スリランカ脱出の大統領が辞任 中銀総裁は危機を警告

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スリランカのゴタバヤ・ラジャパクサ大統領が14日、辞表を提出した。同大統領は、政府に対する大規模な抗議行動に直面し、国外に脱出していた。国会議長は15日、辞表を受理したと述べた。
辞表は14日夜、電子メールで国会議長に送られていた。議長は辞表について、法的手続きを完了させ、15日に正式に発表すると述べていた。
議長は、16日に国会を開くとし、新たな大統領の選出手続きを開始すると述べた。
ラジャパクサ氏は、12日夜に軍用機でインド洋の島国モルディブへ向かい、14日にシンガポールに到着した。新政権下で逮捕される可能性を避けるため、辞任前にスリランカを離れたとみられている。
報道によると、妻とボディガード2人を伴っている。
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スリランカでは、食料、燃料、その他の基本物資の価格が高騰。反政府デモが広がっていた。
首都コロンボでは、大統領の辞任のニュースが流れると、デモ参加者らが歓喜して踊った。
ラジャパクサ氏は国外脱出前に、ラニル・ウィクラマシンハ首相を暫定大統領に指名。同首相は15日、宣誓を経て、暫定大統領となる見通し。
国会はその後30日以内に、新たな大統領を選ぶための投票を行う。ウィクラマシンハ氏が正式な大統領となる可能性もある。
ラジャパクサ氏が滞在しているシンガポールの外務省は、同氏が亡命を申請しておらず、亡命が認められてもいないと説明。「シンガポールは通常、亡命申請を許可しない」と付け加えた。

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歓喜と不信感
大統領辞任の知らせに、コロンボのデモ参加者らはさまざまな反応を示した。
ヴィラガ・ペレラ氏はBBCに、「この上なくうれしい。同時に、これで一息ついて元の生活に戻れるので、ほっとしている」と話した。
「これまでの急展開に疲れ果てている。私たちは現時点の状況を、十分に実質的な勝利と考えている」
辞任を喜ぶ群衆に加わっていたスゼット・フェルナンド氏は、複雑な受け止め方をしていた。
「以前も辞任すると言って私たちをだました。また同じことが起きている。辞表は受理されたが、議長は合法化の手続きが必要だと言っている。何を合法化するというのか。まったくばかげている」
夜間外出禁止令が2日目に
反政府デモの群衆は、以前より小さくなったように見えた。コロンボでは、デモ参加者らが占拠していた官公庁の建物から退去し始め、平穏さが増した。
ウィクラマシンハ氏は14日、抗議行動を鎮めるためとして、2日目となる夜間外出禁止令を出した。
ただ、デモ参加者らの広報役は、「大統領公邸、大統領府、首相官邸から平和的に即時退去するが、闘争は続ける」と述べた。
コロンボの主要施設で13日にあった抗議行動では、1人が死亡、84人がけがを負った。
デモ参加者らは立ち去る
スリランカでは、経済危機をめぐって4月から大規模なデモが起きていた。今月9日にはデモ参加者らが大統領公邸に侵入。首相の私邸にも火を放つなど、事態はエスカレートした。
13日には、デモ参加者らは警察から催涙ガスを発射されながらも、首相官邸の門を破って中に入った。さらに国会へと向かったが、入ることはできなかった。
BBCは14日、大統領公邸からも国会からも、デモ参加者の姿が消えていることを確認した。
首相官邸で抗議に加わっていたダニシュ・アリ氏は、「私たちは、国民の力を示すためにこの建物を占拠した。私たちは、占拠した時と同じように返し、立ち去る。必要ならすぐにでも戻ってくる」と、BBCタミル語に語った。
安定政権の必要性を強調
こうしたなか、スリランカ中央銀行のナンダラール・ウィーラシンハ総裁は、安定した政府がすぐに樹立されなければ、国が閉鎖状態に陥る恐れがあると警告した。
ウィーラシンハ氏は、BBCの番組「ニュースナイト」に出演。スリランカが、不可欠な石油の購入のために十分な外貨を確保できるか、「非常に不確実」な状況だと述べた。
また、国際社会から救済策を得るにも、国民に必要な物資を供給するにも、安定した政権が必要だとした。
ウィーラシンハ氏は4月に総裁に就任したばかり。辞任したラジャパクサ大統領の後任候補として名前が浮上しているが、「政治職に関心はない」などと述べている。



スリランカの基本情報
- スリランカはインドの南方に浮かぶ島国: 1948年にイギリスから独立した。人口2200万人で、その99%をシンハラ人、タミル人、イスラム教徒の3つの民族が占めている
- ラジャパクサ兄弟が何年も政権を握っていた: シンハラ人とタミル人は長年、内戦を繰り広げていたが、2009年に多数派のシンハラ人のマヒンダ・ラジャパクサ首相(当時)がタミル人分離派を下し、一躍英雄となった。弟のゴトバヤ・ラジャパクサ氏は国防相を務めた後、大統領となった。
- 経済危機を受けた抗議運動が広がっている: インフレの高騰により、一部の食品や医薬品、燃料が不足しているほか、計画停電も行われている。一般市民は街頭に出て、多くの人がラジャパクサ一族とその政府を非難し、怒りを露わにしている。マヒンダ氏は今年5月に首相を辞任している









