「歴史の厳しい審判を受ける」と釘を刺し、「世の中には経済関係より大事なものがある。これはそのひとつだ」と述べた。
また、欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長は、メイ首相が「暗い過去に立ち戻らない」ために行っている「個人的な貢献」を信用していると話した一方、バックストップの「セーフティーネット」こそがその阻止策として必要だと強調した。
欧州議会のブレグジット交渉担当でベルギー元首相のヒー・フェルホフスタット氏も、イギリスは協定で何を得たいのかを明確にしていないと批判した。
フェルホフスタット氏は、2016年からの交渉の2年間はイギリス・EU双方にとって「疲弊するものだった」と話し、メイ首相と最大野党・労働党のジェレミー・コービン氏はただ「お茶を飲んでビスケットを食べる」だけではなく、党派を超えた解決策を見つけるために協力するべきで、「互いを排除するためにブレグジットを悪用するのをやめるべきだ」と述べた。
「非常に友好的」
メイ首相とコービン党首は30日、ようやくブレグジットについての会談を開いた。
コービン氏は議会で繰り返し、メイ首相に合意なしブレグジットの可能性を排除するよう求めている。29日の審議では、合意なしブレグジットを容認しないとする修正案も採択されたが、このに法的拘束力はなく、政府への働きかけに過ぎない。
メイ首相は議会でコービン氏の要請に対し、「ただ合意なしブレグジットを否決することはできない。そのためには協定を支持しないと」と答えている。
こうした中、労働党の広報官によると、30日の非公開会談は「非常に友好的」だったという。
「2人は有意義な意見交換をした。こちらは自分たちの計画を説明した。関税同盟や単一市場との関係性についても詳細に意見を交わした」
メイ首相とコービン氏は近く、再び会合を持つことで合意したという。













