がんの進化は「ほぼ無限」、早期発見や予防に注力すべき=英研究

ジェイムズ・ギャラガー健康・科学担当編集委員

Doctor looking at lung X-rays

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がん細胞の進化や生存の能力は「ほぼ無限」だとする、イギリスの研究結果が公表された。

研究チームは、肺がんを9年間にわたって追跡。今回の結果に「驚いた」とともに、医師らが立ち向かっている病の強固さに「畏怖の念を覚えた」という。

そして、「万能の」がん治療薬をすぐに開発できる可能性は低いため、がん予防に注力するべきだと結論付けている。

イギリスのがん研究団体「キャンサー・リサーチUK」は、がんの早期発見が非常に重要だとしている。

「適応能力の高さ」

「トレイサーX」と名付けられた今回の研究は、がんがどのように進化するのか、そして身体に広がる原因は何かについて、最も詳細なデータを提供している。

がんは常に変化・進化しており、不変で固定されたものではない。時にはとても攻撃的になり、免疫システムを侵略し、身体中に転移するのに適した形になる。

がんは一つの壊れた細胞から始まるが、少しずつ異なる変異を続け、やがては数百万もの細胞のかたまりになる。

トレイサーXでは、肺がん患者の体内で、この変異の多様性と、どのように変化していくかを追跡した。結果は、別の種類のがんにも適用されるものだったという。

ユニヴァーシティ・コレッジ・ロンドンのフランシス・クリック研究所に勤めるチャールズ・スワントン教授は、「この規模の研究は今までなかった」と語った。

研究はイギリス国内の13の病院で行われ、400人以上が参加した。肺がんの進行に沿って、腫瘍の異なる部分から生体組織を採取し、検査を行った。

スワントン教授は、「がんの適応能力の高さに驚かされた」と話す。

「気が滅入る言い方はしたくないが、がんの進化にはほぼ無限の可能性があり、末期にはがん細胞が数千億個にも増えることを考えると、そうしたステージのがん患者全員に効く治療法の確立は、非常に難しいと言える」

Prof Charles Swanton

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画像説明, チャールズ・スワントン教授は、今回の研究結果から、がんの早期発見や予防に注力するべきだと指摘した

その上で、「がんの万能薬に行きつくことはできないのではないかと思う」と述べ、「がんに大きな影響を及ぼしたいならがん予防と早期発見、再発の早期発見に注力するべきだ」とした。

肥満や喫煙、アルコール摂取、食生活の乱れなどは、一部のがんのリスクを高める。体内の炎症を抑えることも、がん予防の一種と考えられている。大気汚染による炎症は肺がんに、炎症を伴う腸の疾患は結腸がんにつながるという。

今回の分析結果は7件の研究からなり、学術誌「ネイチャー」や「ネイチャー・メディスン」などに掲載された。

研究ではこのほか、以下のことが明らかになったという。

  • 最初の腫瘍に含まれる攻撃性の高いがん細胞が、最終的に全身に広がっていく
  • 遺伝子的な「無秩序」レベルが非常に高い腫瘍ほど、外科手術後に別の部位で再発する可能性が高い
  • 血液から腫瘍のDNAの断片を分析することで、腫瘍が再発する兆候をCTスキャンに映る200日前までに確認できた
  • がん細胞では、DNAの命令を読み取る細胞の仕組みが壊れ、より攻撃的な細胞になることがある

研究者らは、これらの結果が将来的に、腫瘍の広がり方を予測したり、治療法を決めたりする助けになればと考えている。

キャンサー・リサーチUKで予防・早期発見担当主任を務めているデイヴィッド・クロスビー医師は、「トレイサーXによる画期的な研究結果で、がんが進行と共に進化する病気であることへの理解が深まった。つまり、末期がんは非常に治療しづらいということだ」と述べた。

「がんの早期発見、さらにはがんにならないための予防について研究する重要性が際立った」