スリランカの大統領と首相が辞意、経済危機への抗議デモ受け 大統領公邸に乱入、首相宅は放火

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スリランカのゴタバヤ・ラジャパクサ大統領は9日、週明けにも辞任すると発表した。同国ではここ数カ月、経済危機を受けた抗議運動が続いており、この日には大統領公邸にデモ隊が侵入し、首相の私邸に火が付けられた。
ラジャパクサ大統領とラニル・ウィクラマシンハ首相は当時、それぞれの建物内にはいなかった。
スリランカ議会の議長は声明で、ラジャパクサ大統領は「平和的な政権移譲」のために辞任すると発表。市民に「法の順守」を呼びかけた。
大統領は13日に辞任する予定。ウィクラマシンハ首相も、すでに辞任を表明している。
大統領公邸での抗議に参加したフィオナ・シルマナさんは、「大統領と首相を排除し、スリランカに新しい時代をもたらす」時だと述べた。「2人がもっと早く去っていればこうした破壊はなかった。もっと早くいなくなっていればと、とてもとても残念に思っている」 。
スリランカは現在、過去70年で最悪の経済危機に見舞われている。インフレが高騰し、食品や燃料、医薬品などの輸入にも困難が生じている。
5日には外貨が底をついたため、ウィクラマシンハ首相が「破産」を宣言。自家用車向けのガソリンとディーゼル販売を禁止したため、給油所には長蛇の列ができている。
大統領の辞意を受け、首都コロンボでは花火が打ち上げられるなど、祝賀ムードに包まれた。
大統領公邸に乱入

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経済危機に対する抗議活動は数カ月続いているが、おおむね平和的なものだった。しかし9日には異例の展開が続いた。
数千人の抗議参加者が大統領公邸に詰めかけ、スローガンを叫んだり国旗を振りかざしたりした後、バリケードを壊して建物内に侵入した。
インターネットに投稿された動画では、抗議者たちが公邸内を歩き回ったり、建物内のプールで泳いだりしている様子が映されている。引き出しの中を漁って大統領の持ち物を持っていく人や、豪勢なバスルームを使う人もいた。

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抗議に参加したチャヌカ・ジャヤスリヤさんロイター通信に、「国全体がこのような緊張状態にある中で、その重圧を払いのけるため、大勢がここに来ている。この家のこのぜいたくさを見れば、大統領らが国のために働く暇などないことは明らかだ」と語った。

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ロイター通信が取材した国防省関係者らによると、ラジャパクサ大統領は8日、9日に予定されていた抗議デモを前に、安全確保のため公邸を後にしていたという。
ラジャパクサ大統領は通常は公邸には住まず、近くの別の住宅で生活していたという。
BBCは大統領の所在を確認できていない。
首相の自宅に放火
抗議参加者らはこの日、首都コロンボ近郊の富裕層住宅地にあるウィクラマシンハ首相の私邸にも火をつけた。
ウィクラマシンハ首相は先に、市民の安全を確保し、全政党政権への道を開くために辞任する意思があると述べたが、発表後すぐに、自宅が炎上している映像が出回った。
首相は家族とこの私邸に居住しており、首相官邸は職務のためだけに使われていた。
大統領と首相が発表した辞任予定が、抗議デモをなだめるのに十分かどうかはまだわからない。
コロンボ在住の著名な人権弁護士であるバヴァニ・フォンセカ氏は「たった2人の辞任では、構造改革の要求は満たせない。だが大統領と首相が辞任すれば、少なくとも変化の始まりにはなる」と語った。
「平和的な政権移譲が行われる必要があるが、まだそれは起きていない」

スリランカの基本情報
- スリランカはインドの南方に浮かぶ島国: 1948年にイギリスから独立した。人口2200万人で、その99%をシンハラ人、タミル人、イスラム教徒の3つの民族が占めている
- ラジャパクサ兄弟が何年も政権を握っていた: シンハラ人とタミル人は長年、内戦を繰り広げていたが、2009年に多数派のシンハラ人のマヒンダ・ラジャパクサ首相(当時)がタミル人分離派を下し、一躍英雄となった。弟のゴトバヤ・ラジャパクサ氏は国防相を務めた後、大統領となった。
- 経済危機を受けた抗議運動が広がっている: インフレの高騰により、一部の食品や医薬品、燃料が不足しているほか、計画停電も行われている。一般市民は街頭に出て、多くの人がラジャパクサ一族とその政府を非難し、怒りを露わにしている。マヒンダ氏は今年5月に首相を辞任している







