米人気司会者コルベア氏、CBSが当局を恐れて民主議員のインタビューやめたと主張 自らの深夜トーク番組で

ダークスーツに白いシャツ、赤いネクタイ姿のコルベア氏がスタジオで、「ザ・レイト・ショー」の文字が記されたデスクの後ろに座って口を開いている

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画像説明, 自らの番組で机の後ろに座るスティーヴン・コルベア氏
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米CBSの深夜番組で司会を務めるスティーヴン・コルベア氏が、CBSについて、連邦通信委員会(FCC)の報復を恐れて、野党・民主党議員のインタビューの放送を認めなかったと、16日の番組で非難した。CBSは、インタビューの放送を「禁止した」事実はなく、「法的な指導」をしただけだとしている。

コルベア氏によると、自身の番組「ザ・レイト・ショー」で16日、ジェイムズ・タラリコ連邦下院議員(テキサス州)を迎え、インタビューをする予定だった。

しかし、CBSがその放送を認めようとしなかったと、コルベア氏は同日の番組で批判。背景には、CBSがFCCの顔色をうかがっていることがあるとした。

FCCは、アメリカのラジオ、テレビ、衛星放送の規制当局。放送局の合併や、放送内容の品位に関する苦情の取り扱いなど、さまざまな事柄について権限を有している。

FCCは最近、政治家や政治家を目指す人々に平等に放送時間を与えるようテレビ局とラジオ局に義務付ける、新たな指針を示している。

コルベア氏は16日の番組で、「ここの放送局の弁護士から私たちに直接電話があり、彼(タラリコ議員)を放送で出すことはできないと、明確に言われた」と主張。

「それから、不明確な言い方で、彼を出せないだけでなく、彼を出さないことに触れることもできないと言われた。この放送局は明らかに、このことについて私たちに話してほしくないと思っている。ということで、このことについて話そう」と述べた。

コルベア氏はまた、CBSの弁護士らがFCCの「平等時間」ルールに関するガイドラインについて、CBSにとって法的問題を生む可能性があると述べていたとした。

CBSは全面否定

CBSは17日に声明を発表。次のように主張し、コルベア氏の訴えを全面的に否定した。

「ザ・レイト・ショーは、ジェイムズ・タラリコ議員のインタビューの放送をCBSから禁止されてはいなかった」

「番組側は、放送によって(選挙の)他の候補者2人に関してFCCの平等時間ルールを発動させるかもしれないと、法的な指導を受けた。(中略)そして、どうすれば他の候補者に関して平等時間のルールを満たせるか、選択肢を提示された」

「ザ・レイト・ショーは、平等時間の選択肢を提供する可能性よりも、ユーチューブのチャンネルを通してインタビューを行い、放送でそれを宣伝することを選んだ」

その後、タラリコ議員のインタビューは、全内容がユーチューブに投稿された。FCCのルールはユーチューブには適用されない。

ルール適用拡大の動き

「平等時間」のルールは従来、報道系の放送内容には適用が除外されてきた。

しかしFCCは、コルベア氏のショーのような深夜番組には、このルールを近いうちに適用するかもしれないとしている。同ルールは、共和党に厳しいスタンスをとりがちな政治ラジオ番組にも適用される可能性がある。

FCCは先月、新たな指針を発表。ブレンダン・カー委員長はその後、Xへの投稿で、「レガシーとなったテレビ放送局は長年、深夜や昼間のトーク番組について、純粋に党派的な政治目的でつくられたものですら『真正なニュース』番組に当たるとしてきた」と主張。

「しかしFCCは今日、(放送局には)すべての候補者に平等な機会を提供する義務があると再認識させた」とした。

ドナルド・トランプ大統領は、この問題に絡んで時折発言している。自らの政権に批判的な見解をいくつかの放送局が流しているとし、そうした放送局からFCCが出した免許を引き上げることを検討しているとしている

CBSに対する批判

CBSをめぐっては、カマラ・ハリス前副大統領のインタビューに関して、親会社のパラマウント・グローバルがトランプ氏に訴えられ、昨年7月に1600万ドル(約24億6000万円)を支払うことで和解している。

業界の事情を知る人たちは、この和解について、パラマウントとスカイダンス・メディアの合併計画に影響を与えないためのものだったとしている。トランプ氏は当時、この合併を中止させる権限をもっていた。

FCCで唯一の民主党員のアンナ・ゴメス委員は声明を発表し、CBSの対応を非難。CBSには、憲法修正第1条が定める言論の自由があるとし、こう述べた。

「今回のことは、言論を検閲し統制しようとするこの政権の広範なキャンペーンに直面した企業が屈服するという、また新たな困った実例だ」

「(FCCには)政治的目的のために放送局に圧力をかける合法的な権限はない」

「CBSの親会社のパラマウントが、政府との関係で規制上の懸案を抱えているのは周知の事実だが、企業にとっての利益は、ニュース価値の高いコンテンツを放送することから退く正当な理由にはならない」

ザ・レイト・ショーは、5月で33年の歴史に幕を下ろす予定。コルベア氏はこの番組の司会を2015年から務めている。