ジョンソン元英首相、コロナのリスク「早く気づくべきだった」 対策検証の独立調査委で

動画説明, ジョンソン元英首相、コロナのリスク「早く気づくべきだった」 対策検証の独立調査委で

新型コロナウイルスのパンデミックに対するイギリス政府の対応を検証する独立調査委員会(委員長・ハレット女男爵)の審問が続き、6日には当時の政権を担ったボリス・ジョンソン元首相が出席した。

パンデミックで家族を失った人たちが会場の内外で抗議する中、ジョンソン氏は政治家も科学者も官僚も含めて自分たち全員が当初、新型ウイルスがいかに深刻か気づかず、リスクを過小評価していたと認めた。

そのうえで、政府経験者から向けられている「優柔不断」との批判に対して、いずれもひどい結果の伴う選択肢しかない状況で、自分はあらゆる選択肢を比較衡量していたのだと反論した。

ジョンソン氏は自分のパンデミック対策全般については、新型ウイルスが「まったく新しい」対応を必要としていたため、「あらゆる意見を精査する」必要があったのだと述べた。

元首相はさらに、当時の政府関係者が、当時の状況で「最善を尽くした」のだと強調した。

実施が遅すぎたと批判されている1回目のロックダウン(2020年3月23日に宣言)については、当時の数量モデルが不正確で、ロックダウンを時期尚早に開始しないよう助言されていたのだと説明した。

「私たちの考え方にある程度、矛盾があった」ことは認めるとしつつ、「いざ行動すると決めたら、そこからはかなり電光石火に動いたと思う」とも述べた。

そのうえで、今わかっている知識を持って当時を振り返れば、大勢の集まりはもっと早く禁止すべきだったとも話した。

さらに、過去の集団感染の経験から、新しいウイルスについても最悪のシナリオを信じたくない空気が、政府全体にあったと話した。

「自分と、各省庁と科学者コミュニティーも含めてイギリス政府全体が、直面する問題の規模とペースを過小評価したというのは、確かだと思う」と、ジョンソン氏は認めた。

2020年2月半ばになってイタリア北部で感染者が急増し、病院に患者があふれる様子が広く報道されるようになり、自分は「慌てた」のだと元首相は言い、「自分たちは集団的にもっと早く気付くべきだった。私自身が気付くべきだった」と述べた。

5時間以上にわたる証言の中でジョンソン氏はほかに、2020年1月から6月にかけて使っていた携帯電話から5000件以上のチャットメッセージが消えており、それを回復できなかったと認めた。これは自分が削除したのではなく、技術的な問題が原因だとして、必要な証拠はすべてこの調査委に提出するため「最善を尽くした」と強調した。

2020年3月に感染者がいると分かっている病院を訪問し、患者たちと握手したのは不適切だったと認め、自分はもっと「注意深く」行動すべきだったとも述べた。

この独立調査委では、政府顧問たちが通信アプリで罵倒語まみれのメッセージを交し合っていたことが明らかになっている。首相官邸が「ぎすぎすした」「対決的」な職場だったとの批判が出ていることについて、ジョンソン氏はそれを否定。厳しい状況で最善を尽くしていた担当たちの「深い不安感」をあらわす言葉遣いだったかもしれないが、だれもが従順で人の言いなりになっている官邸よりも、活発に議論しあう官邸の方が国民のためになると考えていたと話した。

イギリスで今年7月までに、新型コロナウイルスを死因のひとつとして確認された人は、約22万7000人に上る。