米ハワイ州マウイ島などの森林火災死者、少なくとも80人に 州の記録史上最悪

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米ハワイ州マウイ島で大規模な森林火災が発生し、確認された死者数は現地時間11日夜までに少なくとも80人に達した。負傷者も多く出ている。今後さらに死傷者の数が増えると懸念され、州の記録史上、最悪の死者数を出した自然災害となった。
火災はまだ鎮圧されていない。最も甚大な被害に遭ったマウイ島西部のラハイナ町では10日午後までに、火事の80%が鎮圧されたものの、11日午後の時点でもマウイ島西部で電力と水道は復旧していない。
ラハイナ町だけで、1000棟以上の建物が焼失した。当局は、修復と復興には数年かかる恐れがあるとしている。
ハワイ州の司法長官は11日、当局の対応について「包括的な見直し」を行うと発表。森林火災の規模と危険について当局が十分に早い段階から住民に警告していたか、疑問視する声が相次いでいる。
ハワイ州政府は11日、ラハイナ町の在住証明を持つ人たちに、一時的な帰還を許可した。一方、午後10時から午前6時までは外出が禁止され、特に被害の甚大な町の中心部の出入りは、捜索・救助関係者に限られる。
ハワイ州のジョシュ・グリーン知事は10日にラハイナの現地を訪れ、住民に覚悟するよう伝えた。「ラハイナは完全に破壊されている。今まで見たこともないような破壊を目にすることになる」と知事は述べ、「とことん身の安全に注意して、とことん気を付けて」行動するよう呼びかけた。
住民への一時帰宅が許可されたものの、町から約32キロ離れた戦争記念スタジアムに設けられたシェルターでは、多くの住民が直ちに戻るつもりはないと話した。避難している住民の多くは、火が自宅に燃え移るのを見て、ぎりぎりで脱出したため、戻っても何もないはずだと話す。
住民の多くはBBCに、生きているだけでもありがたいと思っていると話した。他方で、住民の多くは自宅が略奪被害にあったと懸念している。

ラハイナ住民の1人は10日の時点でメディアに対し、港にあった船は全て燃えたと語った。
米沿岸警備隊は11日、ラハイナの港の水中から17人を救助したと明らかにした。いずれも容体は安定しているという。
ただし、マウイ島でツアーを運営するゲイブ・ルーシーさんはBBCに対して、「(火から逃れようと)大勢が海に飛び込んでいた。あまりにあっという間に火に取り囲まれたため、それしか逃げようがなかったのだ」と話した。救助に当たっている人たちは「水中から4歳児を引き上げては、サーフボードに乗せて陸へ運んでいる」状態だとルーシーさんは言い、「複数の遺体が岩に打ち上げられ」ているという話を聞いていると述べた。


マウイ島とハワイ島の森林火災は8日夜に始まった。出火そのものの直接の原因は明らかになっていないが、出火後には乾燥した空気と、太平洋で発生したハリケーンの風の影響で大きく燃え広がった。
ハワイで起きた記録史上最悪の自然災害はこれまで、61人が死亡した1960年の津波だったが、今回の火災はそれを上回ったことになる。
8日に緊急事態
マウイ島は観光地として人気が高い場所だが、現在は訪問をとりやめるよう勧告が出ている。
ハワイ州のシルヴィア・ルーク副知事は、8日夜に緊急事態を宣言。災害支援に向けて州兵を招集した。

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グリーン州知事は10日、1700棟もの建物が破壊され、9日夜には2000人以上が避難所で過ごしたと米CNNに語った。
「この災害の全容が語れるようになるまでに、何十人もの人が命を落とし、何十億ドルもの財産が破壊されると思って間違いない」と、グリーン知事は述べた。
また、被害が集中しているラハイナの町について、「まるで爆弾がラハイナを直撃したみたいだ。みんな口をそろえてそう言うはずだ」とした。
火に襲われたさまざまな物が「まだくすぶっている」とも知事は言い、「ラハイナの80%がなくなってしまったように見える」と述べた。
ルーク州副知事は9日朝、「避難所はあふれかえっているし、人員などにも負担がかかっているが、地元住民のためにできることは全てしている」と述べた。
また、被害全体の評価には「数カ月」がかかるとの見通しを示したほか、「暴徒が出てくる懸念がある」と述べた。

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9日の時点で電信柱29本が倒れたため、数千人が携帯電話を使えなくなった。家屋や店舗への被害の全体像はまだ分かっていないという。
アメリカ国内の停電をモニタリングする「PowerOutage.Us」によると、ハワイ州では一時1万2000人以上が停電に見舞われた。
ハワイ出身のバラク・オバマ元米大統領はソーシャルメディアに、「ハワイから出てくる映像には、見ていてつらいものがある。大勢にとってとても特別な場所だ。ミシェルと私は、愛する人を失った人全員、あるいは生活がひっくり返ってしまった人全員のことを思っている」と書いた。

ハワイ州よりも森林火災が頻繁に起きるカリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事は10日、捜索救助隊を派遣して復旧作業を支援すると発表した。
「人命を奪い、ラハイナの歴史的な町を破壊したこの恐ろしい森林火災の中、我々はマウイ島の人々とすべてのハワイの人々を支える」と、米ソーシャルメディア「X」(旧ツイッター)に投稿した。
「気候変動で加速する壊滅的な森林火災は、コミュニティ全体や、何世紀にも続くかけがえのない歴史や遺産を消し去ってしまう。カリフォルニア州の人間はそのことを、身をもって知っている」
ラハイナでの火災は、2018年にカリフォルニア州北部で起きた「キャンプ・ファイア」火災以来の致命的な火災となっている。「キャンプ・ファイア」では同州パラダイス町の大部分が破壊され、85人が死亡した。
ハワイ州での山火事は、カリフォルニア州など北米大陸西部を襲う山火事に比べて小規模なことが多い。
しかし専門家らは、ハワイの生態系は人類が到来する以前は火事に遭わずに進化してきたため、火事の被害はより深刻化しやすいと警告している。

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ハワイ州では一時、少なくとも7件の森林火災が同時発生した。米国立気象局のホノルル支局は、数百キロ離れた地点で発生しているハリケーン「ドーラ」から吹く強く乾燥した風が、これらの山火事をあおっていると述べた。
現地当局によると、この風により、ヘリコプターでの消火活動が困難になっていたという。
ホワイトハウスは8日、連邦緊急事態管理庁(FEMA)と海軍が消防・救助活動を支援していると発表。FEMAは、水や食料、簡易ベッド、毛布といった救援物資を供給していると明らかにした。
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