新型コロナウイルスの起源、中国チームが分析結果を発表

Worker walking past Huanan market with white hazmat suit and yellow boots

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中国の研究チームは5日、新型コロナウイルスのアウトブレイクにつながったとされる生鮮食品市場で3年以上前に採取したサンプルの分析結果を発表した。

武漢の華南海鮮卸売市場は、新型ウイルスの起源を探るうえで焦点となっている場所。

今回の分析結果に関する論文は、英科学誌「ネイチャー」に発表された。2020年に同市場で採取された生物学的証拠に関する、査読を経た初めてのものとなる。

この分析結果は、市場で売買される生き物とウイルスを関連付けることで、どのようにアウトブレイクが始まったのかについて、新たな研究の糸口を広げる可能性がある。

研究ではまた、新型ウイルスの陽性反応が出た検体に、野生動物の遺伝子要素が含まれていたことも明らかになった。

これが、新型ウイルスが元々は感染した動物からヒトにうつった証拠になると指摘する科学者もいる。

しかし、今回の結果を解釈することに対して注意を促す声もある。サンプルの遺伝的内容の公表に3年もかかった理由も不明なままだ。

新型ウイルスの起源については、武漢の研究所からあやまって流出したという説も出ている。

決定的な証拠はない

研究チームは2月、論文の初期バージョンをインターネットで公開していた。しかし、市場で採取されたサンプルの遺伝子情報を全ては明らかにしてはいなかった。

その後、別の国際研究チームが、市場サンプルの遺伝子情報が科学のデータ共有サイトに投稿されていたのを発見し、独自に行った評価を発表していた。

今回発表された分析結果には、市場の露店やケージ、機械などから採取したサンプルの重要な詳細が含まれている。

Racoon dog for sale at Huanan market in Wuhan, China (c) Eddie Holmes

画像提供, E Holmes

画像説明, 武漢の市場で取引されている野生のタヌキ

論文によると、野生動物が売買されている場所で採取されたサンプルは、新型ウイルスの検査で陽性の結果が出た。

また、現在では新型ウイルスに感染することが分かっている動物、特にタヌキが、こうした場所で生きたまま取引されていたことが分かった。

しかし論文では、これらの発見は、どのようにアウトブレイクが始まったのかを知る決定的な証拠にはならなかったとしている。

「こうした環境的なサンプルからは、動物が感染していたことを証明できない」と、論文は述べている。

そのうえで、ウイルスが動物ではなく感染者によって市場に持ち込まれた可能性は残っているとした。

英グラスゴー大学のデイヴィッド・ロバートソン教授は、2020年に新型のSARSウイルス(SARSーCov-2)が発生して以来、その起源を探るために遺伝子調査を行っている。

ロバートソン教授はBBCニュースの取材に対し、「最も重要なことは、一番大事なデータが公表され、他の人が研究できるようになったことだ」と述べた。

一方で、このサンプルの内容は「そこにいた動物がおそらくウイルスに感染していたことを示す有力な証拠」だと付け加えた。

「重要なのは、証拠の全体像だ」

「武漢での初期の新型ウイルス感染が市場と関連していることと合わせると、市場の動物から(ウイルスが)漏れ出した強い証拠になる」

アメリカでは研究所流出説が有力に

こうしたなか、アメリカ当局の間では研究所流出説が有力になりつつある。

中国政府はウイルスの起源が研究所だという仮説を真っ向から否定しているが、米連邦捜査局(FBI)と米エネルギー省は2月、その可能性が「最も高い」との見方を示した。

アメリカではさまざまな省庁がこの謎を調査し、さまざまな結論を出している。しかしFBIのクリストファー・レイ長官は米FOXのインタビューで、中国がウイルスの起源の特定を「妨害し不明瞭にしようとしてきた」と非難。FBIは「しばらく前」から研究所説に確信を持っていると述べた。

FBIは調査結果を公表しておらず、これが一部の科学者をいら立たせている。

BBCは、今回の論文の主著者となった中国の疾病予防管理センターの科学者にコメントを求めている。