ドイツ東部のクリスマスマーケットに車突入 死傷者多数

事件の翌朝、現場にはたくさんの花やろうそくが手向けられた(21日、ドイツ・マグデブルク)

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画像説明, 事件の翌朝、現場にはたくさんの花やろうそくが手向けられた(21日、ドイツ・マグデブルク)

ドイツ東部マグデブルクで20日夜、クリスマスマーケットに車が突っ込んだ。事件直後は少なくとも2人が死亡し、68人がけがをしたとされていたが、21日に地元ザクセン・アンハルト州のライナー・ハーゼロフ州首相が記者会見し、死者は5人、負傷者は200人以上に上ると、被害者が増えたことを明らかにした。死亡した中には、9歳の子供が含まれているという。

警察は、車を運転していたサウジアラビア出身の男性医師(50)を逮捕。当局は、単独犯の犯行だとみているという。ドイツ報道によると、ソーシャルメディアなどでイスラム嫌悪の投稿を繰り返していたとされる。

現場のクリスマスマーケットは当時、大勢でにぎわっていた。ソーシャルメディアに投稿された現場映像には、車両が狭い通路を猛スピードで走行し、次々と人をなぎ倒す様子が映っている。

調べによると、車は混雑するマーケット内を約400メートルにわたり暴走した。当局はこれは暴走事故ではなく、意図的な犯行だとしている。

現地テレビの映像は、銃を構えた警官が容疑者を制止する様子を映している。

動画説明, 容疑者に向かって警官が銃を構え制止する様子
マーケットに突入した車両

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ドイツのオラフ・ショルツ首相は21日に現場を訪れ、追悼の花束を供えた後、「クリスマスマーケットは通常、とても平和で喜びにあふれた場所だ(中略)そのような場所でこれほど多くの人が負傷し殺されたとは、なんてひどい悲劇だ」と記者団に述べた。

首相はさらに、負傷者や犠牲者の遺族をいわたり、「国全体に連帯を示したい」と述べたほか、救急対応の担当者たちに感謝した。

ショルツ氏は、世界中の人がマグデブルクと連帯を表明してくれたことに感謝し、「ドイツが孤独ではないと知るのは、とても前向きなことだ」とも述べた。

首相は前日にはソーシャルメディアで、「被害者とその愛する人たちのことを思っている。その人たちの隣に、そしてマグデブルクのすべての住人の隣に、私たちは立っている。この厳しい事態に対応してくれた救急関係者全員に感謝する」と述べていた。

事件現場となったクリスマーケットを訪れたショルツ首相(21日、マグデブルク)

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マグデブルクのあるザクセン・アンハルト州のハーゼロフ州首相は21日、死傷者が増えたことを記者団に明らかにした。ハーゼロフ氏は20日の記者会見で、逮捕された容疑者はサウジアラビア出身の男性で、2006年からドイツに住み、医師として働いていたと発表。単独犯による犯行とみているという。

同州のタマラ・ツィーシャング内相はこれに加えて、容疑者はドイツ永住許可を得ており、直近ではマグデブルクから南35キロにあるベルンブルクで医師として働いていたと話した。

捜査当局は犯行動機について言及していない。一部のドイツ報道によると、政府当局は容疑者を過激派として把握していなかった。ただし、本人のソーシャルメディアへの投稿などには、イスラム教に否定的な内容が含まれていたという。

ドイツ・メディアは容疑者の名前を「タレブ・アル・アブドルモーセン」と報道している。ベルンブルク在住の精神科医で、2006年からサウジアラビアからドイツに移住し、2016年に難民認定されたという。

ソーシャルメディアでは、イスラム教を声高に批判していたほか、ドイツ当局が欧州のイスラム化を画策しているという陰謀論を拡散していたされる。

独誌シュピーゲルによると、そのイスラム嫌悪発言が当局に通報されたものの、具体的な脅威ではないと捜査当局は判断したという。

ドイツ連邦政府のナンシー・フェーザー内相は21日、容疑者が「イスラム嫌悪」的な立場を示したことがあると報道を追認した。

事件後のマーケットを警備する警官たち

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車が突入したクリスマスマーケットで救助に当たる救急隊(20日、ドイツ・マグデブルク)

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画像説明, 車が突入したクリスマスマーケットで救助に当たる救急隊(20日、ドイツ・マグデブルク)

サウジアラビア外務省はソーシャルメディアで、マグデブルクの事件を「王国として非難し、ドイツ国民および犠牲者家族との連帯を表明する」と投稿した。

事件現場を目撃した32歳のナディーンさんはドイツ紙ビルトに対して、ボーイフレンドのマルコさんに腕を回していた時に、車が自分たちに向かって突入してきたのだと話した。

「車が彼に当たって、はねられて、私から離されてしまった」とナディーンさんは言い、どの病院に運ばれたのかわからないため「確かなことがわからないというのが耐え難い」と話した。マルコさんは脚と頭に負傷したもよう。

ドイツでは2016年12月にベルリンで、イスラム過激派の男が大型トラックを運転しクリスマスマーケットに突入した類似事件が起きた。この時は12人が死亡したほか、重重傷を負った救急隊員が数年後に亡くなった。容疑者はイタリアに逃走し、事件の4日後に巡回中の警察に射殺された

今回の事件についてフランスのエマニュエル・マクロン大統領はソーシャルメディアで、「マグデブルクのクリスマスマーケットを襲った恐怖に深く衝撃を受けている」と書き、「ドイツの人たちの痛みをフランスは共有し、全面的に連帯する」と述べた。

フランスでは2018年12月に東部ストラスブールのクリスマスマーケットで乱射事件があり5人が殺害されたほか、2016年7月には南部ニースで、革命記念日を祝う人たちの中に男が大型トラックで突入し、86人が殺害された。