豪議会、憎悪犯罪の刑期に下限設ける法案を可決 ナチス式敬礼は最低で禁錮1年に

オーストラリアで反ユダヤ主義に抗議する人々

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オーストラリア議会は6日、ヘイトクライム(憎悪犯罪)法の改正案を可決した。これにより、ヘイトシンボルの使用やテロ犯罪などでは今後、1~6年の禁錮刑が科される。改正案について政府は、「オーストラリア史上、最も厳しいヘイトクライム法」と表現している。

同国では、ナチス式敬礼やハーケンクロイツ(かぎ十字)などのシンボルの表示は、2024年1月から禁止されている。違反者には、これまで最も重くて禁錮1年の刑が適用されてきたが、今回の改正により、禁錮1年は最低の刑となった。

このほか、テロへの資金提供に対しては最低で禁錮3年、テロ行為の実行または計画に対しては最低で禁錮6年の刑が科されることになった。

オーストラリアではここ数カ月、ユダヤ人を標的として攻撃する事件がいくつか発生しており、大きな議論を呼んでいる。

シドニー当局は先週、爆発物と反ユダヤ主義のメモが中にあるトレーラーハウスを発見した。

この1週間前には、シドニーのユダヤ学校とシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)の近くにある保育施設が放火された。その壁には反ユダヤ主義の落書きがされていた。

昨年12月にはメルボルンで、礼拝者がいるシナゴーグが放火された。この事件で深刻な負傷者は出なかったが、国中が衝撃を受けた。

刑期の下限設定

与党・労働党はかねて、刑期の下限設定について、刑罰が犯罪を減少させるわけではなく、かえって裁判所の独立性を損ない、実際には差別的であることが多いという理由で、反対している。

そのため今回の改正に関しては、与党が野党の要求に屈し、刑期の下限設定に反対する自らの政策と矛盾した行動に出たと指摘する声もある。

一方、野党も新しい改正をすぐには歓迎しておらず、労働党が対応を遅らせていると非難している。

自由党のジェームズ・パターソン上院議員はキャンベラで記者団に対し、「きょう議会が行動しているのは労働党の決断力によるものではない」と語った。

「首相は泣き叫びながら引きずり回されて、やっと、ヘイトクライムに対して実質的な刑罰を保証する厳しい法律を導入した」

トニー・バーク内相は5日、改正案を議会に提出した際に、「これは政治の問題ではない」と述べた。

「これは他人に対して、誰であるか、誰に祈るか、誰を愛するかに基づいて暴力を奨励、脅迫、実行することが許されると、オーストラリア議会が考えているかどうかという問題だ」