レイナー英副首相に規範違反の可能性、首相は対応明言せず 住宅購入時に税金を過少納付

画像提供, House of Commons
クリス・メイソン政治編集長、ビリー・ケンバー政治調査担当編集委員
イギリスのアンジェラ・レイナー副首相兼住宅・コミュニティー担当相が、住宅購入をめぐり閣僚行動規範に違反した可能性が出てきている。これについてキア・スターマー首相は4日、BBCの取材に対し、違反が認められた場合に同氏を解任するかについて繰り返し明言を避けた。
レイナー副首相は先に、今年5月に購入したイングランド南部ホーヴにある80万ポンド(約1億5900万円)の住宅について、印紙税の納付額が少なすぎたことを認めた。印紙税の額は、購入不動産が主な居住地かそれ以外かによって異なるため、レイナー氏の主な住居がどこかをめぐり税額に違いが生じた。
レイナー議員はその後、首相倫理顧問のサー・ローリー・マグナスに、自ら調査を依頼した。
レイナー氏はこの「誤り」について、自分の状況を「適切に考慮しなかった」不正確な法的助言によるものだと説明している。レイナー氏の関係者によると、同氏は不動産登記手続きを担当した弁護士と、信託法の専門家2人から助言を受けていたという。
一方で、レイナー氏が利用した登記手続き事務所は、同氏に対して税務助言は行っておらず、「提供された事実と情報に基づいて印紙税を算出した」と述べている。
閣僚行動規範は、誠実や正直など、閣僚に求められる行動基準を定めたもの。閣僚には包括的な順法義務があると定めている。行動規範に違反した閣僚は辞任するのが、イギリス政界での慣例になっている。
サー・ローリーは、閣僚が規範を順守しているかについて助言する権限を持つが、対応の有無やその内容を決定するのは首相となる。
スターマー首相はBBCの取材に対し、サー・ローリーによる報告書が「包括的」で迅速に提出されるはずだとして、「当然、その報告に基づいて対応する」と述べた。ただし、レイナー氏を解任するかどうかについては言及を避けた。
首相はさらに、ボリス・ジョンソン元首相と自分が比べられるような事案ではないと述べた。ジョンソン氏は首相在任中、当時の倫理顧問だったサー・アレックス・アレンが、プリティ・パテル内相による閣僚規範違反を指摘したにもかかわらず、パテル氏を解任しなかった。
スターマー氏は、首相就任以降、閣僚規範と顧問の役割を強化したと説明している。
関係筋によると、報告書は早ければ5日にも公表される可能性がある。これについてスターマー氏は、「最終的には事実を確定する必要があると考えている。それは独立顧問が行い、結論を導くことになる」と述べた。
また、「この手続きは、もう間もなく完了すると考えている。そして当然ながら、その後の対応は私の責任となる」
「その報告書に記された内容を踏まえて判断を下す責任が自分にあると、完全に受け入れている」
スターマー首相には、レイナー氏を住宅・コミュニティー担当相および副首相の職から解任する権限がある。一方、与党・労働党の党員による選挙でレイナー氏が選ばれた副党首の職については、解任権限がない。
スターマー氏は今月1日の時点で、レイナー氏が自分の税申告について追加の助言を得ていると承知していたと述べた。
野党は「信念がない」と非難
レイナー氏の事務所は当初、英紙デイリー・テレグラフによる8月28日の報道を受けて、同氏が印紙税を正しく支払っていたと説明していた。
しかし、レイナー氏は29日夜、弁護士に状況の再検討を依頼。法廷弁護士は9月3日に最終的な助言を提示し、同氏が正しい額の印紙税を納めていないとの結論を示した。
レイナー氏は過少納付を認めた上で、「今回の誤りを深く後悔している。私はこの問題を完全に解決し、公的サービスに求められる透明性を確保することに尽力する」と述べた。
スターマー首相は他の閣僚らと共にレイナー氏を支持しており、議会では「彼女と並んで座ることを非常に誇りに思っている」と語った。
一方、野党からはレイナー氏の辞任を求める声が上がっている。
最大野党・保守党のケミ・ベイドノック党首は、スターマー首相には「信念がない」と批判した。
「首相は、このような状況が起きた場合、即座に解任すると何度も言ってきた」、「野党党首だった頃には、同様の事例で人々を追及していた。アンジェラ・レイナー氏も同様だ」と、ベイドノック氏は語った。
「しかし今、立場が逆転すると、彼らが示しているのは偽善だ」
ベイドノック氏は、レイナー氏が印紙税を正しく支払っていなかったと認めたことは、「本人による即時辞任、あるいはスターマー氏による即時解任につながるべきだった」と主張している。
4日付の英紙ガーディアンによると、レイナー氏は印紙税をめぐる論争の中心となっているホーヴの物件購入にあたって、イングランド南東部ケント州にある小規模な家族経営の登記事務所「ヴェリコ・アンド・アソシエイツ」を利用していた。
同事務所の創設者ジョアナ・ヴェリコ氏は、「提供された事実と情報に基づいて」印紙税を算出したと述べた上で、「当社はすべてを誠実に、正しく行ったと信じている」と語った。
また、自分たちの事務所は「信託を扱っておらず、税務助言も行っていない」と説明している。
専門家らは以前から、登記事務所がレイナー氏のようなケースに必要な専門的な税務助言を提供できる可能性は低いと指摘していた。
レイナー氏が相談したとされる2人の信託法専門家が誰か、この2人が印紙税に関する専門知識を有しているかについては、依然として明らかになっていない。
(追加取材:ケイト・ワネル)









