ジョンソン元英首相、多数のコロナ死者「仕方ないと思ったことなどない」 対策調査委
新型コロナウイルスのパンデミックに対するイギリス政府の対応を検証する独立調査委員会(委員長・ハレット女男爵)の審問が続き、7日には当時の政権を担ったボリス・ジョンソン元首相への2日目の質疑が行われた。
ジョンソン氏は、自分の政権がウイルスへの集団免疫確立を目指して感染拡大を意図したなどというのは事実と異なり、自分たちは感染抑制に努めたのだと強調した。
2020年秋に感染者が再び増え始めた時点で、すぐにロックダウンを実施しなかったという批判をめぐっては、経済活動の維持を優先し、高齢者の死亡を受け入れる方針だったという指摘が出ているが、ジョンソン氏はこれを、「ばかげている」と真っ向から否定。自分は「すべての年齢層の人命を守ろうとした」のだと強調した。
約10時間にわたる査問で、委員会側は当時の首席科学顧問だったサー・パトリック・ヴァランスの日記から一部を読み上げた。
2020年10月の記述でサー・パトリックは、ジョンソン氏が「(ウイルスの)好きにさせたらいい」と発言したと書いている。それによって死亡する人は「もう十分活躍した」のだから「どうせ(寿命が)来ていた」と、ジョンソン氏が話したとも、日記には書かれている。
委員会側のヒューゴ・キース主任弁護士がジョンソン氏に、そうして「ひそかに抱いていた」個人的な考えから、2020年秋のロックダウン実施に消極的だったのかと質問されると、ジョンソン氏は首を振り、「まったくもう」とため息交じりにつぶやいた。
ジョンソン氏はさらに、「(日記に書かれている)やりとりからあなたが引き出そうとしている内容は、まったく間違っている」、「私は常にすべての年齢層の人命を守ろうとした」と強調した。
「会議について誰かが残した走り書きからかき集めた内容はともかく、実際に我々が何をしたのかを見れば、直ちにロックダウンに入ったことがわかる」とも、元首相は述べた。
ジョンソン氏はのちに、自分の物言いの一部が人々を「傷つけ、不快にさせた」ことは残念だとした上で、「報道内容の多くは不正確で、私の発言だとされているものでも自分にまったく覚えのないものがいくつかある」と主張した。
当時の財務相だったリシ・スーナク首相は11日に、同委員会で証言する予定。
新型コロナウイルスで家族を失った「正義を求めるCOVID-19遺族会」のベッキー・カマー氏は、ジョンソン氏の証言から「2020年初頭にパンデミックを真剣に受け止めていなかった」のは明らかで、「そのせいで私たちは恐ろしいほど準備不足だった」と批判。「そして彼が自分の過ちから学ばなかったせいで、第2波では第1波よりさらに多くが亡くなった」と述べた。
「一部のマスコミの間で自分の評判が下がるのを恐れて、(秋のロックダウン開始を)遅らせた。(中略)パンデミックで得た教訓の多くが、未来の人命救済につながるだろうが、ボリス・ジョンソンほど自分自身を最優先する人は権力の座にふさわしくないという教訓も、間違いなくそのひとつだ」とも、カマー氏は述べた。
イギリスで今年7月までに、新型コロナウイルスを死因のひとつとして確認された人は、約22万7000人に上る。





