米下院、大規模な警察改革法案を可決 上院通過は困難か

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米下院は25日夜、広範にわたる警察改革の法案を可決した。人種差別への抗議が広がる中で民主党が提出したものだが、共和党が多数を握る上院を通過して法律になる見込みは小さい。
野党・民主党が多数派の下院は、法案を賛成236、反対181で可決した。おおむね党派に沿った投票となったが、共和党議員3人が党派を超えて賛成票を投じた。
法案は、白人警官に取り押さえられた際に死亡し、世界的な抗議行動のきっかけとなった黒人男性の名前を取り、「ジョージ・フロイド警察活動の正義法案」と名づけられた。
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ドナルド・トランプ大統領は、拒否権を発動すると警告している。
与党・共和党の上院議員らは、下院で審議された法案について、行き過ぎた改革によって警察力を損なうと批判。改革の規模を抑えた、独自の警察改革法案を準備している。
民主、共和党の相違
法案は、フロイドさんの死去からちょうど1カ月となるこの日、異例の早さで下院を通過した。
損害に対して警官個人の責任を裁判で問うことができるようにするほか、違法薬物の強制捜査で使われることが多い事前通知なしの家宅捜査や、軍で余った機器の警察への譲渡を禁じる内容になっている。
共和党と民主党は、警官が首を絞めつけることの禁止や、警官を対象にした新たな訓練の導入、体に装着したカメラの使用拡大、不正行為に問われた警官の全国的な登録制度の創設については、共に支持している。
しかし、民主党は共和党の法案について、黒人を守るものになっていないとしている。州や地域の警察が改革を進めるうえで、情報収集と報奨金に頼る仕組みになっているというのがその理由だ。
上院では民主党の反対によって、共和党の法案は議場での審議入りに至っていない。
トランプ氏は、「法案をめぐって動きがないなら仕方ない。(民主党とは)哲学が違う」と述べた。
「Black Lives Matter」を掲げる活動家たちは、警察予算を別の地域活動に回すよう主張しているが、両党の法案とも警察予算の打ち切りは含んでいない。
「白人を話題にしない」
民主党のハキーム・ジェフリーズ下院議員(ニューヨーク州)は、「ここアメリカでは、黒人の母親と父親は全員、警官が近づいて来たらどうするか、子どもと話し合わなくてはならない」と、黒人の置かれた状況を語った。
一方、共和党のデビー・レスコ下院議員(アリゾナ州)は、「All Lives Matter(すべての命が大事)」と述べた。
「Black Lives Matter」は、2013年から2014年にかけて、アメリカの黒人に対する差別や暴力に抗議する運動の合言葉となり、2014年8月に南部ミズーリ州ファーガソンで18歳の黒人男性が白人警官に射殺されたのを機に、全国的な抗議運動と共に広がった。「白人と同じように黒人の命にも意味がある」という意味が込められている。
一方、Black Lives Matterに反対する人たちが、「All Lives Matter」というスローガンを使うことがある。これには黒人に対する差別問題を矮小化し、問題をすり替えているという批判がある。
米紙ワシントン・ポストによると、共和党のグレン・グロスマン下院議員(ウィスコンシン州)は民主党議員らについて、「白人が殺された場合については話題にしたがらない」と述べた。
上院で唯一の黒人共和党議員で、警察改革法案を執筆したティム・スコット氏(サウスカロライナ州)は、民主党が11月の大統領選挙を前に「純粋に人種差別を政治化」していると非難した。
スコット氏はFOXニュースで、議会の怠慢でさらに黒人の命が奪われることになれば、民主党の責任だと述べた。
民主党のナンシー・ペロシ下院議長は今週、共和党議員らを「殺人を犯して逃れようとしている。ジョージ・フロイドの殺人だ」と批判し、激しい怒りを買った。










