フランス、婚姻は性交渉の義務を意味しないと民法に明記へ

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ヒュー・スコフィールド・パリ特派員
フランス国民議会は28日、民法に「共同生活」が「性的関係の義務」を生み出すものではないという条項を追加する法案を可決した。婚姻は性行為の義務を意味するという、いわゆる「配偶者間の義務」の考え方を断ち切る。
また今後は、離婚請求手続きにおいて、性的関係の欠如を婚姻破綻の理由として用いることができなくなる。
裁判所に大きな影響を与える可能性は低いとみられているが、法案の支持者らは、配偶者によるレイプを抑止する助けになると期待している。
この法案を提出した緑の党のマリー=シャーロット・ギャラン下院議員は、「こうした権利や義務を存続させれば、私たちは夫が妻を支配し搾取する構造を、集団として容認することになる」と述べた。
「婚姻は、性行為への同意が確定的かつ生涯続くものだとみなされる、そういう状態のものであってはならない」
今回の法律は、法文のどこにも「配偶者間の義務」という言葉は明記されていないが、長年残ってきたあいまいさを取り除くものだ。
現在のフランス民法は、結婚の義務を「尊重、貞節、扶助および支援」と定義し、婚姻関係にある2人は「共同生活」を大事にすると定めている。
一方で、「配偶者間の」、すなわち性に関する権利についての記述はない。この概念の起源は、中世の教会法にあるとされている。
それでも現代の離婚訴訟で、裁判官が「共同生活」の概念を広く解釈し、性的関係を含むものとみなす例は、時折あった。
2019年の著名な裁判では、ある女性が数年間にわたり夫との性行為を拒んだと認定され、女性側に非があるとして、夫の離婚請求を認めた。
しかし、この女性はその後、この件を欧州人権裁判所(ECHR)に訴えた。同裁判所は昨年、性行為の拒否を婚姻破綻の根拠と認めたフランスを非難した。
女性の権利活動家らは、この判断を重要な前進として評価した。
ECHRの判断により、フランスの離婚裁判所が、2019年に出されたような判断を示すことは事実上不可能になっている。そのため、今回の法案の主な目的は明文化であり、裁判所に大きな影響を与える可能性は低いとみられている。
妻には夫との性行為に応じる「義務」があるという考え方は、社会の一部で依然として残っており、向き合う必要がある問題だと、活動家らは指摘している。
2024年には、夫に薬物を盛られた上でレイプされ、さらに約10年にわたり、夫がインターネットで募った人々から性的暴行を受けていたジゼル・ぺリコさんの裁判が注目された。夫(現在は離婚)のドミニク・ぺリコ受刑者は加重レイプの罪で最大刑となる禁錮20年の判決を受けた。その他の被告50人も全員、レイプなどの罪状で有罪となり、禁錮3~15年の刑を宣告された。
裁判では大勢の被告らが、夫の話を元に、ジゼルさんは性行為に同意していたと考えていたと証言した。
フランスでも1990年以前は、婚姻が性行為の同意を意味すると主張することが可能だった。しかし現在は、他の多くの国と同様、配偶者間の性暴力が法律で禁じられている。
また昨年11月には、レイプの法的定義が非同意の概念を含むよう拡大された。
それ以前は、レイプは「暴力、強制、脅迫または不意打ち」を伴って行われた性行為と定義されていた。現在では、「十分に理解された、具体的で、事前の、撤回可能な」同意が存在しない行為はすべてレイプとされる。
また、沈黙や反応の欠如は同意を意味しないと、法律は定めている。
この記事の内容に影響を受けた方に、BBCはイギリス内での相談先を紹介しています(英語)。
また、日本の内閣府が、性犯罪・性暴力相談の相談先をこちらで紹介しています。








