ユーザー急増の「ズーム」、安全性の不備を謝罪 解決に集中と

画像提供, Zoom
ビデオ会議アプリを提供している「ズーム」が、安全性に対する批判を受けている。新型コロナウイルスの流行を受けてユーザーが急増する中、同社のエリック・ユアン最高経営責任者(CEO)は、新機能の開発をとりやめ、安全性とプライバシー保護の問題に集中すると説明した。
1日に投稿したブログでユアンCEOは、セキュリティーの問題について「基準に達していない」ことを謝罪。問題に対処すると約束した。
世界中でロックダウン(都市封鎖)措置が取られる中、何百万人ものユーザーが仕事やプライベートで同社サービスを使っている。
ユアンCEOは、「昨年末の時点で1日当たりのズーム会議参加者は、無料・有料プランを合わせて1000万人ほどだった。それが今年3月には2億人以上に達した」と説明した。
一方で、新規ユーザーの流入に「昼夜を問わずに」対応しているものの、「コミュニティーやユーザー一人ひとりのプラバシーおよび安全性への期待に応えられていない」と謝罪した。
「たった数週間で世界中の人々が自宅で働いたり、勉強したり、交流したりすることになるような事態を想定して製品を作っていなかった」
「今では多種多様なユーザーが、我々が想像もしていなかったさまざまな方法でこの製品を利用しているそのため、このプラットフォームが生まれたときには想像もしていなかった困難に直面している」
<関連記事>
「ズーム・ボミング」
ズームはこれまでに、ユーザー情報をフェイスブックに送信している、サービスが全て暗号化されていると誤った情報を発表する、会議のホストが参加者を追跡できるようになっていたなど、さまざまなプライバシー保護の問題を指摘されている。
また、アメリカ国家安全保障局(NSA)の元職員でハッカーのパトリック・ワードル氏によって、米アップルの「Mac」でズームを起動すると、ウェブカメラやマイクが乗っ取られる可能性があることが判明している。
さらに、多くの人がズームを使うようになったことで、「ズーム・ボミング」といういたずらが横行している。招待されていない人が突然会議に乱入し、差別発言をしたり、ポルノを共有して立ち去ったりするというものだ。
犯人はソーシャルメディアやウェブサイト上で公開されている会議へのリンクを探したり、9桁の会議コードを適当に入力したりして、会議に乱入してくるという。被害を防ぐためには、会議にパスワードをかける、ホスト以外のスクリーン共有を制限するなどの方法が有効だ。
ユアンCEOは今後、こうした一連の問題について対処することを約束。また、向こう90日間は新機能の開発を棚上げし、安全対策に集中すると述べた。
社内文化の変化に期待
セキュリティー・コンサルタントのグレアム・クルーリー氏は、ズームは「危機にある」と説明した。
「ズームの、安全性やプラバシー保護に対して完璧を目指さない体質が明らかになったことで、多くの高評価を失おうとしている」
「今後、こうした社内文化が変わってくれることを願っている」
コンピューター・セキュリティー会社「トレンド・マイクロ」のリク・ファーガソン副社長も、ズームの改革を歓迎すると述べた。
「この問題はプログラムの設定からデフォルト設定、ソフトウエアのぜい弱性、企業としての方針や製品ロードマップの決定にいたるまで、あらゆる領域に及んでいる」
「しかしこのパンデミック(世界的流行)の中、ズームは最初に無料プランの拡大を提言してくれた企業のひとつだ。お粗末な決定だけでなく、成功によっても困難な状況に陥ったのだから、ある程度の同情をしてあげるべきだ」
ズームをめぐっては、イギリスのボリス・ジョンソン首相が閣議にズームで参加している様子をツイッターに投稿。安全性に対する懸念がわいていた。
一方で、米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、宇宙船開発会社「スペースX」の会議をズームで行わないよう従業員に指示したと報じられている。スペースXの最大顧客であるアメリカ航空宇宙局(NASA)も、従業員のズーム使用を禁じた。







