ロンドン警視庁、警官3人を免職 BBCが潜入取材で報じた問題行為を認定

男性3人の顔写真が横並びになっている
画像説明, ロンドン警視庁を即時免職となった3人の警官

BBC報道番組「パノラマ」が潜入取材し、問題行為について報じたロンドン警視庁の警官3人が23日、重大な不祥事を起こしたと認定され免職処分を受けた。

ジョー・マキルヴェニー巡査部長、フィリップ・ニールソン巡査、マーティン・ボーグ巡査はそれぞれこの日、番組で放送された隠し撮り映像をめぐって、警視庁の不祥事に関する聴聞会に臨んだ。3人は、重大な不祥事を起こしたとの訴えについては否定したが、番組で放送された発言をしたことは認めた。

聴聞会は3人全員に対する訴えを支持し、全員が即時免職となった。

警視庁は映像をめぐり、不祥事に関する対処を素早く進めている。聴聞会には現職と元職の警官計10人が臨む予定で、今回の3人はその最初となった。

聴聞会を取り仕切るジェイソン・プリンス警視長は、3人の行為を「面汚し」だと非難。「発言がおぞましいもの」だったのは、3人にとっても「明らかだったはずだ」と述べた。

また、マキルヴェニー巡査部長の行為について、「巡査部長で指導的立場にあったことから、いっそう悪質だった」と付け加えた。

聴聞会のあと、警視庁の警官のあり方について担当するサイモン・メシンジャー警視長が声明を発表。不祥事の聴聞会を「できるだけ早い機会に」開くという約束を守ったとした。

そして、「(ロンドン中心部の警察署)チャリング・クロスの留置チームを入れ替え、現地のリーダーを変えた。警視庁の拘束チームにおける他の懸念を見つけるため、さらに広い範囲で取り組みを続けている」とした。

警視庁に20年近く勤務していたマキルヴェニー巡査部長は、パートナーからのレイプと家庭内暴力の被害を訴える妊婦に真剣に対応しなかった。その様子は密かに撮影されていた。

また、このパートナーについて保釈を決め、その決定に対して同僚が、以前もこのパートナーは妊婦の腹を蹴ったとされていたのだと懸念を示すと、「彼女の言い分でしかない」と答えた。そのやりとりも撮影されていた。

BBC「パノラマ」は、マキルヴェニー巡査部長がチャリング・クロス署で勤務中、女性差別的な発言をしたのも撮影した。

23日の聴聞会では、マキルヴェニー巡査部長が、番組で報じられた自らの発言について、「文脈が欠けていた」と主張。重大な不祥事があったとされると、免職ではなく降格とするよう求めた。

また、番組が放送されて以降、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、セラピーを受けているとした。

潜入取材した記者については、「とても賢い男だった。私の信頼を得て、私の無防備な状態につけ入った。それを利用し、こうした会話を強要した」と述べた。

単なる不品行だと主張

ニールソン巡査は、中東から「クズ」が「侵略」しているとし、アルジェリアやソマリアの出身者らを侮蔑する発言をしたのが、BBCによって撮影された。

また、オーバーステイで拘束された人について、「頭を銃弾で貫く」べきだと話しているのも記録された。

ニールソン巡査はこのほか、「拘束された人に対する不適切な武器の行使を美化した」り、法を犯した移民に対する不法な暴力を示唆したりしたとされた。

プリンス警視長は、これらすべての疑惑が証明されたとした。

聴聞会では、ニールソン巡査は自らの発言について争わなかったものの、単なる不品行でしかないと主張した。

また、警官になって4年になるとし、自分は人種差別主義者ではないと証言した。

潜入取材した記者については、「(自分の)人権を侵害した」と考えていると発言。記者が「このような話題を持ち出し続け」て「私をけしかけた」と述べた。

ニールソン巡査は、問題の発言のいくつかは、パブでギネス(ビール)を8、9パイント飲んだあとだったした。そして、自分は「酒飲み」ではないと述べた。

さらに、自分は誰のことも差別しないし、自分が体に装着していたカメラの映像からは、「民族性に関係なく、私がすべてに最大限の敬意を払って行動していた」ことがわかるはずだと主張した。

プリンス警視長は、ニールソン巡査の発言について、警視庁の評判と警察への公衆の信頼に「著しい傷」をもたらすもので、重大な不祥事に当たると判定。「全くの面汚し」だと断じた。

警視庁は以前、ニールソン巡査について、「極端な人種的、暴力的、差別的見解を示していた」うえ、「敬意、礼儀、プロフェッショナリズム」も欠いていたと説明していた。

記者に仕組まれたとも

同じくチャリング・クロス署で勤務していたボーグ巡査も、23日に免職された。

BBC記者の潜入取材では、拘束された容疑者の脚を別の警官が踏みつけた様子を、ボーグ巡査が熱心に語る様子が撮影された。

その映像では、同巡査は笑いながら、容疑者が先に巡査部長を蹴ったと証言すると申し出たと話している。BBCが確認した同署の監視カメラ映像では、それが事実なのかは、はっきりしない。

警視庁の代理として今回の問題について申し立てをしたジェイムズ・ベリー勅選弁護士は、番組「パノラマ」では、ボーグ巡査が「拘束者に対する武器の使用について喜び」、「イスラム教徒についていくつかの差別的発言」をしたことがわかると述べた。

ボーグ巡査は、自分は人種差別主義者ではなく、重大な不祥事を引き起こしていないと主張した。一方、番組で放送された発言をしたことは認め、「潜入取材のために何カ月もかけて、(記者に)信頼をもつように仕組まれた」のだと話した。

同巡査に対しては8件の疑惑が持ち上がっている。聴聞会では、うち5件が重大な不祥事とされた。

プリンス警視長は、ボーグ巡査の行為を「面汚し」とし、「この発言は彼一人の責任で、自分の発言がおぞましいものなのは本人にも明らかだったか、明らかだったはずだった」と述べた。

また、「これらの発言は、警視庁の評判と、より一般的な警察活動への公衆の信頼を、著しく傷つけた」とした。

警視庁によると、今後1週間でさらに7人の警官が、不祥事に絡む聴聞会に臨む予定だという。