米J&J、ベビーパウダーの原料をコーンスターチに変更へ がん訴訟受け

画像提供, Reuters
米健康関連用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は11日、タルク(滑石)を原料とするベビーパウダーの製造と販売を、来年から世界中で停止すると発表した。コーンスターチを原料として使っていくという。
J&Jのベビーパウダーは130年近く販売されており、おむつかぶれの予防や化粧に使われている。家庭にやさしい同社のイメージを象徴する製品となっている。
しかし、タルクを使ったパウダーをめぐっては、含有されているアスベスト(石綿)が原因で卵巣がんを発症したとして、女性や遺族らがJ&Jを相手に数万件に上る訴訟を起こしている。
J&Jは、アメリカでは2年以上前にこの製品の販売を終了している。
同社はこの日、製造・販売の停止の方針を明らかにしたが、安全性については、数十年にわたる独自の研究ですでに示されているとする、これまでの見解を繰り返した。
声明では、「タルクを使用したジョンソンのベビーパウダーは安全で、アスベストを含んでおらず、がんを引き起こさないことが、世界中の医学専門家による数十年にわたる独立した科学的分析で確認されている。当社はそれを強く支持している」とした。
製造・販売の停止については、「世界的な製品ラインアップの評価の一環として、コーンスターチを原料とするベビーパウダーのラインアップに移行するという商業的な決断をした」と説明。
コーンスターチをベースにしたベビーパウダーは、すでに世界各国で販売されていると付け加えた。
アメリカとカナダではすでに販売停止
J&Jは2020年、タルクを使ったベビーパウダーの販売を、アメリカとカナダで停止すると発表した。多くの訴訟が起こされる中で、製品の安全性について「誤情報」が流れ、需要が減ったためだと説明した。
一方で、イギリスなど他の国々においては、販売を続けるとしていた。
タルクは地中から採掘され、発がん性物質とされるアスベストと近い層で発見される。
ロイター通信は2018年の調査報道で、タルクを使った製品にアスベストが含まれていることを、J&Jは何十年も前から知っていたとした。
ロイター通信によると、少なくとも1971年から2000年代初頭にかけて、J&Jが原料として使用していたタルクと完成品のパウダーから、少量のアスベストが検出されることがあったことを、同社の内部記録や裁判証言などが示しているという。
訴訟担当の子会社が破産
アスベスト混入の証拠が法廷やメディア、連邦議員らに出されるたび、J&Jは繰り返し疑惑を否定してきた。
昨年10月には、J&JはLTLマネジメントという子会社を設立。タルク関連の訴えを担当させ、その後にこの子会社を破産させた。これを受け、係争中の訴訟は一時中断となった。
LTLマネジメントは、破産申請の前、判決と和解によって35億ドル(約4660億円)の支払いに直面していた。これには、22人の女性に対する20億ドル以上の支払いも含まれていた。
今年4月には、タルク使用のベビーパウダーを世界で販売中止にするよう求める株主提案が出されたが、同社はこれを否決した。







