強制送還から帰還、いったん釈放……米当局は男性をウガンダへ移送方針

刑務所を出て屋外を歩くアブレゴ=ガルシア氏。白いシャツを着ている。黒い短髪で黒いあごひげをたくわえている。

画像提供, Reuters

画像説明, パトナム郡刑務所から保釈されたキルマー・アブレゴ=ガルシア氏(22日、米テネシー州クックヴィル)

今年3月にアメリカ政府の「手違い」で出身国の中米エルサルバドルに強制送還され、その後、アメリカで刑事訴追されたために同国に帰還していたキルマー・アブレゴ=ガルシア氏について、アメリカ当局はいったん22日に保釈したものの、それから間もなく、アフリカ東部ウガンダに強制移送する可能性を通告したという。アブレゴ=ガルシア氏の弁護団は23日、未決の刑事事件について司法取引を拒否したことを受けての、当局の対応だと主張する内容を、テネシー州の連邦地裁に提出した

アブレゴ=ガルシア氏の弁護団が連邦地裁に提出した文書によると、エルサルバドルからアメリカに帰還し、テネシー州の刑務所に収監されていた同氏が、22日に釈放される見通しとなったのを踏まえ、連邦当局は21日の時点で、密入国あっせんの罪について司法取引を提案。アブレゴ=ガルシア氏がこの事件で有罪を認めれば、刑期を満了後、中米コスタリカに移送するともちかけていた。コスタリカ政府は、同氏を難民として受け入れ、法的地位を与えると約束していたという。

アブレゴ=ガルシア氏がこの司法取引を拒否したため、同氏の保釈後に政府当局は弁護団に、ウガンダへの移送予定を通知してきたという。エルサルバドル出身の同氏は、ウガンダとの縁はないとされている。

弁護団は、政府が「世界の反対側」にあるウガンダへの強制移送を脅すことで、アブレゴ=ガルシア氏に「無理やり」有罪を認めさせようとしていると非難している。

「司法省と国土安全保障省と移民関税執行局はそのまとまった権力を行使し、アブレゴ氏に対し、有罪を認めて相対的に安全な状態を得るか、安全と自由が脅かされるウガンダへ追放されるか、どちらかを選ぶよう迫っている」と、弁護団は連邦地裁に訴えた。

弁護団によると、アブレゴ=ガルシア氏は25日朝までにコスタリカ移送と引き換えに司法取引を受け入れるよう当局から迫られており、政府は「それ以降はこの提案は永久に撤回される」と通告しているという。

アブレゴ=ガルシア氏が政府の提案を検討しているかどうかは、現時点では明らかになっていない。

アブレゴ=ガルシア氏は現在、家族とメリーランド州におり、25日に同州ボルティモアの移民裁判所に出廷する予定となっている。裁判官が政府の要請を認めれば、数日以内に追放される可能性がある。

トランプ政権はこのほど、違法移民対策の一環として、ホンジュラスおよびウガンダとの間で2国間送還協定を締結している。BBCがアメリカで提携するCBSニュースが入手した文書によると、ウガンダ外務省のバギーレ・ヴィンセント・ワイスワ事務次官は声明で、「これは条件付きの一時的な取り決めで、犯罪歴のある者や単独渡航の未成年者は受け入れない」と述べている。

「ウガンダは、アフリカ諸国出身者が送還対象となることを望んでいる」とも、次官は話している。

アブレゴ=ガルシア氏の強制移送は、トランプ政権による移民取り締まり強化を象徴する事例となっている。

同氏は3月に母国エルサルバドルへ送還され、現地の悪名高い巨大刑務所「テロ監禁センター(CECOT)」に収容された。しかし、米政府当局が「行政上の誤り」による送還だったと認めた後、裁判官が同氏の帰国を「容易にする」よう命じた。

その結果、同氏は6月初旬にアメリカへ戻され、テネシー州に送致され、密入国あっせん計画に関する罪で起訴された。同氏は罪状を否認している。

テネシー州の連邦判事は6月下旬、アブレゴ=ガルシア氏は保釈される資格があると判断したが、同氏の弁護団が、刑務所を離れれば即座に再送還される可能性があると懸念したため、施設にとどまっていた。