トランプ氏、警察改革の大統領令に署名

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ドナルド・トランプ米大統領は16日、警察改革に関する大統領令に署名した。一方で、警察の予算削減や解体の求めは拒絶した。
アメリカではアフリカ系米国人ジョージ・フロイドさんが先月、ミネソタ州ミネアポリスで警官に殺された事件をきっかけに、人種差別や警察の暴力への怒りと、警察改革を求める声が高まっている。
12日にはジョージア州アトランタで、黒人のレイシャード・ブルックスさん(27)が、ブルックスさんを逮捕しようとした警官に銃殺され、人々の怒りは一段と拡大した。
大統領令は、警官による虐待行為のデータベースを創設するなどの改善策に、連邦政府が助成するとしている。
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トランプ氏はこれまで、人種差別をめぐる議論にコメントしていない。
いくつかの都市では、より急激な改革が提案されている。
遺族は立ち会わず
トランプ氏はこの日、家族を失ったアフリカ系米国人の家族に数多く会ってきたと発言。警官に撃たれて死亡したアントワン・ローズさん(当時17)、ボサム・ジャンさん(同26)、今年2月にジョージア州でジョギング中に殺されたアフマド・アーベリーさん(同25)の親類らを例に挙げた。
ホワイトハウスでの署名には警官らが立ち会ったが、遺族代表らの姿はなかった。
トランプ氏は、「警察の予算を無くして解体する、急激で危険な案には強く反対する」、「警察がなければ大混乱になる」と述べた。
さらに、「我々は、治安を守っている青色の制服を着た勇敢な男女を応援する必要がある」、「責任体制を改善し、透明性を高め、警官の訓練や採用、地域との関わりにもっと資源を投入する必要がある」と話した。
大統領令の内容は
今回の大統領令は、警察が違法薬物やホームレースなどが絡む非暴力的な事件に対応する際、警官と共にソーシャルワーカーも出動することを奨励している。
また、過剰な実力行使を抑制した警察に予算を優先配分する。トランプ氏は、「警官の命が危険に置かれた場合を除いて、首を絞める行為は禁止する」、「誰もがそうする時だと言っている」と話した。

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トランプ氏はさらに、「生命に関わるやりとりを防ぐため、殺傷力の弱い武器」を政府として検討していると明らかにした。
アトランタの事件について「とても憂慮している」とし、安全を優先させる考えを示した。
ジョージ・フロイドさんの事件をめぐっては警官を非難したが、警察組織に人種差別体質が染み付いているとの見方は退けた。
批判の声
大統領令に対しては、不十分との批判が出ている。
連邦上院のチャック・シューマー院内総務(民主党)は、「この大統領令は残念ながら、警察に対して国民が求めている包括的で意味のある変化と責任体制をもたらさない」とし、より大胆な法律の制定が必要だとした。
下院のナンシー・ペロシ議長(民主党)は、「数多くの黒人を殺している人種間の不公平や警官の残忍さのまん延を無くすために必要なものには悲しいほど程遠い」、「最低限であきらめるのではなく、大胆な変化が必要だ」と述べた。
大統領令は、政府職員について「明確に規定された」憲法上の権利を侵害しない限り責任は問われないとした、免責規定の変更には触れていない。
警察改革を求める人々は、この原則によって警官が責任追及を免れていると訴えている。だが、トランプ政権はこの問題を検討するつもりはないとし、連邦最高裁も15日、見直しを拒んだ。
人権団体アムネスティ・インターナショナルUSAのクリスティナ・ロス氏は、今回の大統領令について、「銃撃による傷にばんそうこうを貼るようなものだ」と述べた。
他の警察改革案
ミネアポリスでは、市議会議員らが警察の予算を打ち切り解体する計画を発表した。
アトランタではケイシャ・ランス・ボトムズ市長が、警察による殺傷能力のある武器の使用に関してさまざまな変更を求めた。
サンフランシスコ、ロサンゼルス、ニューヨーク、シカゴなどの都市は、警察の実力行使に関する改革をし、人種差別主義の警官を排除するとしている。
ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は16日、州の警官のカメラ着用を義務付け、警官の不正行為を調査する部署を創設する法案に署名した。
連邦レベルでは、民主党が法案を下院に提出している。法案は、警官が容疑者拘束の際に首を絞めることや、居住者に通知せずに住居に立ち入ることの禁止を求めている。












