ルワンダ、イギリスに「未払い金」210億円超を要求 不法入国者の移送計画撤回めぐり仲裁裁に訴え

海上に浮かぶ黒いゴムボートに、オレンジ色のライフジャケットを着た大勢の人が並んで座っている

画像提供, PA Media

ルワンダは27日、イギリスが撤回した不法入国者のルワンダ移送計画をめぐり、支払われるはずだった関連費用1億ポンド(約211億円)の支払いを求めて、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に仲裁を申し立てたと発表した。イギリスが合意条件に違反したと、ルワンダは主張している。

不法入国者をルワンダへ移送する計画は、2022年4月にボリス・ジョンソン首相(当時)が最初に発表した。イギリスに不法入国した人をルワンダに移送し、そこで亡命申請手続きをさせるというもので、イギリスはルワンダに関連費用を支払うことになっていた。しかし2024年、キア・スターマー現首相(労働党)が計画の廃止を決めた。

ルワンダ政府は、イギリスの「これらの問題に対するかたくなな態度」を受け、仲裁裁判所に申し立てを行うことを決定したと、声明で説明した。

一方、英内務省の報道官は、「前政権が合意したルワンダとの政策は、納税者の時間と資金を膨大に浪費した」と主張。

「我々はイギリスの納税者を守るため、自分たちの立場を断固として擁護する」と述べた。

ルワンダの主張

声明によると、ルワンダ政府はジョンソン政権時代の2022年に結んだ「移民・経済開発パートナーシップ」をめぐり、イギリスが三つの点で合意に違反したと主張している。

一つ目は、合意の財政条件を公表したこと。二つ目は、総額1億ポンドの支払いを怠ったこと。三つ目は、ルワンダにいる立場の弱い難民をイギリスに再定住させる体制を整えるのを拒否したことだ。

イギリスは計画の一環として、すでにルワンダが受け入れている弱い立場の難民のうち、イギリスからルワンダへ移送されていない少数の難民を、イギリスに再定住させることで合意していた。

英内務省は2022年当時、再定住の対象が「数十件」に上ると見込まれ、深刻な健康問題など複雑なニーズを抱える人が対象となるとしていた。

イギリスは保守党政権時代に、小型ボートで英仏海峡を横断しようとする人を阻止することを目的としたこの移送計画に、すでに約7億ポンドを投じている。

しかし、実際にルワンダへの移送を希望したのは4人のみで、スターマー氏は2024年総選挙で勝利して間もなく、同計画は「完全に終わった」と述べていた。

両国の合意には、「各当事者は一方に対し、書面通知で合意を解除できる」とする解除条項が含まれる。

イギリスが計画に投じた7億ポンドのうち2億900万ポンドは、ルワンダへの支払い分だった。

英内務省は2024年12月、この計画が維持されていれば、さらに1億ポンドの支払い義務が発生していたとしていた。2025~2026会計年度と2026~2027会計年度に5000万ポンドずつ支払う予定だった。

これに加えて、ルワンダに300人を移送した場合に1億2000万ポンドをさらに支払うことでも、同省は合意していた。

ルワンダ政府の声明によると、2024年11月にイギリスから、2025年4月と2026年4月に予定されていた5000万ポンドの支払いを免除してほしいとの要請があったという。

「ルワンダは、新たな財務条件について交渉・合意することを前提に、これらの取り決めを受け入れる用意がある」と示唆したものの、「ルワンダとイギリスの協議は最終的には行われず、当初の合意に基づく費用は未払いのまま」だと、ルワンダは説明している。

ルワンダ政府は、イギリス側が、合意に基づく「支払いを、今後一切行う意思がないことを明確に示してきた」としている。「ルワンダにいる最も弱い立場の難民の一部をイギリスに再定住させるための」取り組みも行わないと伝えられたと、ルワンダは主張している。

「残念なことに、イギリスのかたくなな立場を転換させようとしたルワンダの試みは失敗に終わった」と、声明には書かれてある。

声明によると、昨年11月にルワンダが仲裁手続きを伝えた後、イギリスが計画の廃止を通告してきたという。

計画が正式に廃止となるのは、2026年3月16日だと、ルワンダは説明した。

BBCは英内務省にコメントを求めている。

ルワンダとイギリスは、移送計画をめぐる問題を両国間で解決できない場合に、常設仲裁裁判所に付託することで合意していた。

常設仲裁裁判所は、国家間の争いが解決しない場合、拘束力のある裁定を下す権限を有する。

裁判所側は、ルワンダからの申し立てをどのように、いつ処理するかは明らかにしていない。

最大野党・保守党のクリス・フィリップ影の内相は、ルワンダによる仲裁申し立ては、「計画を開始する前にそれを破棄するという、労働党の決定がもたらした、新たな壊滅的な結果」だと指摘。

「この法的措置は、労働党の弱さと無能さのためにイギリスの納税者が巨額の負担に直面することを意味する」と、フィリップ氏は述べた。

また、労働党は「この重要な政策を貫徹するには力がなさすぎた。代償を払わされるのはイギリスの納税者だ」とした。

英政府は計画廃止を表明した後の2024年当時、回収可能な資金について検討しているとしていた。

しかしルワンダは、イギリスとの合意で受け取った2億4000万ポンド(約490億円)について、払い戻す義務はないとの見解を示している。