ワインスティーン被告、再審でも性的暴行で有罪評決 米ニューヨーク州

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米ニューヨーク州の裁判所で昨年、性的暴行の有罪評決が取り消され、再審となっていた米ハリウッドの元大物映画プロデューサー、ハーヴィー・ワインスティーン被告が11日、性的暴行の罪で、あらためて有罪評決を受けた。
今回の裁判では、6週間にわたる審理の後、女性7人、男性5人の陪審員団が5日間評議し、3件の事件のうち1件について、全会一致で有罪評決を出した。
一方、別の性的暴行事件については無罪とした。もう1件の強姦罪の事件では、まだ評決が出ていない。
ワインスティーン被告はこのほか、ロサンゼルスの裁判所でも2023年、性犯罪で有罪とされ、16年の禁錮刑が言い渡されている。この刑にはまだ服していない。
同被告はさらに、昨年9月にも、ニューヨーク州で新たな性的暴行罪で起訴されている。
緊迫した陪審評議
今回の裁判は、元制作アシスタントのミリアム・ヘイリー氏、俳優のジェシカ・マン氏、元モデルのカヤ・ソコラ氏の3人の証言に基づいて行われた。3人はいずれも、ワインスティーン被告がエンターテインメント業界での影響力を利用して性的虐待を行ったと訴えていた。
陪審団は11日、ヘイリー氏への暴行について有罪と判断した一方、ソコラ氏への暴行については無罪とした。マン氏に対する強姦罪については評決が出ておらず、陪審団は12日に評議を再開する予定だ。
ヘイリー氏は評決後、「性的暴力に対する新たな認識が広がり、『完璧な被害者』という神話が薄れつつあることに希望を感じている」と述べた。
一方、ワインスティーン被告の広報担当者は声明で、「陪審評議に入るまでは公正な裁判だった」と述べた。
また、「複数の陪審員が、他の陪審員が先入観を持ち、ワインスティーン氏の私生活に関する信念を、有罪の証拠として用いていると訴えていた」と主張し、「重大な控訴理由があると考えており、その可能性を検討していく」とした。
先週始まった陪審評議は、緊迫した状況が続いていた。陪審員長は今週、一部の陪審員が他の陪審員を「攻撃」し、意見を変えさせようとしていたと主張した。また、陪審員たちがワインスティーン被告の過去や、本件とは無関係の他の疑惑を判断材料にしていると指摘した。
さらに、ある陪審員が別の陪審員に対して暴力をほのめかす発言をしたとの申し立てもあった。
判事は最終的に、陪審員に対し「本件の訴因のみに基づいて判断するように」との指示を出すと述べた。
証言した女性、「誇りと自信を取り戻せた」と
ニューヨーク州の控訴裁判所は昨年4月、ワインスティーン被告の性的犯罪に関する有罪評決を取り消した。2020年の裁判において、審理対象外の女性たちの証言が認められたことで、公正な裁判が行われなかったと判断した。
再審は、2020年の裁判で証言したマン氏とヘイリー氏の2人の女性による訴えを中心に進められた。
また、ポーランド出身の元モデル兼俳優のソコラ氏による証言も新たに含まれた。ソコラ氏は19歳のときにワインスティーン被告から性的暴行を受けたと主張していたが、陪審団は11日、この件について無罪と判断した。
評決を受けてソコラ氏は、「ワインスティーンが一部の罪について責任を問われることに安心している」と述べた。
さらに、「声を上げることは、これまでで最も困難なことだった。自分自身のため、そして彼から生き延びた他の女性たちのために、ワインスティーンがどのような人物かを世界に知らせる責任があった」と語った。
「声を上げることは力の行使であり、彼が私から奪おうとした誇りと自信を取り戻すことができた」
3人の女性は、ワインスティーン被告から受けたとした性的虐待について、数日にわたり証言した。
3人はいずれも、若くしてエンターテインメント業界での仕事を求めていた時期に同被告と出会ったと述べた。その後、ホテルや自宅などでの個別の面会の場で、被告に性的行為を強制されたと主張している。
一方、ワインスティーン被告の弁護団は、女性たちとの性的関係はすべて合意の上であり、「都合の良い関係」のようなものだったと主張した。
また、被害を訴えた女性の信用性を損なおうと、女性たちが「事件」後にも同被告に対して親しげなメッセージを送っていたと指摘した。
ワインスティーン被告は、がんと糖尿病を患っており、裁判期間中はライカーズ島の拘置所ではなく、ニューヨーク市内のベルビュー病院に拘束されていた。法廷では、車椅子に座って審理に臨んだ。
ワインスティーン被告はこれまでに、100人以上の女性から性的不正行為、暴行、強姦などの疑いで告発されている。すべての訴えが刑事事件に発展したわけではないが、ロサンゼルスでの有罪評決により、被告が残りの人生を刑務所で過ごす可能性が高いとされている。
被害を訴えた女性たちが声を上げたこと、そして今回のニューヨークでの有罪評決は、権力を持つ男性による性暴力に対抗する「#MeToo(私も)」運動を活性化させる契機となった。
ワインスティーン被告に対する疑惑が表面化するまで、同被告と弟のボブ・ワインスティーン氏は、ハリウッドで最も影響力のある人物とされていた。
ワインスティーン被告らは、映画スタジオ「ミラマックス」を共同設立し、アカデミー賞作品賞を受賞した「恋におちたシェイクスピア」、「パルプ・フィクション」といったヒット作を世に送り出した。
同被告は複数の民事訴訟にも直面しており、その中には性的嫌がらせや強姦を訴えた女性たちによる集団訴訟も含まれている。この集団訴訟は2020年、1900万ドル(約27億5000万円)の和解金で決着した。











