ニュージーランド新政権、「たばこ禁止法」撤廃の方針 保健専門家ら批判

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ニュージーランドで27日、クリス・ラクソン首相による新政権が発足した。減税の代替財源を確保するため、世界で最も進んでいる「たばこ禁止法」を撤廃する方針を示しており、保健専門家らが非難している。
たばこ禁止法は、2009年以降に生まれた人への紙巻きたばこの販売を来年から禁止する。ジャシンダ・アーダーン前政権下で導入された。
ニュージーランドでは、予防可能な死亡の原因のトップが喫煙となっており、若者に喫煙習慣を身につけさせないのが目的。禁止法は、たばこ販売店数の制限や、たばこに含まれるニコチン濃度の低減なども含まれ、毎年5000人の命が救われるとされてきた。
たばこ禁止法は公衆衛生の政策として高く評価される一方で、国内の一部のビジネス団体からの反発も招いた。街角で新聞などを売る小売店経営者らは、政府の補助金があっても収益が失われると批判した。
ラクソン新首相を含む一部の議員らは、禁止法によってたばこの闇市場が生まれると主張してきた。
たばこ禁止法の撤廃には、議会での議決が必要。
ニュージーランドは、2025年までに国民の喫煙率を5%まで下げ、最終的には喫煙を完全になくすことを目指している。同国のデータによると、過去1年間に成人8万人以上が禁煙し、現在の成人の喫煙率は約8%。
専門家らに衝撃
保健衛生の専門家らは、突然の転換を強く批判している。
オタゴ大学のリチャード・エドワーズ教授は、「世界をリードする極めて優れた保健政策にとって大きな退行だ」と非難。
「ニュージーランドのほとんどの保健団体は、政府の行為にがく然として、撤回を求めている」、「政府は世論を無視し、大多数の保健専門家、医師、看護師らを明らかに無視している」とBBCに話した。
ニュージーランドの先住民マオリ族の全国的な保健組織は、「すべてのニュージーランド人の健康と福祉に対する非良心的な打撃」だとした。
マオリ族の間では、喫煙率の高さやたばこ関連の病気や健康問題の多さが大きな問題となっており、たばこ禁止法がその改善に寄与すると複数の専門家が期待していた。
連立交渉の中で
たばこ禁止法の撤廃方針は、ニコラ・ウィリス新財務相が25日に発表した。
ニュージーランドでは、先月14日に総選挙があり、ラクソン氏率いる中道右派の国民党が得票率38%で第1党となった。連立による政権発足を目指し、ポピュリスト政党のニュージーランド・ファースト党と、自由至上主義政党のACT党と政策を協議。24日にようやく合意にこぎつけた。
たばこ禁止法については、国民党は選挙戦で触れていなかった。そのため、法律がそのまま維持されると考えていた健康問題の専門家らは、撤廃の方針に衝撃を受けている。選挙戦では、ニュージーランド・ファースト党(投票率6%)だけが、同法の撤廃を主張していた。
国民党所属のウィリス氏は、連立を組む2政党が撤廃に「固執」しているとした。

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国民党は当初、中高所得者を対象に減税を実施し、税収減は外国人の不動産所有を認めることで補うとする目玉政策を掲げた。しかし、連立の2政党がこれに反対。そのため、他の財源を探す必要があったと、ウィリス氏は述べた。
ニュージーランドで禁煙拡大に取り組む「アクション・フォー・スモークフリー2025」委員会のロバート・ビーグルホール委員長は、「たばこを吸い続ける人に税収減を補わせるというのは、まったくショッキングな話だ」と現地メディアに話した。









