作家ラシュディさん、表現の自由が脅威にさらされていると警告 殺人未遂事件から9カ月後

画像提供, The Bookseller
英作家サー・サルマン・ラシュディが、西側諸国での表現の自由が脅威にさらされていると警告した。ラシュディさんは昨年8月、米ニューヨーク州ショトーカ・インスティテュートでの講演中に、壇上に駆け上がった男に顔や首、腹部などを複数回刺された。これによりラシュディさんは片目の視力を失った。
ラシュディさんは、15日に開催された英「ブリティッシュ・ブック・アワーズ」で「出版する自由賞」を受賞。会場で動画メッセージが流れた。
片方が色付きレンズのめがねをかけ、少しやせた様子のラシュディさんは、西側諸国の表現の自由は重要な分岐点にあると述べた。
「こうして私がアメリカにいる間にも、各地の図書館や学校の児童図書が異常な攻撃にさらされるのを、目の当たりにしている」
「図書館という概念そのものへの攻撃だ。これには本当にとんでもなく心配なことだ。何が起きているのか、私たちはきちんと認識し、強力に対抗しなくてはならない」
ラシュディさんはまた、古い書籍で使われている不適切だとされる言葉を、現代に合わせて書き換える行為についても批判。本は「その時代のものであり、その時代から私たちの元に来る」べきだと述べた。
その上で、「もし(古い本の内容を)受け入れるのが難しければ、読まなければいい。別の本を読めばいい」と語った。
インド出身でイギリスとアメリカの国籍を持つラシュディさんは、1988年に出版した小説「悪魔の詩」で一躍有名になった。しかし、その内容がイスラム教を冒涜(ぼうとく)しているとして一部のイスラム教徒の怒りを買い、いくつかの国で出版が禁止された。
出版から1年後には、イランの最高指導者だったホメイニ師がラシュディ氏の死刑を命じた。また、ラシュディ氏を殺害した者に300万ドルの懸賞金を支払うとする「ファトワ」(イスラム教の法学者が宗教的な立場から出す勧告や判断)を発した。
こうした事態を受け、ラシュディさんは10年近く身を隠さなくてはならなかった。
昨年8月に講演を行う予定だったショトーカ・インスティテュートでは、起訴の脅威にさらされている亡命作家にとって、アメリカが避難場所になっていることを話す予定だった。
ブリティッシュ・ブック・アワーズは今回、ラシュディさんに「脅威にさらされつつも不寛容に立ち向かう著者、出版社、書店の決意」を認める「出版する自由賞」を授与した。









